大人の見る繪本 生れてはみたけれど

おとなのみるえほんうまれてはみたけれど|----|----

大人の見る繪本 生れてはみたけれど

amazon
レビューの数

54

平均評点

77.9(208人)

観たひと

318

観たいひと

33

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 社会派
製作国 日本
製作年 1932
公開年月日 1932/6/3
上映時間 (10巻)
製作会社 松竹キネマ(蒲田撮影所)
配給
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 1:1.33
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 無声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

良一と啓二の兄弟はある日、近所に住む父の上司の家に呼ばれるが、そこでの父の卑屈な態度を見て彼を弱虫だと責める…。小津安二郎監督が無声映画時代に製作したドラマ。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2024/05/23

2024/05/24

84点

テレビ/有料放送/WOWOW 


お父さん、お母さん、お兄ちゃん、弟 思いのたけを思いっきり吐き出して後のほんわり感がとても良く描けている

当時の社会(現代社会も同じだろうけど)は「偉くなること」=出世が、世間一般の最上位の価値なんだよね。で、子供社会の上下関係は力で決まり、大人社会の上下関係は金の有無・権力の有無で決まる。そんな表層を前半でユーモラスに描き、後半で、(重役にへこへこするお父さんを見てしまい、ショックを受けて)子供が感じた矛盾を一挙にお父さんにぶつけるシーンが緊迫感がある。自分自身、子供から同じ質問を真正面からぶつけられたら当惑してしまう。作品内のお父さんもお母さんも同様。上手く説得出来ない。泣きつかれて眠る子供たち、お父さんとお母さんの会話(正答が分からない)、でもでも、眠る兄弟に対するお父さんの優しい眼差しがとても安心した。翌朝も、庭でふてくされてご飯を食べない兄弟に、お握りを握るお母さん、差し出すお父さん、兄をチラ見しながらも空腹に耐えかねて手を出す弟、もう意地を通す必要もなくなった弟。あ~、何かが解けてったなぁ。理論的に説得するよりも、心が寄り添う瞬間こそ、人が動く瞬間なんだよなぁ、そんなこんなを上手く描写した傑作でした。

2024/01/11

2024/01/11

70点

テレビ/有料放送/WOWOW 


子供たちの描写がいい

子供たちが生き生きとしている。笑い、怒り、泣き、悩み、成長する子供たち。大人の世界との対比もうまい。この映画を現代風にアレンジしたWOWOWのドラマま見たが、子供たちが明らかに違っていて、つまらないドラマになっていた。

2023/12/30

2023/12/30

85点

テレビ/有料放送/WOWOW 


驚くべき高画質

なんだか切なくなるような話だけれども、これは現代にはそのままでは翻案できないような感じではあるかな。さすがに世襲のバカ息子が専務になっているような会社では、大金持ちって言ってもたかが知れているし。でも、戦前のころなら、こういうことって沢山あったんだろうな、と思える。この映画の素晴らしいところは、大人の世界と子供の世界を並行して描いていて、それが見事にシンクロしているところ。そしてまた、子どもたちの生活がものすごく豊かで、戦前の暗黒時代みたいなイメージが、少なくとも戦争が始まる前はそんなことなかったことがよく分かる。そして、この映画はデジタルでの補修がものすごく丁寧に行われたようで、びっくりするほど高画質でとにかく素晴らしい。この調子でどんどん昔の名画をリファインしてもらいたいものである。

2023/05/30

2023/05/30

70点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/PC 


かわいい兄弟

無邪気な子どもの世界から、ふいに人生の厳しさを垣間見てショックを受けてしまう。辛いな、この世は。でも、やさしいお母さんの慈愛に包まれて、卵一人に一つずつあてがわれた朝ごはんを食べれば幸せ気分満杯だ。

2022/04/01

2022/11/07

85点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/購入/テレビ 


切なくも味わい深い名作

戦前のまだサイレント映画の時代に、既にこの様なサラリーマンの悲哀を描いた作品があったという事に単純に驚き感動した。
 子どもとしては父親の上司の言いなりになる場面を見てはショックだろうし、見られた父はもっとツラい。切ないがそういう大人の事情を子どもなりに理解し、父に上司への挨拶を促す助言をするラストにしみじみした。後味の良い名作です。

2022/04/20

2022/04/21

87点

VOD/U-NEXT/レンタル/PC 


で、いつも通り

映画を見始めて、音楽がないことに気づき、当然弁士の声もなし、全くの無音で、夜勤の仕事のあとで、最後まで見ることが不安になりました。しかし、それは杞憂で、子どもたちが父親に抵抗するあたりからは、俄然盛り上がってきました。

 会社で働く父親の現実の姿は、上司に対しておじきを繰り返すばかりか、家庭では見せることもない表情まで作っているのです。それを目の当たりにした子どもは、父親の権威は失くなり、納得ができないのです。自分たちは、上司の子どもであろうと、ガキ大将であろうと、ケンカをし戦っているからです。

 母親が諭します。それなら、お父さんより偉くなればいいじゃないの。

 大人の事情と子どもの世界。

 子どもは子どもなりにその事情を理解し、父親に、上司におじきしなくいいの、と促します。
 そして、自分たちの世界はあくまで自分たちのやり方で輪を広げていくのです。

 この自由闊達さが、実に生き生きと描かれて、清々しいです。