テルマ&ルイーズ

てるまあんどるいーず|Thelma & Louise|Thelma & Louise

テルマ&ルイーズ

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レビューの数

113

平均評点

77.3(728人)

観たひと

1200

観たいひと

93

(C)1991 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1991
公開年月日 1991/10/19
上映時間 130分
製作会社 パーシー・メイン・プロ作品
配給 松竹富士
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビー

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

旅の途中での偶発事件をきっかけに、鮮やかに自己を解放していく女性2人を描いた女だけのロードムービー。監督は「ブラック・レイン」のリドリー・スコット。製作はスコットとミミ・ポーク、脚本はカーリー・クォーリ、撮影はエイドリアン・ビドルが担当。出演はスーザン・サランドン、ジーナ・デイビスほか。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

アーカンソー州の小さな町に住む、子供のいない専業主婦テルマ(ジーナ・デイビス)と、ウェイトレスとして独身生活をエンジョイするルイーズ(スーザン・サランドン)の2人は、退屈な日常に別れを告げドライブヘ出掛けた。夕食を取るためカントリー・バーへ立ち寄るが、悪酔いしたテルマは調子に乗り、店の男ハーランと姿を消す。行方を追い駐車場へ向かったルイーズは、レイプされかかっているテルマを発見、ハーランに銃弾を撃ち込んだ。週末旅行から一転、逃避行へと化したものの有り金がない。仕方なくルイーズは恋人のジミー(マイケル・マドセン)に助けを求めた。一方テルマは夫のダリル(クリストファー・マクドナルド)に連絡を入れるが、身勝手な夫は一方的に責めるばかり。呆れたテルマはメキシコヘ逃亡することに同意した。オクラホマでジミーから現金を受け取るふたりだったが、前日車に乗せたヒッチハイカーのJ・D(ブラッド・ピット)にまんまと持ち逃げされてしまう。泣きわめくルイーズを尻目にテルマはスーパー強盗に成功、しかしその一部始終はビデオ・カメラに収められ、犯行はハル警部(ハーヴェイ・カイテル)らの知るところとなった。次第に逃走経路を狭められるまま、依然ニュー・メキシコのハイウェイを疾走。立ちはだかる警官や野蛮なトラッカーを排除し、アリゾナ州の大峡谷へ辿り着いたが、遂にふたりは警官隊に取り囲まれてしまう。しかしもはや後退することを知らぬ2人はアクセルを踏み、大峡谷へと車ごとダイビングしていくのであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

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2019年9月下旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第5弾 1990年代外国映画ベスト・テン:ベスト15 解説

1991年11月上旬号

外国映画批評:テルマ&ルイーズ

外国映画紹介:テルマ&ルイーズ

1991年10月上旬号

グラビア《Coming Attractions》(新作紹介):テルマ&ルイーズ

2025/11/06

80点

選択しない 


痛快にして苦い犯罪ロードムービー

男からの様々な抑圧からの解放を描いた90年代版アメリカン・ニューシネマ。姐御肌のスーザン・サランドンと少し抜けている主婦のジーナ・デイビスが、どんどん雪だるま式に犯罪を重ねて、最後は警察に包囲されて車で崖からダイブという展開は、ほろ苦いがそれがアメリカン・ニューシネマの味。こんな映画多かったなぁと懐かしく思ったりする。主演二人の個性を活かしたリドリー・スコット監督の快作。

2025/10/23

2025/10/31

80点

選択しない 


見る前に跳べ

 専業主婦テルマとウェイトレスのルイーズが気ままな旅に出かけ、解放感を味わっていたのもつかの間、暴力事件をきっかけに殺人を犯して警察の追跡をかわしながらの逃避行が始まる。その過程で自分自身の中に眠っていた力を意識し、社会の枠組みから大きく飛躍する姿が清々しく描かれる。
 性暴力、家庭内モラハラ、女性の社会的立場など社会に対する批判的視点も含まれており、単なる逃亡劇ではないテーマ性を持った作品になっている。

 気弱で、不満があっても従順だったテルマが大胆に行動し、自分の意思で生き方を選び取る姿に強さを感じる。ルイーズもまた、過去のトラウマと向き合いながらテルマと共鳴しあって癒され、力をみなぎらせていく。   
 家庭や過去に縛られた二人が旅を通じて互いに解放されていく様子がテンポよく描かれ、アカデミー賞を受賞した脚本や監督の演出がすばらしい。
 自由への飛翔のような象徴的なラストシーンは映画ファンの心理をくすぐる。

2025/10/06

2025/10/09

82点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


アメリカン・ニューシネマの系譜

 改めてリドリー・スコット監督のパワーに驚く。製作当時50代なかば。寡作ながら「エイリアン」「ブレードランナー」と快作を放ち、油が乗り切っている。
 平凡な主婦のテルマと友人のルイーズの二人が週末にささやかなドライブ旅行に出るが、それが大事件に発展し、いつしか凶悪犯として指名手配されてしまう。その展開があざやかなロードムービーだ。
 おもしろいのはどちらかというと人から指示されなきゃ動けないタイプのテルマがどんどん大胆になり、姉貴分だったルイーズとの立場が逆転していくことだ。イケイケ姉ちゃんに見えたルイーズはむしろ冷静なところを見せる。
 作品ではテルマが1956年生れ、ルイーズが1955年生れの設定だから、共に30代なかばだ。テルマを演じるジーナ・デイビスは1957年生れだから、実年齢に近いが、ルイーズを演じるスーザン・サランドンは1946年生れと実年齢の方が10歳近く上だ。若く見せることも演技力のひとつだろう。
 平凡な主婦生活に飽き飽きしていたテルマがはめをはずし、夕食のレストランバーで知り合った男にあやうくレイプされそうになる。テルマが護身用に持って来たピストルをルイーズが男に突きつけ、難を逃れるが、男の捨てぜりふに逆上したルイーズは男を撃ち殺してしまう。レイプされそうになったのだから警察に行こうというテルマを無視して、ルイーズは車を走らせる。1990年代初頭という時代背景のせいか、アメリカ中南部という土地柄のせいかわからぬが、レイプで男を訴えるのは難しいようだ。まして殺してしまっている。楽しいはずの週末旅行が一転、逃避行となる。
 道中、知り合った若者(若き日のブラッド・ピットの怪演が見もの)から金を盗まれたり、スーパーマーケットで強盗したり、警官をパトカーのトランクに閉じ込めたりと、遊び感覚で犯行を重ね、ついにFBIのお出ましとなる。
 ボニー&クライドの女性二人版でもあり、ラストのスローモーションは「明日に向かって撃て!」をほうふつさせた。

2025/10/09

2025/10/09

60点

選択しない 
字幕


破滅型クライムロードムービー、女性二人組の先駆けか(^^;;

亭主に束縛されているテルマ、ルイーズとの旅行で浮かれ気分で悪い男に引っかかる引っかかる(^^;;

のっぴきならぬ状況に追い込まれていくハラハラはあるんだけど、乱暴しようとして未遂に終わった男をいきなり射殺するのはどうなのか(^^;;

自首するという選択肢を早々と捨ててしまうルイーズ、テキサスで何かあったっぽいけどわからないのでモヤモヤしたまま。

刑事役のハーベイカイテルと、いかにも色男のブラッドピットが良い。

2025/10/06

2025/10/06

75点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


また観た

女同士のバディムービー。ほかにあったかなあ。テンポのいい展開でラストまで一気に見せられた。ニューシネマのラストと同じく悲劇なのに何故か喝采を送りたくなる。

2025/10/04

2025/10/04

85点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


雨と煙がつなぐ女たちの疾走

ネタバレ

スーザン・サランドンの新作『Nonnas』(Netflix)を観て、彼女の代表作『テルマ&ルイーズ』を改めて鑑賞した。ジーナ・デイヴィスとのバディムービーであり、あのラストの衝撃はいまも鮮烈に残る。イギリス人監督リドリー・スコットが、アメリカン・ニューシネマに正面から挑んだ意欲作だ。

記憶の中では、ファイヤーバードが地平線を疾走する“晴れたロードムービー”だったが、実際には意外に雨が多い。旅への決意を固めるルイーズと、夫に何も言えないテルマ。その差が、雨に洗い流されるように少しずつ縮まっていく。雨はふたりの覚醒のプロセスを象徴している。

ブラッド・ピット演じる詐欺師に大金を奪われた後、テルマが強盗を働く場面から、ふたりの決意は確定する。彼女たちは、男たちの支配に屈してきた過去を思い出しながら、男性中心社会への反逆を命がけで貫くのだ。
「テキサスを通らずにメキシコへ行きたい」というルイーズの台詞は象徴的だ。ここは“赤い州”、すなわち共和党の国である。その一言に、彼女たちの本能的な拒絶が凝縮されている。

後半は、雨に代わって砂煙と黒煙のイメージが支配する。車が砂漠を駆け抜け、侮辱してきたトラック運転手を懲らしめるためにタンクを爆破する場面では、炎と煙が自由への疾走を際立たせる。映像の質感が、雨から煙へと転換する瞬間に、この映画の真のスピード感が生まれる。

ふたりを追う刑事(ハーベイ・カイテル)は理解を示しながらも、警察の論理から逃れられない。もはや誰にも止められない彼女たちは、あの衝撃的なラストへと突き進む。
『俺たちに明日はない』『明日に向かって撃て』『バニシング・ポイント』――アメリカン・ニューシネマの系譜を継ぎつつ、その終焉を象徴する映画である。リドリー・スコットが女性の視点で描いた“アメリカの黄昏”として、今なお色あせない。