何度見ても、すごい映画だなぁと思います。点数的には100点でも200点でもいい気がします。今回は点数はなしです。新しく知った2、3のエピソードを記してレビューに変えます。私だけが新たに知っただけで、みなさんのレビューでは触れられていた方もいました。
最後の6分間の演説。スタッフからも反対の声が強く、営業担当から、この演説で売り上げが100万ドル減るからやめてくれ、と言われたそうです。しかし、500万ドル減ってもやる、と言って撮影は断行されました。因みに撮影は、ヒトラーのパリ入城の翌日、1940年6月15日です。
見方によっては、この演説は映画であることをやめ、民主主義、国際平和を訴えるプロパガンダになっている、と言えるかもしれません。が、この「独裁者」がチャップリンの作品の中で一番商業的に成功をしたことから言えるのは、誰よりも大衆がチャップリンを支持した、ということでしょう。チャップリンもそれを望んでいました。
また、自伝では「ホロコーストの存在は当時は知っておらず、もしホロコーストの存在などのナチズムの本質的な恐怖を知っていたら、独裁者の映画は作成できなかったかもしれない。」と述べています。
世界征服、小心者などのヒトラーの人間の本質は見抜いて笑い飛ばしたものの、ホロコーストの狂気の行動までは想定外でした。これほどまでの蛮行を予想できた人は、おそらくいなかったでしょう。
最後に、ヒトラーの妻とされるエヴァ・ブラウンの伝記です。ヒトラーは、ポルトガル経由でこのフィルムを手に入れて、ベルリン首相官邸の執務室と映画の執務室が非常によく似ている、と言っていたそうです。そして、地球儀で遊ぶシーンでは、笑ったと言われています。
あのシーンは、チャップリンのパットマイムの確かな技術の力が感じられるところです。