本国アメリカではコケたものの、日本では大ヒットを記録した80年代を代表するネオ・ノワール映画。
とにかく冒頭で歌うロック歌手エレン役のダイアン・レインが美しい。
またザ・イケメンな感じのトム・コーディ役マイケル・パレのビジュアルを堪能できる作品でもある。
西部劇の形式とロックが融合した不思議な世界観が印象的だ。
若干、ジョージ・ミラーの『マッドマックス』風な描写はあるものの、クレイジーさはそこまでではない。
物語はストリートギャング集団に攫われた歌姫を助けるというスーパーマリオブラザーズ的な展開。
トムはかつてエレンと恋仲にあったらしいが、彼女が歌手を目指すことをきっかけに別れたらしい。
とにかくクールで腕っぷしの強いトムは多くを語らない。
背負っているものが多いようにも感じるし、中身がなく薄っぺらい人間のようにも見える。
おそらく彼は孤独であることを自ら選んで生きてきたのだろう。
エレンのマネージャーのビリーの、度胸はないのに口だけは達者な小者感が面白い。
かと思えばボンバーズのヘッドのレイヴンに挑発的な言葉を投げかけぶん殴られる。
ただのアホなのかもしれない。
字幕での一人称が「オレ」の男勝りのマッコイのキャラクターも肝が据わっている。
彼女とトムの関係性がどう変わっていくのかも興味深かった。
レイヴン役のウィレム・デフォーはこの頃からクレイジーな役が似合っている。
どことなく色気もあり、キャラクターの個性は印象的だった。
終盤に向けてもっと派手な展開を期待したが、思った以上に地味だったのが残念。
またトム・コーディがほぼイケメンの印象しかなく、もっとマックスやケンシロウのような強者感が欲しかった。
ラブロマンスとしても不十分に感じたが、やはりダイアン・レインは美しい。