ジャッカルの日

じゃっかるのひ|The Day of the Jackal|----

ジャッカルの日

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レビューの数

79

平均評点

79.3(408人)

観たひと

556

観たいひと

29

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1973
公開年月日 1973/9/15
上映時間 143分
製作会社 ジョン・ウルフ・プロ作品
配給 ユニヴァーサル=CIC
レイティング
カラー カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

ドゴールフランス大統領暗殺を請け負った1匹狼の殺し屋ジャッカルと、これを阻止せよとフランス警察の全権を委任された警視ルベルの戦いを描いたフレデリック・フォーサイスのベストセラー小説「ジャッカルの日」の映画化。製作はジョン・ウルフ、デイヴィッド・ドイチェ、ジュリアン・デロード、監督はフレッド・ジンネマン、脚本はケネス・ロス、撮影はジャン・トゥールニエ、音楽はジョルジュ・ドルリュー、編集はラルフ・ケンプランが各々担当。出演はエドワード・フォックス、エリック・ポーター、デルフィーヌ・セイリグ、ミシェル・ロンスダール、シリル・キューザック、オルガ・ジョルジュ・ピコ、アラン・バデル、デレク・ジャコビ、ミシェル・オールレール、バリー・インガム、ロナルド・ピカップ、デイヴィッド・スイフト、デニス・ケリー、アントン・ロジャース、ジャン・マルタンなど。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1962年8月26日ペティ・クラマール郊外で、エリゼ宮殿からパリ近くの空港へ向かうドゴール大統領を乗せた車が、待ち伏せていた軽機銃で武装した1隊の襲撃をうけた。奇跡的に大統領は無事だった。すでに大統領暗殺は6回も計画されており、首謀者ジャン・マリエ・タリー中佐が銃殺刑に処せられた。全てが、アルジェリアからのフランス撤退政策をとったドゴールに反対する秘密組織OASの仕業だったが、63年に入ると政府側のしめつけが激しくなりOASは動きが取れなくなった。国外に逃れたOASの指導者ロダン大佐(エリック・ポーター)は残された最後の手段として、外国人で、しかも当局には顔も名前も知られていない殺し屋を雇う事にした。3カ月後、その条件にぴったりの男を見つけだした。その男の暗号名はジャッカル(エドワード・フォックス)。契約金は50万ドルだった。その金を用意するためにOASはフランス各地で銀行強盗を決行した。しかし、その突然のテロ行為はフランス当局を警戒させるもととなった。やがてロダン大佐の護衛の1人ウォレンスキー(ジャン・マルタン)がフランス側につかまり、拷問にかけられた。彼はしゃべらずに死んだがその断片的な言葉からフランス警察が動きだした。その頃、ジャッカルの準備も着々と進んでいた。身分証明書を偽造し、精巧な狙撃銃を作らせフランス国内に潜入した。ウォレンスキーの断片的な自白は、大統領を守る立場にある大臣(アラン・バデル)を緊張させた。政府首脳陣が召集された会議の結果、警察のルベル警視(ミシェル・ロンスダール)と補佐のキャロン(デレク・ジャコビ)に全権が委任され、捜査が開始された。彼らの必死の活動が続き、ジャッカルに今1歩と迫ったが、殺し屋の動物的なカンのために逮捕には至らなかった。ジャッカルがドゴールの横顔に銃の照準を会わせる前に2人の犠牲者が出た。ジャッカルとホテルで知り合い1晩ベッドを共にしたコレット夫人(デリフィーヌ・セイリグ)と、ジャッカルに肉体的魅力を感じて近づいたホモのベルナール(アントン・ロジャース)だ。その間にもルベルとキャロンの捜査網は次第にせばまったがどうしても彼を捕らえることはできなかった。1963年8月25日、解放記念日。厳重な警備を巧みにすり抜けたジャッカルは、ドゴールが立つはずの広場を見下ろすアパートの最上回の1室で、狙撃銃を組立てていた。一方、この日まで、ジャッカルを捕らえる事のできなかったルベルは、周囲を警備する隊員から、1人の年老いた傷痍軍人がアパートに入った事を聞きだした。やがてドゴールが到着し、式典は予定通り始まった。窓からドゴールの横顔を狙うジャッカル。発砲。だが、ドゴールの頭が1瞬動き、弾は外れた。2発目を込めようとした時、警備員を伴ったルベルが部屋に飛び込んできた。ジャッカルがふり返り軽機銃を持った警備員を射殺した。ジャッカルが次の弾丸を込める間、軽機銃を奪ったルベルが、ジャッカルめがけて引き金を引いた。ジャッカルは壁にたたきつけられ息絶えた。外の広場では何事もなかったかのように式典が続けられていた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2013年7月下旬号

新・午前十時の映画祭デジタルで甦る永遠の名作:「ジャッカルの日」「タワーリング・インフェルノ」

1974年2月上旬決算特別号

特別グラビア 外国映画ベスト・テン:スケアクロウ/ジョニーは戦場へ行った/ブラザー・サン、シスター・ムーン/ジャッカルの日/ポセイドン・アドベンチャー/マクベス/探偵-スルース-/激突!/L・B・ジョーンズの解放/ラストタンゴ・イン・パリ

特別グラビア 読者のベスト・テン 外国映画:ジョニーは戦場へ行った/スケアクロウ/ポセイドン・アドベンチャー/ジャッカルの日/フォロー・ミー/探偵-スルース-/ブラザー・サン、シスター・ムーン/ゲッタウェイ!/ロイ・ビーン/激突!

1973年10月上旬秋の特別号

外国映画紹介:ジャッカルの日

1973年8月下旬号

グラビア:フレッド・ジンネマン 「ジャッカルの日」

〈特別ディスカッション〉 「ジャッカルの日」研究1: 「ジャッカルの日」でジンネマンが狙撃したものは? 池波正太郎×小野耕世×篠原慎×関口英男×松田政男×白井佳夫

〈特別ディスカッション〉 「ジャッカルの日」研究2:フレッド・ジンネマン 「ジャッカルの日」を語る

シナリオ:ジャッカルの日

1973年5月下旬号

グラビア:ジャッカルの日/F・ジンネマン

1973年1月下旬正月特別号

グラビア:73にやってくる新作! イエス・キリストスーパースター/ブラザーサンとシスター・ムーン/ジャッカルの日/ドレスデン1945/追いつめられた男/アメリカの涙

1992年

2025/04/18

95点

その他/レンタルビデオ 
字幕


暗殺系サスペンスの最高峰とも言うべき大傑作

推理小説大好き少年だった私は、高校生の頃、フレデリック・フォーサイスの「ジャッカルの日」を読んだ。

原作は、1962年に起こったOASによるシャルル・ド・ゴール仏大統領暗殺未遂事件をもとにしたドキュメンタリー・スリラーとも呼ぶべき傑作である。

この小説は、私がこれまで読んできた、いわゆるエンターテインメント系の小説の中では最高と言ってもいい作品であった。

あれから40年近くたった今でもそう思うほど、読み応え抜群の素晴らしい作品であった。

フォーサイスは、ルポライターとしてこの事件を取材した経験を元に、本作を執筆している。

さらに彼は、ルポライターの前はロイター通信社の海外特派員であり、しかもその前は空軍のジェットパイロットも経験している。

こうした軍人としての実体験や、特派員として培った取材力が、後の執筆活動における人物描写と事実描写の説得力につながっているのだろうと推察する。

この素晴らしい原作を、監督のフレッド・ジンネマンは徹底したリアリズム描写で忠実に映像化した。

私は本作の初鑑賞は学生時代のレンタルビデオ。

その後も何回か見返し、10年ほど前には午前10時の映画祭でスクリーンでも観る機会を得たが、本作は見返せば見返すほど、原作を見事に映像化したジンネマンの演出意図が成功している作品だと感じられる。

例えばルベル警視が、若い警官から年老いた足の不自由な傷痍軍人のことを聞き、それがジャッカルだと見抜いてアパートの階段を駆け上がっていくクライマックスのシーン。

ジンネマンは、ルベルと警官の会話などのセリフは一切聞かせず、映像だけで分かるように描写しているが、このシーンは原作では克明に若い警官の心理描写が描かれている。

小説は、このように端役の人物の心理にさえ焦点を当ててサスペンスを盛り上げることも可能な媒体だが、映画でそのようなことをすると流れも止まるし、説明過多になる。

ドキュメンタリーの経験もあるジンネマンは、原作のリアルなタッチを損なわず、その上で映画化する上で映像表現の邪魔になるものを徹底的に削ぎ落としていることが分かる。

何なら映像表現を盛り上げる力を持つ音楽さえも削ぎ落とすことで、逆に原作の世界観を映像で表現することに成功している。

音楽は大変素晴らしいスコアもかけるジョルジュ・ドルリューだが、本作では決して音楽で盛り上げるような演出は一切されてない。

このジンネマンのリアルさを追求する演出が大変素晴らしい。

ジャッカルを演じたのは、当時はそれほど有名ではなかったエドワード・フォックス。

この役については、当初はロバート・レッドフォードも候補に上がったらしい。

ロジャー・ムーアもこの役をやりたくて、ジンネマンに直談判したそうだが、ムーアはジンネマンから「君では華がありすぎる」と断られたそうである。

だが、それはレッドフォードであっても同じだったはずである。

当時すでに三代目ジェームズ・ボンドを襲名していたムーアがこの役をやりたがっていたこと自体、とても興味深いし、またファンとしては見てみたい気もするのだが、しかしこの役はエドワード・フォックスで正解である。

ジャッカルを追い詰めるルベル役は「夜霧の恋人たち」や「好奇心」などに出ている、あまり華があるとは言えない地味な俳優マイケル・ロンズデール。これまた素晴らしい好演である。

フレッド・ジンネマンにとってこの作品には、世界一の殺し屋役にも、そしてそれを追い詰める刑事役にも、スターの華など一切不要だったのだろう。

脚本は「ブラックサンデー」のケネス・ロス。これも大変面白い作品であった。

そして本作のリアルな映像をキャメラに収めたのはジャン・トゥルニエ。

私は彼の名は「007/ムーンレイカー」で知っていたのだが、あの荒唐無稽で非現実的な作品を撮った撮影監督が、こんなにリアルなタッチの撮影をしていたと知って大変驚いたものである。

第二班の監督はアンドリュー・マートン、撮影はエドモン・セシャンが担当している。

マートンは「ベン・ハー」でヤキマ・カヌットと一緒にあの有名な戦車競争シーンを撮った人物であり、セシャンは「沈黙の世界」「赤い風船」を撮った名キャメラマンである。

さすが第二班も実力者を揃えただけのことはある。本作の映像クオリティは本当に素晴らしい。

この「ジャッカルの日」は、見事な原作を得ただけで成功した作品では決してない。

本作は演出・脚本・撮影・演技において、そのいずれもが淡々としたリアルさを表現しながらも、娯楽作品として第一級のスリルとサスペンスを堪能できる、フレッド・ジンネマンの素晴らしい大傑作であると思う。

2025/03/01

2025/03/02

85点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


また観た

原作を読んだ時の興奮が映画を観るたびに蘇る。ジャッカルというコードネームの殺し屋をエドワード・フォックスがまさにはまり役だった。ラストの畳みかける展開も圧倒的だった。

2025/03/01

2025/03/01

80点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


何十年ぶりかで三回目鑑賞

「この作品をフォーマットにして、以後たくさんの映画が作られたとわかる」という妻の言葉通り、今となっては緊迫感が少し緩んだ気がしてしまう。たくさんの「以後」を観ましたから。ですので、わたしの評点が若干下がりました。
ですが本作が超傑作であったことと、今も傑作であることには変わりないように思います。

原作もおもしろかったです。フォーサイス作品は、ノン・フィクション、フィクションを問わず、1970年代の私にとって、世界への窓の一つでした。たとえば傭兵の存在についてとか。本作からも、フランスとアルジェリアの関係について勉強するきっかけをいただきました。ありがとうございました。

2024/07/14

2024/07/14

-点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
字幕


たゆたえども沈まず

「彼は一体何者だったのだろうか?」

フレデリック・フォーサイスの同名小説をフレッド・ジンネマン監督が映像化。
1962年8月、フランス第五共和政において大統領シャルル・ド・ゴールはアルジェリア独立を認める。これに反発したフランス極右民族主義者たちは秘密軍事組織(OAS)を結成し、ド・ゴール暗殺を試みるが、暗殺計画は相次いで失敗しOASも弱体化する。残されたOAS幹部たちは逆転の一手として、素性不明の英国人"ジャッカル"(演:エドワード・フォックス)にド・ゴール暗殺を依頼するのだった…。
まるで史実なのではないかと思わせるくらい克明なジンネマン監督のドキュメンタリータッチ(原作未読のため僕も史実だと思っていた)、大捜査網を掻い潜る暗殺者、特注の銃など、所謂「図体だけがデカくなった子供たち」が大好きな要素が全部詰まっており面白い。序盤はあまりにもジンネマン監督のタッチが淡白なため味気ない感じもするが、ジャッカルがとっていた行動の真意が終盤に解き明かされると一気に緊張感が高まってくる。同時に、ジャッカルの深謀遠慮に寒気がしてくるのである。
が、それを上回る存在として、本作の殊勲賞はやはりパリ警視庁・ルベル警視(演:マイケル・ロンズデール)に与えられるべきであろう。高度に政治的な内容のため、捜査に必要以上に制約が入るなか、自身が抜擢したキャロン(演:デレク・ジャコビ)と共にジャッカルを追い詰めていく。一見どこにでもいそうで、家庭では妻に尻に敷かれている冴えないオジサンが、フランス政府の危機を前に鬼神の如き推理と大胆な捜査を展開していく姿にただただ頭が下がった。特に2つのパスポートのくだりは経験と論理の見事な融合だったと言っていい。
国家転覆のために知恵を絞った男、そのわずかな隙を突いた警視の胆力、そのどちらに軍配を上げるか女神も悩みに悩んだことだろう。その悩みの結果、最後には思いもよらない運命の悪戯が待っていた。

2024/04/29

2024/04/29

60点

レンタル 


スケール感は見事

同名の小説を原作とした1973年公開の作品。シャルル・ド・ゴール大統領暗殺計画を企てた犯人と、それを阻止しようとする警察の攻防を描く。

フランス、イギリス、イタリアなどヨーロッパ各所を舞台にしたスケール感が見事。犯人の計画も非常に凝っており、実際に起こった事件のように思わせてしまう。ただし、その分物語は入り組んでいてシナリオについていくのに集中力が要る作品でもある。主人公は暗殺犯なのに、まるで彼を応援してしまうような展開に魅せるのはさすがだなと思った。

ハードボイルドな映画なのでもう少し肩の力の抜ける部分があってもいいように思うけれど、50年前の映画とはいえ非常に映画らしい大仕掛けの作品として見応えはある。でも観るのにとても疲れる…。ラストがあっさりしているのはよいと思うけれど、それほどの個性を感じる作品ではなかった。

2023/12/25

85点

選択しない 


ピンと張り詰めた緊張感

ドゴール暗殺の為にフランスにやって来たコードネーム・ジャッカルというスナイパーの行動をドキュメンタリータッチで描いたサスペンスの傑作。ピンと張り詰めた緊張感がずっと持続して素晴らしい。
そして暗殺場面のドキドキ感と言ったらない。
 ジャッカルが淡々とプロフェッショナルぶりを見せる反面、女性に対して粘着的なのも面白い。エドワード・フォックス好演。