双子の姉弟ジャンヌとシモンの母ナウルが亡くなった。
母は姉弟に遺言を残していた。ジャンヌは父に、シモンは兄に母の手紙を渡さなければいけなかった。
母はレバノンの出身。父と兄に会ったこともない姉弟は、カナダからレバノンにそれぞれ旅立つのであった。
話の始まりはこんな感じでした。
徐々に暴かれる母ナウルの過去。世の中の方々が御存知の通りに、レバノンはキリスト教の右派とイスラム教の過激派が衝突して内戦が絶えない国だ。
劇中は凄惨なシークエンスが多数ある。このおぞましさ故に、観る側も恐る恐るではあるがどのような結末に至るか知りたくなるのである。
各映画レビューサイトをチェックすると、本作の評価は非常に高い。徹頭徹尾、主人公の姉弟が何をしたいかが明白だからだ。脚本的にも無駄な遊びが一切ない。それでいて、オムニバス形式で母の過去とレバノンの地で父と兄を探し回る姉弟を交互に映し出している。
これは上手い演出と思いました。適時、レバノンの移動先で母の身に何が起こったか教えてくれる。
結末はあまりにも衝撃的。忘れようがない。実は2度目の鑑賞でした。生々しさが甦ってしまいました。
個人的には、母が秘密を墓まで持っていく選択肢もあったのにとは思います。
でも、それなら映画にならないですね…。
この力作を観れたのだから、良しとします。