1906年、イギリス領香港。革命派のリーダーである孫文が武装蜂起計画のため香港に戻るとの情報を入手した清朝は暗殺団を派遣する。革命派のシャオバイは、スポンサーの大商人ユータンに、彼の息子チョングアンを巻き込まない約束で協力を取り付け、孫文の護衛作戦が始動する。しかし集まった義士たちの中から孫文の影武者を決めるクジ引きに、父親から外出を禁じられていたはずのチョングアンが参加しており、当たりを引いてしまう。
あらすじを雑に書いてしまったが、人間関係が複雑で全て書くとものすごく長くなってしまうのでばっさり省略。革命派の中にもそれぞれの信念や目的がある。孫文を守るため奔走するシャオバイ。資金援助は厭わないがひとり息子を心配するあまり政治活動と距離を置こうとするユータン。そんな父親の気持ちをよそに未来の中国に思いを馳せ密かに革命に身を投じているチョングアン。金のため暗殺団に情報を売っていた警察官のチョンヤンは、元妻の元にいる娘を守るため身を転じる。元妻は博打に明け暮れる自分を見限り、娘の将来のため今はユータンの第3夫人(家族全員が揃う食卓で他に妻らしき人が2人いたから多分)になっていたのだ。また車夫のアスーは自分に良くしてくれる主人のユータンや息子チョングアンへの忠誠心から彼らに力を貸す。孫文上陸の日。孫文と、その影武者を乗せた車に清朝の放った刺客が次々に襲いかかり、ひとり、またひとりと命を落としていく過程は、スピード感のあるアクションも見所だが、名もなき市井の人間たちが命を終えていく姿も胸にズシンとくる。表向き革命派と対立するように見えながら、さりげなく彼らの護衛に回るシー警部も泣かせる。こういう、戦国武将とか思想家とか有名人が主人公じゃない、彼らを支えた人間たちのドラマはテーマとして良いと思う。
とはいえ、登場人物が多いのでストーリーがゴチャゴチャして解りにくく、またやたら豪華キャストなせいでとても気が散る作品でもあった。例えば元王朝の若君で今はホームレスのリウを演じたレオン・ライ、鉄扇(?)持って戦う姿はカッコよかったけど、この役要る?と思ってしまった。