アパートの鍵貸します

あぱーとのかぎかします|THE APARTMENT|THE APARTMENT

アパートの鍵貸します

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レビューの数

113

平均評点

81.8(594人)

観たひと

939

観たいひと

105

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル コメディ / ラブロマンス
製作国 アメリカ
製作年 1960
公開年月日 1960/10/8
上映時間 125分
製作会社 ミリシュ・カンパニー映画(ビリー・ワイルダー・プロ)
配給 日本ユナイテッド・アーチスツ
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

ビリー・ワイルダーが「お熱いのがお好き」につづいて製作・監督したロマンチック・コメディ。脚色は前作と同様、ワイルダーとI・A・L・ダイアモンドの共同。撮影監督はジョセフ・ラシェル、音楽はアドルフ・ドイッチェ。出演は「お熱いのがお好き」のジャック・レモン、「恋の売り込み作戦」のシャーリー・マクレーン、「ボクはむく犬」のフレッド・マクマレイのほか、レイ・ウォルストン、デイヴィッド・ルイスほか。製作補佐をドーン・ハリソン及びI・A・L・ダイアモンドが務める。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

ニューヨークのさる大保険会社の一平社員バクスター、通称バド(ジャック・レモン)は、野望に燃える青年である。勿論出世のことである。その方法は、4人の課長にアパートの鍵を貸すだけで充分だった。4人はアパートをせっせと愛用し、バドの昇給にせっせと尽力した。そこに人事部長のシェルドレイク氏(フレッド・マクマレイ)も加わった。部長のよろめきの御相手は会社のエレベーター嬢フラン(シャーリー・マクレーン)。バドはこの丸ぽちゃで適当にグラマーのフランに片想いしていたので、少なからずショックだった。社員のクリスマス・パーティでフランのコンパクトを見たバドは、頭にくる。数日前バドのアパートに置き忘れられたので、バドが部長に返却申しあげたものと同一だったのである。酔ったバドが年増の金髪美人を連れてアパートに帰ると、そこでフランが自殺をはかっていた。離婚をした暁にはきっと君と…、と言うばかりで実行しないシェルドレイク氏の不実に絶望し、バド愛用の睡眠薬を全部飲んでしまったのだ。金髪美人を追い帰して、必死に看病するバドの心はフランを想う気持ちで一杯だった。翌朝、一大決心をしたバドは、部長にフランとの結婚を打ち明けようとする。その瞬間、部長は離婚が成立し、フランと結婚する旨をバドに宣告する。すべては後の祭りだった。人の気も知らない部長は、またもアパートの鍵の借用を申しこんできた。カンニン袋の緒を切ったバドは、辞表を叩きつけて会社を飛び出す。その夜、フランは部長とレストランへ。そこで今夜はアパートは使えない、と聞いたフランはハッと気がつく。バドの優しい想いと、自分を本当に愛しているのは誰か、ということを。部長を置き去りに、フランはバドのアパートの階段をかけ上がった。その耳にズドーンと銃声が。もしや自殺!? 部屋に転がり込んだフランの目に映ったのは、他の町での再出発をひとり淋しく祝ってシャンペンの栓を抜いたバドの姿だった。重役になれるかどうかは別問題。だが、バドの独身生活に栄光ある終わりが近いことは、確かなようである。メデタシ メデタシ。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2011年1月下旬号

午前十時の映画祭:「アパートの鍵貸します」「お熱いのがお好き」「ショウほど素敵な商売はない」

1960年11月上旬号

外国映画批評:アパートの鍵貸します

1960年10月上旬秋の特別号

新映画評:アパートの鍵貸します

1960年9月下旬号

新作グラビア:アパートの鍵貸します

外国映画紹介:アパートの鍵貸します

2024/10/14

2024/10/14

70点

VOD/U-NEXT 

・小気味よいラブコメ 主人公バクスターが自分の事は二の次であらゆる方面に気を使い、職を捨てるが最後にはハッピーエンドで終わる 典型的な展開ではあるが、ものすごく安心できるラスト
・当時の社会性、男性は女性と遊ぶものであり、その逢瀬の場としてバクスターの家を利用、全く前情報がない作品であったがタイトルの所以が分かった 現在ではここまで男性目線の作品は見なくなったと思う
・好きなフランに対しても部長の仲を取り持ち、隣人の先生夫妻、大家に対しても自分がだらしないことにして、彼女を含め全方位をかばう姿勢 このお人よしを完遂した彼に対して、心底幸せになってほしいと思う 最後の展開、フランが部長から彼の話を聞いて、部長と別れアパートに行く展開が待っていて本当によかった
・普通ぽくてキュートなヒロインのマクレーンは自然体で良かった

・フランはあれだけ、バクスターの世話になり、彼の気持ちを知っているならそもそも部長の元に戻らなくても良いとも思う
 

2024/03/14

2024/03/14

80点

テレビ 
字幕


パーフェクトな筋書き

現代ならば、もう少しスピードアップしたり、今風のくすぐりが加わったりするのでしょうが、、、ですが本作の丁寧な作り込みがおろそかになるかもしれません。
従業員3万人を超す大企業で働くサラリーマンであることが本作の重要な背景になっていて、ものすごい数の社員が一室で働いている様子が壮観で且つユーモラスなのですが、たとえばいま日本でリメイクすると、予算上、その規模は百分の一くらいになりますよ、きっと。
肝心のアパート室内でも、1960年頃のアメリカ大都市の生活様式がしっかり描かれていて、とても生活感が感じられます。

俳優陣では、達者な方がぞろぞろ出演されているのですけれど、シャーリー・マクレーンさんの空気感の変化が特に秀逸でした。エレベーターガールとしての快活な雰囲気に似合わず、恋については頼りなくはかなく愚かですらありました。けれどラストシーンで、ようやく人生の手応えを見つけた彼女は、その目も表情も態度も大きく変わります。ふてぶてしい、とは言いませんが、存在感が数倍になるのです。さすがはのちのアカデミー主演女優賞俳優でした。





2024/03/10

2024/03/10

75点

選択しない 
字幕


「いいひと」とは「都合がいいひと」

ロマンティックコメディの佳作として知ってはおりましたが未見でした。

「最後はハッピーエンドなんだろうなあ」などヒネた見方をしておりましたが(すみません)、結構最後までハラハラさせられて、さすが有名作。

管理職用食堂にトイレに個室に、上司の下の世話をして昇進する話も、アメリカ資本主義が全然バラ色に描かれていなくてなかなか渋く、好感が持てる。カストロの話が出てくるがこれはあまり生かされていない感じ。

Menschになれ、と言われて会社を辞めてしまうあたりはちょっと唐突かなと思いました。自分の部屋で嫌な上司がシャーリーと過ごすのは耐えられないか。

ラストの「shut up and deal」はカッコよかった!

2005/07/17

2024/03/05

80点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


2005年の鑑賞時の採点

採点のみで、レビューはありません。失礼。

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【基本情報の訂正】

アスペクト比=1:1.37(スタンダード)は間違いで、
1:2.35(シネマスコープ)が正しい

2021/08/24

2022/02/19

75点

レンタル/北海道/ゲオ/ゲオ旭川大町店/DVD 
字幕


小ぶりなドラマ

モノクロ。劇場鑑賞3回以上。
映画史上の重要作と認識していて、内容と展開は記憶にくっきり。
男女の心の触れ合いを描いたロマンティックコメディとしてやはり出色。
ニューヨーカーの庶民的な生活ぶりもしっかり描かれ、アメリカの都会を映し出す。
ほのぼのラブリーな大人の心模様。
ファンタジックな面もある。

2021/12/26

2021/12/26

90点

選択しない 
字幕


それはまた別のお話

『アパートの鍵貸します』(The Apartment)1960

「私って馬鹿ね。女房持ちとの恋にマスカラは禁物なのに」

「私には才能があるの。間違った男と間違った場所で間違った時に恋に落ちる才能が」

ビリー・ワイルダーの喜劇では「変装」「嘘を突き通す事」が中心的な役割を果たすことが多い。

「昼下がりの情事」では初心な音大生オードリー・ヘップバーンが「恋多き謎の女」に成りすます。
「あなただけ今晩は」では恋人の娼婦に客を取らせないためにジャック・レモンが大金持ちに成りすます。
「お熱いのがお好き」ではマフィアに追われるトニー・カーティスとジャック・レモンは女装する。
「フロント・ページ」では脱獄囚を匿う。

ワイルダーは「変装」というテーマを好んでるが一生のテーマというほどのことはない。喜劇を作る時に便利だから度々扱っているのだろう。誰かに変装した人物にとっては一挙手一投足が嘘がバレはしないかというハラハラ、観客にとってはゲラゲラのポイントになる。

「アパートの鍵貸します」の「嘘」は保険会社に勤めるジャック・レモンが上司が不倫相手と相引きする為に自分のアパートを貸し出しているという事だ。だがバレたら大変と言うほどの秘密でも無い。映画のストーリーはこの嘘を守る為に主人公があくせくすると言うものでは無い。

だから他のワイルダーの喜劇を観た観客にとってはいつもの嘘を守る為のドタバタが無い事に意外な気持ちになる。男を寄せ付けないヒロイン・シャーリー・マクレーンの本当の姿が現れてからは観客は気楽に笑ってはいられない。彼女に寄り添ってハンカチを手に持ってウルウルして物語の行方を見守ることになる。

なぜ「アパート」はいつもの喜劇ではないのか?

「昼下がりの情事」以下の作品には原作があるが「アパート」には原作がない。ワイルダーが参考にしたのはデビット・リーンの「逢びき」と実際の不倫事件だった。ハリウッドの大物エージェント・ジェニングス・ラングが不倫相手女優のジョーン・ベネットの夫プロデューサー・ウォルター・ワンガーに撃たれた事件。二人が逢引していたのはラングの部下のアパートだった。(IMDB)

ワイルダーと脚本家ダイアモンドは撮影しながら脚本を描き続けていた。ジンラミーの場面もフランの恋愛についての考察もシャーリー・マクレーンのスタジオでの様子から書かれた。そして有名なラストの台詞が決まったのは撮影1分前だった。(IMDB)

原作ありの他の作品がコメディとして纏まっているのに比べて「アパート」が悲喜劇の様相を呈しているのはその様な製作現場だったから。「考えながら撮影」していたからだったのだ。

現場で生まれた俳優たち本人の人生や偶然をワイルダーとダイアモンドが脚本にして撮影していったから予定調和のコメディではなく観ているのが時々ツラい映画になった。

主人公バクスターが出世の為にプライバシー(自宅アパート)を上司に提供する出世欲だけの子供から隣人の医師がいうメンシュ(本当の人間)になるまでの成長の物語。後はフランが捕まえたバクスターが「間違った男」なのかどうか?それはまた別のお話。