アデュー・フィリピーヌ

あでゅーふぃりぴーぬ|Adieu Philippine|Adieu Philippine

アデュー・フィリピーヌ

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レビューの数

8

平均評点

77.1(63人)

観たひと

95

観たいひと

8

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 フランス イタリア
製作年 1962
公開年月日 2010/1/23
上映時間 110分
製作会社 Rome Paris Films,Euro International Film,Alpha Productions,Unitec
配給 アウラ
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/ビスタ
アスペクト比 ヨーロピアン・ビスタ(1:1.66)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

テレビ局で働く兵役を控えた青年と二人の少女との恋を描いた青春映画。ヌーヴェル・ヴァーグの代表監督の一人ジャック・ロジエの長編処女作。かつて日本では自主上映会で紹介されていたが、2010年1月23日より東京・ユーロスペースにて開催された「ジャック・ロジエのヴァカンス」で日本初の劇場公開。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1960年兵役を数ヶ月後に控えたミッシェル(ジャン=クロード・エミニ)は、勤め先のテレビ局でリリアーヌ(イヴリーヌ・セリ)とジュリエット(ステファニア・サバティーニ)という女の子と知り合う。二人の娘はミシェルに恋心を抱く。ミシェルは生中継中にヘマをしてしまい放送局を辞め、コルシカ島で早めのバカンスを楽しんでいた。そんな彼のところに、リリアーヌとジュリエットがやってくる。双子のように仲良しだったふたりの仲は、嫉妬が原因でぎくしゃくし始めて…。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2025/07/11

70点

映画館/東京都/ユーロスペース 


ついに観てしまったジャック・ロジエ。

あのミシェルという男はそれほど魅力的だろうか?

テレビ局で働くミシェルと、リリアーナ、ジュリアンヌという2人の女の色恋劇。男女が逆転すればトリュフォー『突然炎のごとく』のようだが、相変わらず色恋がゲーム、遊びに見えるのはフランス映画ならでは。やはり映画を観ていて率直に思うのは、女2人が共有したり、独占したり、悲喜こもごもの軸である男、ミシェルがそんなイイ男に見えないことである。

当時、アルジェリア戦争の最中で、ミシェルは数ヶ月後に兵役に就く未来が見えている。だからこそ、4人で1台の車を買ってドライブ、ナンパに勤しんだり、家庭にお金を入れずに遊んだり、仕事を簡単に投げ出す気持ちも分からなくもない。どうせ戦線に駆り出されるなら、自由な内に思う存分、遊ばなきゃ、という。ただ、そんな彼の心情が察せれるのは、映画の終盤、車の中で騒がしい2人の女に怒鳴るシーンぐらいで、それまでずっと彼を追いかける2人の女の気持ちが理解できず。そんなに共有したいものなのか?お互いに嫉妬し合って険悪になるのが楽しいのか?そんな遊びが可能だからこそ親友なのか?そして彼は2人のおもちゃのようにされて気分がいいのか?

実はわたし、フランスのヌーヴェルバーグ期の作品が苦手なのだが、この手のフランス気質がその理由で、それを素直に笑っていられない。ルノワールが『ゲームの規則』で暴き茶化したフランスの恋愛体質だとか、それを客観的に滑稽に描写するロメール作品は大好きなのだが、あくまで自由に振る舞うヌーヴェルバーグは奔放すぎて笑うに笑えなかったり。まさに本作はわたしにとって、そんなヌーヴェルバーグの特徴だらけに思えたのだ。どう物語がころがり、どんな結末が待っているのか想像できない自由奔放さに居心地の悪さを感じてしまう。半面、バカンス先になるコルシカ島の喧騒やきらきら輝く水面から感じる陽気さと美しさには目を奪われてしまうところもある。

総じて、これまで苦手だからと大して触れてこなかったヌーヴェルバーグの中でも、いつか観なければと思っていたジャック・ロジエ。彼の代名詞たる『アデュー・フィリピーヌ』を今回、初めて観たが、ヌーヴェルバーグの特色、良さと、わたしの苦手な理由を同時に教えてもらった気がする。

2024/04/05

2024/05/26

75点

映画館/宮城県/フォーラム仙台 
字幕


高水準の娯楽映画

 1962年のフランス映画。特集上映「みんなのジャック・ロジエ」で2Kレストア版で鑑賞。テレビ局に勤めるミシェルは数か月後に兵役が待っていた。テレビ局の前でたむろしていたリリアーヌとジュリエットを局内に入れて案内する。二人はミシェルに恋心を抱き、二人のうちどちらがミシェルと付き合うかのゲームを始める。ミシェルは放送局でへまをし辞めてしまい早めのバカンスを楽しもうとコルシカ島へ。そこへリリアーヌとジュリエットも合流し、三人での楽しいバカンスを過ごす。しかし超なかよしだったリリアーヌとジュリエットは相手への嫉妬心からギクシャクしはじめる。そしてミシェルが兵役のため船で旅立つのを見送る二人だった。
 2010年にも観ているのだが、すっかり忘れていたのか印象が違ったからなのか初めて見た作品のように感じてしまった。それはリリアーヌもジュリエットもミシェルをものにするという賭けに勝ったとも言えず負けたとも言えない変な関係になってしまったことではない。アルジェリア戦争中のフランスという背景を理解していたからでもない。なんか映像が結構印象的だった。街中を歩くリリアーヌとジュリエット、スタジオ内をケーブルを抱えて移動するミシェル、双子のように飛び起きるリリアーヌとジュリエット。なぜか挿入された二人の登場するCM。カット割りで何かを説明するのではない不思議なカット割り。そういった映像の印象が今回は強く感じてしまった。これはハリウッドだと編集ではねられそうなカット割りなんだけど、現在でも通じるような面白い編集でした。そして結果的には素人を使っても演出がよければ高水準の娯楽映画が出来てしまうというお手本のような作品になっていました。ただ素人を使って素人くささで勝負するような作品とははっきりと一線を画していました。

2020/08/12

2020/08/15

95点

選択しない 


バカンス映画の一つでも観ないと気が済まない暑さ加減。
個人的には恋愛要素はそっちのけで、とにかく若さゆえの行き当たりばったりをそのまま撮りましてん。なシーケンスの横断にニッコニコ。
車の前の座席に4人横並びしてる時点で最高だし、後半部分のロードムービー的バカンスの切り取られ方も良かった。
何より、クビになるんならさっさとクビになってバカンスを楽しむという選択肢をとる男のメンタルに救われた気分になった。
ダメならダメで前向きになるしかないのだと、クビになったところで死にはしないのだと雄弁に語り掛けられた。
その分徴兵されるという一点においてはずっと影を落とし続けてるのも効果的でいい。

2018/09/01

2018/09/05

-点

映画館/東京都/新文芸坐 
字幕


おんなのこ2人かわいい格好して笑いながら夏を闊歩、最強すぎる。気持ちいい。水面の反射の眩しさ。

2016/11/13

2016/11/13

80点

映画館/東京都/シアター・イメージフォーラム 
字幕


ヌーベルバークの軽きステップ

トリフォーの "突然炎のごとく" やゴダールの "はなればなれに" は男二人女一人が主人公だった。同じヌーベルバークの仲間でも、その裏返しとなる男一人女二人の男女模様を描くJ・ロジェのフットワークはずっと軽い。その奔放さの度合いは後続作品 "オルエットの方へ" がより上回っているが、鬱陶しい映画の枠組みなぞはバカンスの開放感とともに小気味よいステップで乗り越えてしまうつくり手の素晴らしさはこの処女作でも充分に伝ってくる。
街を闊歩するふたりのヒロインを横移動で追いかける長廻しの乗りの良さ。TV局に勤める青年を加えて三人一緒の戯れ場面が多いなか、彼と彼女達のうちひとりがツー・ショットとなるとき、その切っ掛けを仄めかすのみで決定的なラブシーンを回避する工夫が印象に残る。それは、バカンスも終わって港での長き別離の場面に意外や深き叙情的な趣きを与えていた。

2016/10/28

2016/10/28

70点

映画館/東京都/シアター・イメージフォーラム 


トリュフォーにしろ、ゴダールにしろ、ヌーベルバーグの初期の作品は、映画を撮れることの歓びにあふれているのだが、この映画も例外ではなかった。街中を歩く2人を追いかける撮影の長いこと!手を振る2人のシーンのしつこいこと!本当はこのままずっとカメラを構えていたいんだよう、とでも言いたげで、微笑ましくもみずみずしく、懐かしくも切ない時間であった。