ヘヴンズ ストーリー

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ヘヴンズ ストーリー

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レビューの数

31

平均評点

76.5(142人)

観たひと

220

観たいひと

72

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 2010
公開年月日 2010/10/2
上映時間 278分
製作会社 ヘヴンズプロジェクト
配給 ムヴィオラ
レイティング PG-12
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 DTS

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督瀬々敬久 
脚本佐藤有記 
企画浅野博貴 
製作小林洋一 
吉村和文 
林瑞峰 
岡田博 
須田諭一 
プロデューサー朝倉大介 
坂口一直 
撮影鍋島淳裕 
斉藤幸一 
花村也寸志 
美術野々垣聡 
田中浩二 
金林剛 
音楽安川午朗 
エンディング曲Tenko
(「生まれる前の物語」)
録音黄永昌 
高田伸也 
整音鈴木昭彦 
照明福田裕佐 
編集今井俊裕 
制作担当藤川佳三 
助監督海野敦 
菊地健雄 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演寉岡萌希 サト
長谷川朝晴 トモキ
忍成修吾 ミツオ
村上淳 カイジマ
山崎ハコ 恭子
菜葉菜 タエ
栗原堅一 ハルキ
江口のりこ カナ
大島葉子 直子
吹越満 サトの父
片岡礼子 サトの母
嶋田久作 弁護士
菅田俊 鈴木
光石研 シオヤ
津田寛治 黒田
根岸季衣 チホ
渡辺真起子 美奈
長澤奈央 女医
本多叶奈 サト(8歳)
佐藤浩市 波田
柄本明 ソウイチ
yumehina 
岡本芳一 
諏訪太朗 
外波山文明 

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

殺人事件をきっかけにつながりあう20人以上の人々の姿を通して、復讐と再生を描くドラマ。全9章、上映時間4時間半を超える大作。監督は「ドキュメンタリー頭脳警察」など、ピンク映画からメジャー作品まで幅広く手掛ける瀬々敬久。出演は「掌の小説」の寉岡萌希、「ハッピーフライト」の長谷川朝晴、「必死剣鳥刺し」の村上淳。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

少女サト(本多叶奈)が8歳の夏。友達と海水浴に出かけている最中、家族が何者かによって殺害される。1人残されたサトは、祖父ソウイチ(柄本明)に引き取られることに。事件の日からオシッコが出なくなったサトは、テレビで“法律が許しても、僕がこの手で犯人を殺してやります”と言い放つ男を目にする。それは、妻子を殺された鍵屋のトモキ(長谷川朝晴)だった。その日から、トモキはサトにとってヒーローとなる……。1人息子を育てている警官のカイジマ(村上淳)は他人には言えない副業をしている。関東では桜の季節、しかし東北の鉱山跡はまだ雪。カイジマは雪の中で仕事をこなした。戻ったカイジマは花見をしながら息子に土産を渡すが……。バンドでギターを弾いている22歳のタエ(菜葉菜)。父親の暴力のせいで片耳が聞こえず、孤独な彼女は、雨の日、トモキと知り合う。少し暗い影を持つ彼にタエは惹かれる……。ある船着場。16歳になったサト(寉岡萌希)が降り立つ。そこは、彼女のヒーロー、トモキが住む町だった。セミのぬけ殻を“虫の死体”と呼ぶ少年の自転車を強引に借りたサトは、トモキを探す。こうして、復讐が始まろうとしていた……。若年性アルツハイマーと診断された人形作家の恭子(山崎ハコ)。ある日、恭子は病院のテレビで、理由なく殺人を犯した少年の言葉を知る。“これから生まれてくる人間にも、僕のことを覚えていてほしい”。やがて落葉が舞う季節となり、彼女に変化が訪れる……。夏、かつて“雲上の楽園”と呼ばれ、カイジマも訪れた東北の鉱山跡の廃墟を2人の男女が訪れる。あれから8年、そして悲劇が訪れる……。サトはヒーローとともに、彼の住む町にいた。彼はすでにヒーローではなかったが、それでもサトは彼が好きだった。事件から10年が経過。季節外れの雪が舞う紅葉の山中を走るバス。その中には、すでに亡くなった姉の年齢を追い越したサトが乗っていた……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2017年12月上旬号

MOVIE at HOME:●DVD COLLECTION 「ヘヴンズ ストーリー」 インタビュー 瀬々敬久[監督]

2010年10月下旬号

「ヘヴンズ ストーリー」:瀬々敬久監督インタビュー

「ヘヴンズ ストーリー」:山崎ハコ インタビュー

「ヘヴンズ ストーリー」:特別寄稿

2023/02/27

2023/02/27

32点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/PC 


いやな感じ

悲しいときは号泣し、苦しいときは絶叫し、怒るときは激昂し、すべて感情の通りの表現が連続して単調。なんか、荘厳そうな雰囲気を出そうとしてるけど、言動が中高生並みで短絡なので空々しい。
表現の稚拙さをカバーするかのように、役者に2階から飛び降りさせたり木から落としたり、ヤバいことをこれ見よがしにやらせてるところがいやな感じ。

2023/01/03

2023/01/03

40点

VOD/U-NEXT 


志しの高さは評価します

正直、瀬々敬久自身、278分を持て余したように思う。柄本明や佐藤浩市のパートは徒花っぽくそれほど必要性を感じない。余りの長尺に観ている間に時系列を見失うこともしばしば。

冷静に考えればそもそも悪いのは人を殺めた輩。被害者はどこまでいっても被害者であり、加害者に救済の必要などない。この設定にまず拒否反応を抱いた。殺人と出産のクロスカットも余り成功したとは思えない。せっかく群像劇の体裁を取ったのだからラストは数多の想いをダイナミックに収斂させて欲しかった。

志しの高さは認める。撮りきった事実も素晴らしい。ベルイマン辺りの世界観の再現を狙ったのだろうが流石に不発に終った。キリスト教的世界観がバックボーンにある海外ならともかく無宗教に等しい日本で宗教的な内容に寄せるのは難しかっただろう。このテーマなら思い切って哲学的な方向性に振っても良かったのではないか。

瀬々敬久の好みそうな顔立ちの寉岡萌希の熱演と廃墟が似合う山崎ハコの佇まいは良かった。

2022/02/08

2022/02/09

85点

VOD/GyaO! 


復讐のはて

とりあえず、テレビの前に座って動画をスタートさせると、4時間半超という数字が目に入りました。このところキネ旬ベストテン作品を見ていると、名作とは長い映画のことなのかと思ってしまいます(笑)。この作品は9つのパートに分かれていて、登場人物が交錯していく、群像劇スタイルになっていました。家族を殺された2人の男女が出会い、新たな殺人につながっていくという悲劇が語られています。テーマ的には第8話あたりの題にも見られるように、復讐が復讐を呼んでいく物語です。そして、新たな生命の誕生で、未来へつながる明るさや輪廻を示していました。

山崎ハコさんが感動的です。しみじみと素晴らしいパフォーマンスでした。廃墟の街の場面では、雰囲気がぴったり合っています。他にもたくさんの俳優さんたちが出てきますが、それぞれ一人ひとりの表現が充実して素晴らしいと感じました。そして、節目ででてくる芸能パフォーマンスは、人形を使った劇なのですかね。これも良かった。シュールでありながら、所作による表現がとても豊かでした。ラスト近くの場面は、ヨーロッパ映画的な雰囲気があり、周囲に立つ黒い人々や、美しい紅葉のある構図を見ながら、ベルイマンの雰囲気とか思い出していました。

舞台となる住宅街が面白いと思いました。炭鉱跡の廃墟、丘の上の新しいマンション群、海辺の住宅街などなど、大きな団地がいつも背景にあります。その部屋の一つ一つでそれぞれの物語が紡がれていそうです。一連の出来事から広がる復讐の連鎖の背景に広がりを持たせている感じです。海辺の団地はちょっと日本離れした印象を持ちました。最近はメジャーな作品を製作することも多い瀬々敬久監督ですが、こういった、撮りたいことを撮りきった作品は、思いが溢れていて、素晴らしいと思います。4時間半の鑑賞のかいがありました。

2020/11/24

2020/11/24

-点

選択しない 


横須賀・浦賀の渡船が出てくる。これは個人撮影の動画やTVではなく、映画作品で残してほしかったもののひとつだっただけに、微妙に困惑。終盤、遊具施設のある場面はくりはま花の国。浜辺近くの集合住宅は何処だろう?

2020/10/24

2020/10/26

70点

選択しない 


神様はいるのか?

ネタバレ

 突然、家族を殺され独り取り残されることになった者の苦しみと犯人への怒りや憎しみが描かれ、一方で人の命を奪った者が抱える、贖罪しようとしてもしきれない罪の重さと葛藤を描くことで、人の世を俯瞰してみるというのが本作のコンセプトだったのだろう。
 意味ありげに挟まる高層団地の群れや人気の全くない荒廃した団地のショットには世間一般が象徴されていて、それはどれも平準化していて何かが突出しているというわけでもない。団地とは普通の人々の生活であって、そんな人々が時に深い闇の裂け目に落ち込み、そこでもがき苦しむことになる。そんな人々で街はあふれていると言わんばかりの演出。
 群像劇のスタイルを取ったのも、理不尽な殺人事件だけでなく虐待やネグレクト、難病といった負の諸相を並列的に見せたかったからであろう。そうすることで一見平和そうに見える社会がいかに多くの憎しみや怒りで満ちているかを強調したかった。そう思えた。
 それぞれのエピソードに関連性を持たせることでドラマがオムニバスのようにぶつ切りになることを避け、一本の太い幹を作ろうとした意図も理解できる。そのため人はどこかで罪深いしまた悲しみを背負って生きているものだ、ということが伝わってくるようになっている。
 でもやはり本作の肝は、一家を惨殺され、しかも犯人の自殺によって復讐すらかなわなくなったサト(寉岡萌希)の苦しみと救済にあるのであろう。だから映画も彼女のエピソードで始められる。やはり妻子を行きずりの若者に殺害されたトモキ(長谷川朝晴)の復讐心が彼女の生きがいのようになってしまう。
 トモキの言葉はサトの人生を狂わせてしまったとも言える。そう考えると彼も罪深い。それでも時の流れが憎しみの感情を薄めたのだろう、トモキはタエ(菜葉菜)と再婚、娘まで設けて新しい生活を再スタートさせていた。その彼を再び復讐の泥沼へと引き摺り込んでしまうのもサトなのだ。その顛末には虚しさしか残らない。このサトの終盤の慟哭こそが見せ場となるべきではなかったろうか。
 復讐代行屋(村上淳)とか難聴のギタリスト(菜葉菜)、若年性アルツハイマーを患う人形作家(山崎ハコ)、代行屋に父を殺された女(江口のりこ)といった面々のエピソードもそれぞれに濃く描かれていて、サトのエピソードをより膨らませる下支えになればよかったのだろうけれど、そこはむしろ逆効果になっているような気がした。他のエピソードによってラストのサトの慟哭はむしろ薄まってしまったのではないか。
 なるほど出産と殺し合いをクロスカッティングで見せていくシーンは盛り上がるけれど、そこに唐突に宗教性や神話性を放り込まれてもと困惑してしまう。
 宗教的背景の薄い社会における罪と罰の意味づけをどのように処理し着地させるかという難題に挑んだ意気込みは、脆弱なテーマが蔓延る映画界にあっては貴重な試みだったと思う。サトが小学生時代の自分に「神様はいるのか」と問いかけるシーンは重要だと思うのだけどその重みが伝わらなかったのがもどかしい。

2020/08/09

2020/08/10

90点

その他/TSUTAYA DISCAS 


4時間越えの輪廻

通常の映画二本分に相当する4時間越えの生と死、罪と復讐を問う映画を9章のショートドラマでつないでいる。しかしどのドラマも手を抜くことなく仕上がっている。4時間が長いと思えなかった。