小さなごみ圧縮ロボットのウォーリー。
ごみだらけで誰もいない様子の地球。
同種の他のロボットは皆寿命を迎えたのか、動かなくなっている。
ひとり(1台?1体?)で日々黙々と、ごみをキューブ型に圧縮しては積み上げてタワーを作っていく。
友達はゴキブリ(?)だけ。
どうやらウォーリーには予定外に芽生えた感性や感情といったものがあるらしく、ごみの中から気に入ったものを拾い集め、分類収集したり、古いビデオから気に入ったシーンを繰り返し観ている。音楽やダンスが好きで、どうやら他者との触れ合いに憧れているらしい。
ある日、空から降ってきた飛行体が、1体の美しいロボットを置いていった。滑らかな曲線を描く白く輝くボディを持ち、宙に浮き高速で飛び、不審な動きには容赦なく壊滅的な破壊力を持つ光線を右腕から放つそのロボットは「イーヴァ」と名乗る。
命令によって地球上に降り立ち、何かを探しているのか、ありとあらゆるものをスキャンして回っている。
宙を舞うイーヴァの姿に魅了され、どうやら恋に落ちてしまったらしいウォーリー。自宅に招き入れ、コレクションを紹介していたら、植物を見せた途端にイーヴァの様子が急変。植物を体内に格納するや否やスリープ状態に。
動かなくなったイーヴァを甲斐甲斐しく気遣うウォーリーが切ない。
イーヴァを置いていった飛行体が再び飛来し、イーヴァを持ち去ろうとするので、慌てて飛行体にしがみつき、ついていくウォーリー。
着いた先は、もうずーーっと前(700年も前!)に、ごみだらけになった地球を飛び立った宇宙船。乗っているのは長い宇宙生活の果てに骨が細く小さくなり、体は肥満化、自力では立ても歩けもしなくなった人間たち。宇宙船の操作、船内のありとあらゆることはAIとロボットが賄っていた。。。
休日にVODでこどもと一緒に観たが、なかなか素敵な時間となった。
ウォーリーやイーヴァはじめ、AIロボットたちの動きの表現が秀逸。些細な仕草で性格や感情が見て取れる。セリフがほとんどないのに、動きで理解できて、笑えたりハラハラしたりする。
すばらしい。
冒頭のウォーリーの生活は、気ままで楽しそうに見えて、底なしに怖い。究極の孤独。しかも救いがゴキブリだなんて!きゃー!
かといって、700年後の宇宙船もなかなかのディストピアだ。
いや〜、さりげなくすごいものを突きつけてくる。
そして、絶対そんなことないと思うんだけど、それをすごく小さなものに確固たる希望を託して描いて、どういうわけか説得力持たせてくるあたり、ディズニーはすごいな。
とはいえ、わたしはこれ、すごく好きだ。
あり得ないとは思うけど、この希望にわたしも乗っかりたい!
宇宙を描くSF作品は、「宇宙空間に放り出される」「宇宙に取り残される」恐怖があって、あまり得意ではないのだけれど、今作の、例えば冒頭のウォーリーの孤独な生活であっても、そこに本来持ち得ないはずの感性を持って、ひとりだけどなかなか楽しく暮らしている、という表現も好きだし(たとえどんな状況にあっても、心の持ちようでいかようにも捉えられる)、消火器を持ったウォーリーとイーヴァが巨大宇宙船の周りを舞い飛ぶシーンなんかは、わたしの恐怖感を吹き飛ばしてくれるほど爽快で楽しい。それをみて、肥満化して浮遊椅子に座りポータブルディスプレイに釘付けの人間たちが少し本来の感情を取り戻す、という展開も悪くない。
随所に笑いが散りばめられていて、しかしさりげなく重いテーマを突きつけてきつつ、わたしたちが今何を大切にするべきなのか考えさせる、良い作品だと思う。
また観たいな。