父親の葬式以来、疎遠になっていた三兄弟がインドのダージリン急行で、長男が言うところの''心の旅''を通して絆を確かめ、更に新しいステージに向かってくコメディ。
この三人がどこかズレていて、まともじゃないところがあるのが飄々としたユーモラスな描写から滲み出ており、また、線路を上を走る列車なのに迷子になって今何処にいるのか分からなくなるなどアフタービートな笑いが満載。その合間にインド人の子どもの水難事故死とその葬式の参列、自分たちを捨てた母親との再会といった出来事を交えながら、それぞれが自分たちを見つめ直していくドラマになっている。
ラストは別々の道へ行くのかと思ったらもう一度、ダージリン急行へ。その際、父親のカバンや、それぞれの重荷をかなぐり捨てて走る列車に三人で乗り込み、兄弟揃ってこのインドで新たな展開に向かっていく。
ウェス・アンダーソン監督独特のユーモアと抑制の効いた台詞回しが味の脚本、音楽、主要キャストの好演が相まって魅力ある作品となっている。