ジプシー(ロマとも呼ぶ)はインドからスペインにかけての道を放浪していった中で生まれた人達、ということを初めて知りました。その流れを汲む四か国の音楽家が一堂に会して、アメリカ横断ツアーをやった時のドキュメンタリーで、言葉もスタイルも違う彼らが次第に打ち解けていく様子はいい感じで、インドのチタールからスペインのフラメンコまでが音楽的には同じ源流というのは驚きで、それが私にはどれも結構好みの音楽なので、なるほどねえ、とも思いましたね。そんな彼らがそれを理解して見事共演を果たすのは感動的ですね。そして迫害の歴史を持つジプシーが、窃盗団的な偏見を払拭して侵略や戦争を仕掛けなかった民族として紛争の無い平和の実現を訴えていこう、というテーマが浮かび上がる。その意義は大きいと思いますが、音楽映画としては「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」辺りと比べると感覚的に劣ると思いました。