本作を見て第1印象は、なぜネスタ―はイルマにあれほどぞっこんだったのかという疑問だった。
イルマを演じたSマックレーンには悪いが、カサノバ通りで一番の売れっ子と言うほどいい女には見えない。
もちろん娼婦だからベッドの中では、という評価もあると思うが。
この謎はBワイルダー監督が本作のイルマ役にモンローを想定していて相当こだわっていたという事情から氷解した。
モンローは本作の制作前に亡くなってしまったのだからしょうがない。
緑のストッキングや下着といった特徴を出しながら、Sマックレーンなりのイルマ像を模索していたのはわかる。
ただ本作で好きな女(本作では娼婦)を他の男(=客)と接触しないようにヒモの立場でありながら身を粉にして働き、変装して客として彼女を独占したい男の純情を主たるテーマとして描く上でイルマの配役は決定的だった。
また脚本がハッピーエンデイングに至るまで迂回しすぎるので144分の長尺になってしまっている。
この設定のドラマなら長すぎる。
もう少し編集が必要。
Aプレビンの音楽はテーマをアレンジを変えてゴージャスさとユーモアをうまく醸し出していた。