ゆれる

ゆれる|SWAY|----

ゆれる

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レビューの数

111

平均評点

80.0(909人)

観たひと

1587

観たいひと

198

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 2006
公開年月日 2006/7/8
上映時間 119分
製作会社 『ゆれる』製作委員会
配給 シネカノン
レイティング
カラー カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督西川美和 
脚本西川美和 
原案西川美和 
企画安田匡裕 
是枝裕和 
製作川城和実 
重延浩 
八木ヶ谷昭次 
プロデューサー熊谷喜一 
撮影高瀬比呂志 
美術三ツ松けいこ 
音楽カリフラワーズ 
録音白取貢 
照明小野昭 
編集宮島竜治 
衣裳平尾俊 
ヘアメイク酒井夢月 
キャスティング田端利江 
製作担当白石治 
助監督久万真路 
スチール日下将樹 
製作委員福間美由紀 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

幼なじみの女性の転落死を契機に、対照的な兄弟の心の奥底にある愛と憎しみを丹念に描く心理ドラマ。監督・脚本は「蛇イチゴ」の西川美和。出演は「メゾン・ドヒミコ」のオダギリ ジョーと「花よりもなほ」の香川照之。2006年度キネマ旬報ベスト・テン脚本賞受賞、助演男優賞(香川照之)受賞、日本映画ベスト・テン第2位。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

東京で写真家として成功した早川猛(オダギリ ジョー)は、母の一周忌で久しぶりに帰郷する。母の葬儀にも立ち会わず、父・勇(伊武雅刀)とも折り合いの悪い猛だが、温厚な兄の稔(香川照之)はそんな弟を気遣う。稔は父とガソリンスタンドを経営しており、兄弟の幼なじみの智恵子(真木よう子)もそこで働いていた。智恵子と再会した猛は、その晩、彼女と関係を持つ。翌日、兄弟と智恵子は近くにある渓谷へ向かい、稔のいないところで智恵子は、猛と一緒に東京へ行くと言い出す。智恵子の思いを受け止めかね、はぐらかそうとする猛だが、猛を追いかけて智恵子は吊り橋を渡る。河原の草花にカメラを向けていた猛が顔を上げると、吊り橋の上で稔と智恵子が揉み合っていた。そして智恵子は渓流へ落下する。捜査の末に事故死と決着がついたが、ある日、理不尽な客に逆上した稔は暴力をはたらき、連行された警察署で自分が智恵子を突き落としたと告白する。猛は東京で弁護士をしている伯父・修に弁護を依頼するが、公判を重ねるにつれ、稔はこれまでとは違う一面を見せていく。稔は、智恵子の死に罪悪感を抱いていたために「自分が殺した」と口走ってしまったと主張。その態度は裁判官の心証をよくし、公判は稔にとって有利に進む。しかし、稔が朴訥に語る事件のあらましは猛の記憶とは微妙に違っていた。猛は面会室で稔に、高所恐怖症にもかかわらず、どうして吊り橋を渡ったのかと兄に問う。稔は「お前は自分が人殺しの弟になるのが嫌なだけだよ」と答える。後日、証人として証言台に立った猛は、稔が智恵子を突き落としたと証言する。7年後、スタンドの従業員・洋平が猛の元を訪れ、明日、稔が出所することを伝える。その晩、昔、父が撮影した8ミリ映写機とテープを見つけた稔は、テープに残された幼い頃の兄と自分を観る。猛の目に涙があふれる。明け方、猛は車を走らせ兄を迎えに行き、歩道を歩く稔の姿を見つけ「家に帰ろう」と叫ぶ。稔は猛の姿を認め、微笑む。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2020年7月下旬号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第8弾 2000年代日本映画ベスト・テン:ベスト11

2007年3月上旬号

DVDコレクション:第300回 「ゆれる」

2006年8月下旬号

劇場公開映画批評:ゆれる

2006年7月上旬号

巻頭特集 「ゆれる」:グラビア

巻頭特集 「ゆれる」:座談会 オダギリジョー×香川照之×西川美和監督

巻頭特集 「ゆれる」:兄×弟の思い/兄の思い

巻頭特集 「ゆれる」:兄×弟の思い/弟の思い

巻頭特集 「ゆれる」:作品評

巻頭特集 「ゆれる」:西川美和、カンヌを経て

2006年1月下旬特別号

新春グラビア企画:「ゆれる」

2024/03/16

2024/03/16

74点

選択しない 


事実の描き方

幼馴染の女性の転落死をめぐる兄弟の葛藤を描いています。事故の真実に至るまでは興味深く観ていたのですが、事実はもっとぼかしたままの方がよかったかな。互いに取り戻せない人生になってしまったようで寂しい結末でした。

2024/01/31

2024/02/02

85点

VOD 


ゆれるのは信じる心か?

よく出来た兄貴と思いきや、嫉妬や劣等感がどんどん顕になっていく。兄貴を信じる気持ちや今までの家族愛が崩れて何が本当なのかわからなくなって、観てるこっちの心もゆれる。もう18年も前の映画なんですね。ピエール瀧は戻って来れたみたいだけど、香川照之も新井浩文も良い役者だったのに何やってんだ。

2024/01/06

2024/01/06

78点

その他/楽天レンタル 


西川美和監督・脚本による二作品目の鑑賞です

不条理センサーが過剰に反応してしまい、折角のデビュー作にケチを付けてしまって反省していますが、デビュー三年目でこのクォリティーの高さには驚きが有ります。

兄の稔(香川照之)は、幼馴染みで従業員でもある智恵子(真木よう子)に思いを寄せ、その智恵子は稔の弟で東京帰りの猛(オダギリジョー)に思いを寄せ肉体関係まで持ってしまいます。 一方猛の方はホンの火遊び程度で、女性には困っていない様子。 ハイキングが終わったら、もう帰って来ない予定だったかと思われます。

父(伊武雅刀)と弁護士の兄(蟹江敬三)にも確執が有りますが、弁護士として稔の為に尽力を注ぎます。 でも兄弟喧嘩の末の≪猛の嘘≫で稔は有罪と成ってしまいます。 7年後、明日稔が出所すると知らされた夜、母が残した8ミリフィルムを観た猛は後悔し、稔の出所に出向きますが、到着が一足遅れます。 そして近くのバス停に立つ稔を発見しますが、そこへ丁度バスが停車し、稔の姿を隠します。 そしてその後の結果は観客に委ねられました。 また猛の嘘と書きましたが、ハッキリ嘘とは表現されておらず、事故の再現シーンが数パターン有り、最後のパターンが真実の様に思いこまされた為か、≪猛が嘘≫と解釈しました。

前作では観客に投げっぱなしに感じましたが、今作は問われている様に感じました。 チョットした所なんだと思います。 やはり終盤に持って行くまでのプロットの組み立て方なんでしょうね。 キャストに助けられた部分も多いと思いますが、邦画としては十二分なサスペンスだったと思います。 ただ、検察官のキャラには少々疑問を感じました。

2023/12/13

2023/12/13

78点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/購入/テレビ 


ゆれたまま

香川照之の狂気に1番最初に気付いたのは、西川美和監督なのかもしれません。
改めて観ても、凄すぎる演技です。
また “ゆれる” というタイトルが絶妙で、本当に素晴らしい脚本だったと思います。ラストシーンまで、どっちになるんだろうと自分の心がゆれました。そして今もゆれたままです。

2023/08/26

2023/08/29

80点

テレビ/有料放送 


それでも真相はいかに。

真面目な兄貴と自由人な弟。一人の女を巡り、偶然に起こった事故。
その事故は殺人ではなかったか。兄の犯した罪に弟は間接的に介在していたのではないか。主人公たちの心は揺れに揺れる。まるで、安定しない吊り橋のように。「ゆれる」。
髭面のフリーカメラマンといういかにも胡散臭い役柄をやらせては、右に出る人はいないだろう「オダギリ・ジョー」、適役。
結局ないを考えているのかわからない不気味なガソリンスタンド員を演じる香川照之、適役。
閉鎖的な街及び人間関係から脱出したい願望を持つ29歳の女ガソリンスタンド員を演じる真木よう子・・・適役かどうか判断できず。
冒頭の30分で、姿を消す彼女については、死んでしまった故、ゆれる感情を確かめるすべがない。追想シーンで想像することに。
弟にあこがれ、今の街から救い出してほしいという願望は、突然乱入した兄によって妨害される。この橋の上の感情の交錯は、複雑に絡み合う。
分かっているようで、わからない真相。ラストシーンで兄の心情も結局はわからない。見る者の解釈にゆだねられる。
そこが、西川美和映画が文学となる所以だろう。

2023/08/05

2023/08/20

85点

レンタル/神奈川県/ゲオ/ゲオ大和中央店 


揺れる吊り橋、朽ちた板、怖い映画。

ネタバレ

裁判シーンが多いアメリカ映画は冷静に見ることが出来るが、日本映画の裁判ものは、なぜかツラくなる。
感情移入が強すぎるのだろうか。周防正行監督の「それでもボクはやってない」は、レビューを書くのが
ツラくなり、とうとう未完成でアップ出来なかった。逃げてもしょうがない。今回はどうだろうか。

基本は兄弟の映画である。東京でカメラマンとして活躍している弟の猛(オダギリジョー)と地元で家業の
ガソリンスタンドを営んでいる兄の稔(香川照之)だ。猛は万事自由に生活するが、実家を継いだ稔は、
父親の勇(伊武雅刀)の圧迫を受けながらの生活。ありがちなパターンで、稔は真面目なだけの鬱屈した
性格だった。現住所は正反対の位置にいる。さらに女性に対しては差が広がる。兄弟だが違うオスとなっている。
猛はガソリンスタンドで働いていた幼なじみの智恵子(真木よう子)と関係を持ってしまう。

稔は猛一家の思い出の地の渓谷へ行こうと提案する。兄弟と智恵子の三人は楽しく渓谷で遊ぶ。智恵子
は稔のいない時に猛と東京へ行く夢を語る。稔は智恵子に対する想いがあったのだが告白ができない。
猛が自由に動いた吊り橋を高所恐怖症の稔が智恵子を連れて挑戦した。自己を克服する試みだった
はずが、怯える惨めな姿になってしまい、思わず智恵子にしがみつく。触らないで、と激しく智恵子は拒否
する。朽ちた吊り橋の上で二人は悲劇の動きに至る…。

映画では、はっきりとした転落の映像を示さない。これが後半の裁判シーンで生きた。まずは稔は警察
での自供を智恵子の事故から過失致死に変える。この変節が猛の理解を越えた。稔にとって猛は東京
へ行ってより変貌したと思っている。自己の利益しか考えない弟となり、裁判は弟の世間体のために
争っている、と面と向って罵倒した。猛もついに自分の主張を裁判で披露することのなった。兄に引導を
渡す証言だった。二人をつないでいた朽ちた吊り橋は、ついに崩れてしまうのだ。

裁判映画の醍醐味は、新しい証拠の発見や新証言者の出現だ。一挙に展開がひっくり返り、胸のつかえ
が下りる。ただ、そうさせない映画もある。黒澤明監督の「羅生門」では検非違使の前で、三者の証言が
異なり、真相は「藪の中」となった。今回の西川監督作品では、被告の自供が変わり、実の弟の証言
決定打となる怖ろしい裁判となる。なぜなんだろう。幼い子供時代のフィルムが回され、黄金時代が
回想される。しかし現代時制では、ずいぶんと隔てられた立ち位置にいる。
やはり、胸のつかえが下りない映画だった。しかし全編を貫く緊迫した人の心模様が描かれた傑作となった。