不条理センサーが過剰に反応してしまい、折角のデビュー作にケチを付けてしまって反省していますが、デビュー三年目でこのクォリティーの高さには驚きが有ります。
兄の稔(香川照之)は、幼馴染みで従業員でもある智恵子(真木よう子)に思いを寄せ、その智恵子は稔の弟で東京帰りの猛(オダギリジョー)に思いを寄せ肉体関係まで持ってしまいます。 一方猛の方はホンの火遊び程度で、女性には困っていない様子。 ハイキングが終わったら、もう帰って来ない予定だったかと思われます。
父(伊武雅刀)と弁護士の兄(蟹江敬三)にも確執が有りますが、弁護士として稔の為に尽力を注ぎます。 でも兄弟喧嘩の末の≪猛の嘘≫で稔は有罪と成ってしまいます。 7年後、明日稔が出所すると知らされた夜、母が残した8ミリフィルムを観た猛は後悔し、稔の出所に出向きますが、到着が一足遅れます。 そして近くのバス停に立つ稔を発見しますが、そこへ丁度バスが停車し、稔の姿を隠します。 そしてその後の結果は観客に委ねられました。 また猛の嘘と書きましたが、ハッキリ嘘とは表現されておらず、事故の再現シーンが数パターン有り、最後のパターンが真実の様に思いこまされた為か、≪猛が嘘≫と解釈しました。
前作では観客に投げっぱなしに感じましたが、今作は問われている様に感じました。 チョットした所なんだと思います。 やはり終盤に持って行くまでのプロットの組み立て方なんでしょうね。 キャストに助けられた部分も多いと思いますが、邦画としては十二分なサスペンスだったと思います。 ただ、検察官のキャラには少々疑問を感じました。