明日に向って撃て!

あすにむかってうて|Butch Cassidy and The Sundance Kid|Butch Cassidy and The Sundance Kid

明日に向って撃て!

amazon
レビューの数

128

平均評点

80.8(804人)

観たひと

1184

観たいひと

80

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 西部劇 / ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1969
公開年月日 1970/2/21
上映時間 110分
製作会社 フォアマン・プロ/カンパニール・プロ作品
配給 20世紀フォックス
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

実在した2人組の強盗を描いた新感覚のモダン・ウェスタン。監督は「モダンミリー」のジョージ・ロイ・ヒル、脚本はウィリアム・ゴールドマン。撮影は「冷血」のコンラッド・ホール、音楽は「007/カジノ・ロワイヤル」のバート・バカラック、衣装をイーディス・ヘッドが担当。製作は「レーサー」のジョン・フォアマン、総指揮にはポール・モナシュが当たっている。出演は「レーサー」のポール・ニューマン、「白銀のレーサー」のロバート・レッドフォード、「卒業」のキャサリン・ロス、「ワイルドバンチ」のストロザー・マーティン、「勇気ある追跡」のジェフ・コーリー、テッド・キャシディなど。デラックスカラー、パナビジョン。1969年作品。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1890年代の西部。家畜泥棒と銀行強盗が稼業の2人組のガンマン、ブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)とサンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)は、同じ盗人仲間のハーベイ・ローガン(テッド・キャシディ)らの誘いにのって、列車強盗を試み、大金をせしめた。この後ブッチは、銀、錫などの鉱山資源の豊富なボリビアへ行って荒稼ぎしようと、サンダンスを誘う。そして、スペイン語のできるサンダンスのガール・フレンド、女教師のエッタ(キャサリン・ロス)も交えて、彼らはボリビアへ向かう。が、ボリビアはブッチの想像とは異なり大変な貧乏国で、2人はたちまち銀行強盗に戻る。やがて2人はヤンキー泥棒として有名になり、警察も彼らに手ごころを加えた。2人にとってはこれが不満で、とうとう彼らは足を洗い、錫山のガードマンとなった。エッタは2人がカタギになったことを喜ぶが、所詮、泥棒稼業が身についた2人、正業を長続きさせることはできないだろうと考えていた。この不安は的中し、数年後、彼らは鉱山の給料を奪い、再び警官に追われる身となった。捜索には、ボリビア軍隊までも動員され、2人はあえない最期をとげた。(20世紀フォックス配給*1時間50分)

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2022年11月上旬号

ポール・ニューマンという伝説:「明日に向って撃て!」

2010年11月下旬号

午前十時の映画祭:「スティング」「明日に向って撃て!」

1971年2月上旬決算特別号

特別グラビア 外国映画ベスト・テン:イージー・ライダー/サテリコン/Z/明日に向って撃て!/M★A★S★H(マッシュ)/テオレマ/王女メディア/冬のライオン/地獄に堕(お)ちた勇者ども/ひとりぼっちの青春

1970年2月下旬号

外国映画批評:明日に向って撃て!

1970年2月上旬決算特別号

キネ旬試写室:明日に向って撃て!

外国映画紹介:明日に向って撃て!

2025/09/24

100点

選択しない 


追悼

僕が映画を見始めた頃、既にスターだった、ロバート・レッドフォードが亡くなった。9月16日、89歳。大スターのはずなのに、その訃報はあまりにも静かに伝えられた。あまりにも淋しいので、昔の作品で、その思い出に浸ろうと思う。

間違いなく代表作。1970年度、キネマ旬報ベストテン第4位。

主人公は銀行強盗だし、敵に立ち向かうより先に逃げてしまうのに、この作品はどうしてこんなに良いのだろう。ダークヒーローと呼べるほど、やってることはカッコよくない二人を描いているのだが、やはりこの作品は僕の映画史に残る傑作と呼びたい。

まず、適度にユーモアの効いた脚本が素晴らしい。ブッチとサンダンスが、もう人生の峠を過ぎて下り坂に入った時期を描きながら、悲惨な感じは微塵もなく、二人のやりとりは笑いを誘う。

二人のキャラも良い。ブッチ・キャシディを演じたポール・ニューマン。このキャラにコミカルな性格を吹き込んでいる。作戦担当で、これまで人を殺したことがないという。盗みはすれど非道はせず。盗賊にこういうのも何だが、温かな人間味のあるキャラだ。

一方サンダンス・キッドのロバート・レッドフォード。外見はとにかくカッコいい。早撃ちの名手で、考えることや人付き合いは苦手だが、一度信頼した人間にはとことん付いていく。

この二人の友情を越えるような絆が、観ていて心地よい。

この二人に絡んでくるエッタ役のキャサリン・ロス。この三角関係が完璧に安定しているのが不思議だ。正三角関係とでも呼ぼうか。もともとキッドの彼女なのだと思うが、ブッチとエッタが仲良くしていても、嫉妬はない。それだけ三人は信頼し合っているということか。

良い映画には名場面、そして素晴らしい音楽がある。ブッチとエッタの自転車のシーンがとても楽しい。当然名曲「雨に濡れても」も、聞いているだけで感動してしまう。このシーンは会話などいれず、まるでプロモーション・ビデオのように見せる。ポール・ニューマンが実際にやってる自転車の曲乗りは、観ていてハラハラさせるが、とてもうまい。かなり練習したのではないだろうか。

良い場面には記憶に残る名セリフもある。追手に絶壁に追い詰められた二人のやりとり。そしてキッドの衝撃、いや笑劇の告白。やっぱ笑ってしまった。このセリフは有名なので忘れようもなく、ここで言うのは分かっているのに、笑ってしまう。

ラストのストップモーションも有名だ。効果音だけを残して、セピアカラーのストップモーション。その前のやりとりも泣かせる。ストップモーションでありながら、とても躍動感のある、素晴らしいショットだ。

バート・バカラックの音楽が良い。先程の「雨に濡れても」もそうだが、ボリビアでのエッタも加えた強盗シーンにかかる曲、歌詞はなく、ダバダバ、スキャットで歌っているのだが、このメロディが泣かせる。こちらも名曲である。活劇シーンではとても弾けるようなメロディ。落ち付いたシーンでは、心に沁み入るメロディ。これが交互に奏でられ、画面としっかりリンクしていく。ここでもセリフは一切入らず、音楽と画面だけを積み重ねていく。それでも雰囲気はとても良く伝わってくる。

昔の映画は、画としての構図が素晴らしい。この映画も良い画がたくさんある。カメラの撮り方もうまい。特に六人の謎の追手の追撃シーンが見せる。ここはブッチとの知恵較べになる。ブッチが追ってを振り払うために、次々と作戦を実行していくのだが、敵もさるも…。一定の間隔を置いて、ずっと追跡してくる六人を捉えたズームカメラが効果的だ。まいたかと思うと遠方からかすかに現れる六つの影。明かりが二つに分かれたかと思うと、また合流しようとする。遠くからその姿を見ているブッチとキッドの心境が伝わってくる。とても焦ってしまうのだ。観客にも、その焦燥感が伝染するようだ。

ドラマ的にも良い。この強盗でしか生きていくことが出来ない二人が、ボリビアで足を洗おうとして就いた仕事で、結局人殺しをしてしまった皮肉。ボリビアに行けば良いことがあるとブッチが言ったのに、そこは貧しい国で、また結局強盗しなければ生きていけなくなってしまう。その後にブッチが行きたいと言い出した国は…。

う~ん、良い場面がたくさんあって、きりがない。やはり名作と呼べるのは、このようにたくさん話がしたくなるような作品を言うのだろう。セピアカラーの使い方も良かった。その後に続くカラーもとてもきれいに見える。ポール・ニューマンもロバート・レッドフォードも僕の好きな役者だ。この二人の“間”が絶妙なのだ。映画の中で行われるアイコンタクトでお互いの行動を確認するあたり、その演技がそのままポールとレッドフォード本人の息が合っているように見えて、観ていて気持ち良かった。

この二人の演技は、その後もう一度『スティング』で花開く。監督は同じくジョージ・ロイ・ヒルだ。こちらも傑作と呼んで差支えなかろう。

2025/09/21

2025/09/21

65点

購入/DVD 
字幕


多勢に無勢

終わりは必ず来る!

2025/09/18

2025/09/18

85点

購入/DVD 


ロバートロバート・レッドフォード追悼・レッドフォード追悼

ネタバレ

アメリカン・ニューシネマの傑作。ブッチとサンダンス、ズッコケタ心やさしい二人組。ボリビアまで流れて(追い出されて)行きついた先で明日を夢見て、銃弾を受ける悲喜劇ドラマ。
ロバート・レッドフォード追悼で観た。合掌。

2025/09/17

2025/09/17

95点

VOD/iTunes(AppleTV)/購入/テレビ 
字幕


ロバート・レッドフォードに捧ぐ

2025年9月16日のロバート・レッドフォードの訃報に接した。映画を観るようになった頃、彼の作品はすべてが輝いていて、新作公開を待ち侘びるのが常だった。「スティング」「大統領の陰謀」「コンドル」「華麗なるヒコーキ野郎」「華麗なるギャツビー」──そのどれもが時代を超えて心に残る。
追悼の思いを込めて選んだのが、『明日に向って撃て!』である。初めて観たのは阪急プラザ劇場でのリバイバル上映。以来、この作品は私の「好きな映画」ベストの片手に必ず入る一本となった。映画館での再鑑賞、8mmフィルムのダイジェスト版、レーザーディスク、DVD、Blu-ray、そして今回は追悼の気持ちで4K VODにて。何度も繰り返し観た。
この作品を繰り返し楽しめる要因の一つは、映像と音響の絶妙な調和にある。キャサリン・ロスとポール・ニューマンが自転車で駆けるシーンには、バート・バカラックの「雨にぬれても」が寄り添い、映像の幸福感を倍増させる。ボリビアでの銀行強盗ではスキャットのメロディが皮肉めいた軽やかさを演出し、最後の銃撃戦では銃声がリズムのように響いて、悲劇でありながらも観客を映画の高揚感の中に留めてくれる。
ロバート・レッドフォード演じるサンダンス・キッドと、ポール・ニューマン演じるブッチ・キャシディ。この二人が肩を並べる姿には、男の友情と自由の輝きが詰まっていた。ラストシーンで静止画となる瞬間、彼らの「永遠」が焼き付けられ、観る者の胸に強烈な余韻を残す。
ロバート・レッドフォードよ、どうか安らかに。あなたの映画は、これからもスクリーンの中で輝き続けるだろう。

2024/09/29

2024/09/30

80点

テレビ/無料放送/テレビ東京 


やがてハチの巣になろうとも

過去に何度か見ているはずだが、記録として残っていなかった。
本作はアウトローを主人公として人間らしい叙情(魅力ある楽観的な2人の主人公と恋に悩む女性を絡ませる)を西部劇に斬新に導入し、ポップスを織り交ぜや早い展開で見せるニューシネマの代表作とも言える。
セピア色の画面からカラーへと移行する編集で、時代的な出来事を今ある様子のように見せる展開、そして再びボリビア軍に囲まれた中を突破しようとする瞬間でセピア色の画面で終わる。
何処かアウトローたちの夢や活躍が滅びていくノスタルジーを感じさせる。
更に今回ブッチ・キャシデイのアウトローでありながら、ボリビアの山賊に襲われて虐待するまで人を射殺しなかった人柄の良さが印象に残った。
そんな彼が相棒の彼女のエッタと自転車を2人乗りするシーンの清々しさを思い起こさせるのだった。

2023/01/29

2024/08/23

75点

映画館/群馬県/シネマまえばし 
字幕


古い時代の男たち

時代が変わろうとし始めていたその狭間。
昔気質のまま生きたいと、生きていけると思っていたのに
それが叶わない。
あがいて、もがいて、そのままでいられる場所を求めて彷徨っても
彷徨った先でも過去が追いかけてくる。

それでしか生きられない。
他の生き方を知らない。
その不器用さを哀しいと思えば哀しいが
自由に生きたんだからそれで良いじゃないかととも思わないではない。

2人の逃避行の掛け合いは、まるでルパン三世のルパンと次元のそれのよう。
軽妙なようでいて、時代に取り残された悲哀も感じる。
作品は2人が破滅していく姿を描いているんだろうけれど
何だかユーモアのある陽気な旅にも感じられる。

何だか不思議な作品でした。