青春というとかけがえのないキラキラと輝いているイメージが浮かぶが、実はもっと息苦しくて醜いものだと思う。
学校という社会にある意味守られているが、自由を拘束されてもいる。
理想の青春時代を過ごした人なんてほんの僅かだと思うが、この作品の朝日高校(何と清く正しい響きだろう)の生徒も、あるものは野球に身を捧げ、あるものは桜の木から毛虫を取っては土に埋め、あるものは抑えきれない衝動を暴力的にぶつけてまわる。
誰もキラキラとした輝きなどなく、不格好で滑稽な姿がとてもリアルに感じられた。
とにかく画面から発散されるエネルギーが凄かった。暴力の連鎖に、力を持つものが力のないものを押さえ込む図式、そして圧倒的にトイレのシーンが汚い。
屋上での度胸試しのシーンはどうやって撮ったのだろうと思ったが、かなりスリリングだった。
青春時代のギリギリの緊張感、誰しもが馬鹿をやるが絶対越えてはいけない一線があるわけで、大抵の人はそこを越えない。
この映画では越えちゃう人がいるんだけど。
残酷なシーンもあるが、何だか間抜けに思えてしまうから面白い。
個人的には野球に青春をかけたある生徒が、びっしりと野球への想いを込めた刺繍を入れた学ランを後輩に託し、ヤクザの道に踏み出すシーンが印象的だった。
登場人物は基本的には馬鹿ばかりで憎めない奴らばかりだが、一人の女子生徒と売店のおばさまがちょこっと登場するだけの全く女っ気のない作品で、終始むさ苦しかった。
青春時代の毒のようなものを最後まで観させられている感じで、花壇の花の世話をしているマメ山田演じる花田先生だけが唯一癒しの存在だった。