再見。リンチの人気が高い理由の一つは、難解な中にもキャッチーな感性が溢れ出ているところだろうか。独特の間というのもクセになる一要素だろうし、奇怪な作風と対極に位置するアンジェロ・バダラメンティの美しいスコアが、リンチの特異性を浮き彫りにしていて面白い。
その貫禄が凄いアンジェロや、惜しみなく出てくる俳優陣の中でも、ナオミ・ワッツの魅力が抜群で、訳が解らなくてもそれだけで観る価値がある。
演出の巧みさという点も十分味わうことができ、アカデミー賞でぽつねんと監督賞のみノミネートされる(2回も)のも頷けるであろう。