まるで、永遠に味のするガムのように、無限に解釈し続けられる映画。
メインのレイヤーは、「サンセット大通り」オマージュのベティ- リタ - ダイアンの女優の愛憎劇だと思うのだが、主役をゴリ押しされる映画監督とか、あることないことのゴシップを吹き込まれる新人俳優とか、リンチが現場でうんざりしたであろうシークエンスが興味深い。前半殆どアイドルだったナオミ・ワッツがやさぐれていくさまも凄い。絶賛されるオーディションのシーンはリンチからのメッセージでは。
思えば、リンチはこの作品以降「ツイン・ピークス」以外では「インランド・エンパイア」しか撮っていない。評価と不釣り合いな晩年だった。