トゥルーマンの人生そのものが、本人の知らないままショーとして放送されているという設定の発想が凄い。両親も友人も皆、役者なのだ。特にアクシデントで空から照明が落ちてくる場面は素晴らしい。
やがては真相を知ってこの世界からの脱出を試みるトゥルーマンにショーを観ている視聴者も同情し応援するようになる。遂に出口を見つけたトゥルーマンが外の世界に飛び出していく感動で終わるのだが、それだと良い話で終わってしまう。
そこはやはり、外の世界に出た途端、「新トゥルーマン・ショー」というタイトルが出て欲しかった。結局、外の世界も架空であり、新番組が始まるのだ。歓喜する視聴者。結局、大衆は一人の生贄を求めているのだ。これぐらいのバッドエンドの方が、よりこの作品のテーマが際立つ。テリー・ギリアムが監督だったらそれぐらいしたと思う。