スティーヴン・タイラー、娘のための大熱唱。
ネタバレ
以前、この作品を観たときは、宇宙の描写が非科学的なご都合主義にあきれた記憶がある。映画レビュー
を書くようになって、製作者側の事情も察するようになり、厳しい採点はしなくなったように思える。歳の
せいもあるのかな。
地球に流星雨が降り注ぐ。軌道上の宇宙ステーションやニューヨークに飛来して大被害を与える。その中心
にはテキサス州ほどの大きさの流星が控えている。地球に衝突すれば、全生物は破滅する。軍の首脳は
核ミサイルでの攻撃を主張するが、外部の爆発では針路を変えられない、と専門家に一蹴される。流星
内部に達する核爆発だったら二分された流星は地球を外れる、と主張。NASAは石油採掘業者に眼をつける。
宇宙を舞台にした作品でありながら、ヒーローは石油掘削業者8人になる、という逆転の発想が光る。
NASAの宇宙飛行士、核爆弾の軍人も加わり、二つのスペースシャトルが用意され、ツープラトーン体制で
挑む。キャストも豪華で、一人一人の個性も豊かに描く。ボスのハリー・スタンパー(ブルース・ウィリス)、
一人娘のグレース(リヴ・タイラー)、彼女の恋人になるA.J.フロスト(ベン・アフレック)の三人は特にていねい
に描かれる。地上の人間ドラマごと宇宙に飛ばす、超ヘビーな試み。
赤い宇宙服に身を固めた8人の勇姿をスローモーションで撮影したシーンは、映画を飛び出して様々な
媒体で流用される。
マイケル・ベイ監督は徹頭徹尾エンターテインメントの人。隕石上の重力がどれほどあるのか、疑問だが、
映画は地上の出来事のようにご都合主義で描かれる。ツープラトーンで臨んだ計画だったが、激しい流星
雨でインディペンデンスは墜落。それでも三人が生き残り、掘削機アルマジロを操縦し、フリーダムの掘削
の現場に到着するという超ラッキーな展開。
ハリーの死をはじめ犠牲者が累々で、ハリウッド映画ではめずらしい。それでも生きて帰れる状況でも
なかったが…。無茶苦茶な映画だが、割り切って楽しむしかない。