天使の涙

てんしのなみだ|堕落天使|Fallen Angels

天使の涙

amazon
レビューの数

48

平均評点

71.5(339人)

観たひと

597

観たいひと

38

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ / ラブロマンス
製作国 香港
製作年 1995
公開年月日 1996/6/29
上映時間 96分
製作会社 ジェット・トーン・プロ作品
配給 プレノンアッシュ
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演レオン・ライ Wong Chi-Ming/Killer
ミシェル・リー The Killer's Agent
金城武 モウ
チャーリー・ヤン 失恋娘
カレン・モク 金髪の女
チン・マンライ 
斎藤徹 

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

ネオンきらめく香港の街の音と光の中、5人の若者たちの恋と青春群像を描いた一編。監督・脚本は「欲望の翼」「恋する惑星」のウォン・カーウァイ。全編にわたる極端な超ワイドレンズの使用、トレードマークとなったコマ落とし/コマ伸ばしの連続によるアクション場面の躍動感、光と音の斬新な使い方など、その斬新なビジュアル・センスにさらに磨きがかかった。当初、3話から成るはずだった「恋する惑星」で省略したエピソードを発展させたものだが、監督自身は「同じスピリットから生まれたもので、続編ではない」と発言している。製作は「黒薔薇VS黒薔薇」「チャイニーズ・オデッセイ」など娯楽作品の監督でもあるジェフ・ラウ、撮影は「欲望の翼」以来コンビを組むクリストファー・ドイル、美術は「いますぐ抱きしめたい」以降のカーウァイと組むウィリアム・チョンなど、カーウァイ作品の常連スタッフが集結。出演は「妖獣都市・香港魔界篇」「シティー・ハンター」のレオン・ライ、「スウォーズマン/女神伝説の章」のミシェル・リー、「恋する惑星」の金城武、「バタフライ・ラヴァーズ」「トワイライト・ランデブー」のチャーリー・ヤン、「チャイニーズ・オデッセイ」のカレン・モク。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

そろそろ足を洗いたい殺し屋(レオン・ライ)とそのパートナーである美貌のエージェント(ミシェル・リー)。仕事に私情を持ち込まないのが彼らの流儀で、二人は滅多に会うことはない。しかし、その関係が揺らぎつつあるのを2人は知っている。エージェントが根城とする重慶マンションの管理人の息子モウ(金城武)は5歳の時、期限切れのパイン缶を食べすぎて以来、口がきけなくなった。定職に就けない彼は、夜な夜な閉店後の他人の店に潜り込んで勝手に“営業”する。時に強制的にモノやサービスを売りつけるが、いたって明るく屈託がない。ある日、彼は失恋したての女の子(チャーリー・ヤン)に出会って初めての恋をする。しかし、彼女は失った恋人のことで頭がいっぱいで、彼のことなんか上の空だった。一方、殺し屋はちょっとキレてる金髪の女(カレン・モク)と出会い、互いの温もりを求める。彼と別れた金髪の女とエージェントは街ですれ違いざま、互いの関係を嗅ぎ当てる。エージェントは殺し屋に最後の仕事を依頼した。殺し屋は最後の仕事で最初の失敗をし、数発の銃弾が彼の途切れる意識に響く。モウは父親を亡くし、再び元の商売に戻った。バーガー・ショップで“営業”している時、初恋の人と再会したが、彼女の方は少しも覚えていないようだった。エージェントは街でモウに出会う。彼のバイクに乗って家まで送ってもらう道すがら、彼女は久しぶりに人の温もりを感じた。その暖かさは彼女にとって永遠だった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1996年8月上旬号

特集 天使の涙:ジル・ミモーニ インタビュー

1996年7月下旬号

外国映画紹介:天使の涙

特集 天使の涙:詩

特集 天使の涙:ウォン・カーウァイ 監督インタビュー

特集 天使の涙:作品評

2024/06/23

2024/06/23

92点

映画館/東京都/新文芸坐 


いやあ実によかった。映画の悦びに満ち溢れてる。

2024/01/21

2024/01/24

80点

VOD/U-NEXT 
字幕


一年ちょっとぶり

何故か観たくなったんで観賞。
ウォン・カーウァイ作品の中ではあまり評価されてないかもしれないが好きな作品。
バイオレンス&クレイジー。

2023/08/24

2023/08/24

65点

テレビ/無料放送/その他 
字幕


オープニングを観た途端に、これはウォン・カーワイの作品だなと分からしめる映像表現はある意味強烈だ。その特異な色調というか画調というのか、他の監督作品には見られないものがある。
その映像にまた音楽がよくマッチしていて、いつのまにか作品の世界に引き込まれている。
相変わらずストーリーらしいストーリーはあるようなないような、登場人物の刹那的というか厭世的な生き様が坦々と描かれていくだけなのに飽きさせないところが凄い。
他の方のレビューにもある通り、彼の作品は感性で観る映画なのだろう。

2023/08/06

2023/08/06

60点

テレビ/無料放送 
字幕


情景とそこに記録された物事

モノローグによって自らが殺し屋であることを明かしている.かといって彼(レオン・ライ)は饒舌というほどではない.彼がバスに乗り込むと,饒舌な同級生が保健の勧誘とともに,披露宴のことなどもベラベラとしゃべりかけてくる.殺し屋に過去が割り込んでくる.殺し屋はひやついている.クールなヒップホップとともに彼は言葉ではなく銃を乱射し,その場の人々「友人」を撃ち殺している.
彼女(ミシェル・リー)は誰だというのだろうか.キャメラは彼女に寄り添う.広角のレンズ,ソフトにみせるフィルター,タイムラプス,スローモーションなどの効果がこの街をいっそう幻想的に見せている,黄色,赤,青,ネオンや照明,モニター,ガラスケース,水槽,そして鏡に映った姿などが夜に怪しく,そして静かに光っているように見える.彼女はタバコを吸い,喘いでいる.笑っているようでもあり,泣いているようでもある.タバコを手にする,彼女のその手はわずかに震えている.
アイスを食べさせ,野菜を押し付けている男(金城武)もいる.彼は無口である,喋ることができないらしい.父(チャン・マンルイ)と暮らし,父をトイレに閉じ込め,父に髪を洗わせ,その髪は金髪にもなり黒髪にもなる.
マクドナルド,サッカースタジアム,雀荘,食堂.焼き鳥屋雨が降る.乱闘が始まると,派手な音楽が流れ出す.1818のナンバーでムードのある歌謡曲も流れ出す.ブルースも聞こえている.モニターにはさまざまな映像が映し出される.メッセージビデオや自撮り生映像,無口な男はビデオカメラを回し父の撮影も始めている.
地下道ですれ違う女と女は,香水で男を介した互いの存在を意識する.女(カレン・モク)は髪を金髪に染めており,相手の記憶に残るようにと思っている.
記憶と残像,あるいは残り香,そしてそこに誰かがいるということ,そこに誰かがいたということが人と人を際どく繋いでいく.逆に殺し屋の銃弾は,人と人を突き放し,「友人」という皮肉な言い様もしっくりくる.人と人が色や音を共有し,印象派とも言えるような映像体験を観客が共有したとき,言葉にならない情感が通じ合うのであろう.

2023/06/19

2023/06/19

78点

テレビ/有料放送/ムービープラス 
字幕


備忘メモ:
日記を観ているよう。出演者の独白が面白い。「全く有り得ない、と思う様なことを話すなぁ」と感じる時もあれば、腹落ちすることを言う時がたまにある。どうやら、村上春樹の影響らしい。1984映画化してくれないかなぁ、ウォン・カーウァイ。
主役の3人(殺し屋、パートナー女性、金城武)は、どうも、恋する相手に素直に愛を表現出来ない。それに反し、殺し屋と金城武の行きずり相手の女性それぞれは、率直に自分の気持ちを出してくる。オレンジ色の髪の娘が元気印でチャーミング。
一歩踏み出しても、上手くいかない人々。香港の時代性を何か反映しているのだろうか?
金城武が調理用の豚身体を整体マッサージしてあげるシーンは、何故か可愛らしさを感じた。
wikipediaによると「『天使の涙』や『ブエノスアイレス』(カンヌ国際映画祭監督賞)では脚本を書かず、撮影直前に俳優にメモ書き程度の指示を与え、即興による演技をさせて話題に。」と書いている。前述のシーン等は、まさにそうなんだろう。さすが、金城武。最初の方の彼は、精神的に行ってた感があり、面白かった。
金城武とお父さんのエピソードが、後半に進むほど、深まっていく。
女性パートナーのオナニーシーンは迫力あった。「ブエノスアイレス」のゲイ愛シーンと共に二大性愛シーンかも。
「ブエノスアイレス」と言えば、当作品でも、顔アップシーンあったなぁ、誕生日ビデオ観ているシーンとか。
流れる香港夜景光
金城武と女性のバイクシーン。ラストは、あの人だったんだぁ。

と色々書きましたが、”全体としての纏まりの無さ”は否めなかった。破滅・虚無に向かっていってしまう主人公達に、今一共感出来なかった。「これが、香港の近い将来だよ」がメッセージなら、納得出来るけど。。。

2023/03/16

30点

選択しない 


消費期限があるのは恋だけではなく映画にもあるということ

 原題"墮落天使"。
 『恋する惑星』(1994)の続編で、香港・尖沙咀が舞台。前作同様二組のカップルが登場するが、オムニバス方式ではなく、殺し屋とそのエージェントの女、口の聞けない男と失恋娘の二つのエピソードが並行して語られる。
 エージェントの女(ミッシェル・リー)は殺し屋(レオン・ライ)に恋してしまい、彼の隠れ家に出入りし、ベッドでオナニーをしたり、掃除のゴミを持ち帰って彼の生活を想像する。
 口の聞けない男モウ(金城武)は重慶大廈の管理人をしている父親と暮らしていて、夜中に無断で店舗を開けて押し売りをしている。出逢った失恋娘(チャリー・ヤン)に恋をするが、娘はライバルの赤毛女アレン(カレン・モク)を憎んでいて、失恋娘と一緒にアレンを探し回ることになる。
 フィクションとはいえ、エージェントの女の殺しの目的がわからず、モウの押し売りも荒唐無稽で、出来の悪い子供の空想話を聞かせられているようで萎える。
 広角レンズによる主観中心の非日常感の演出、残像を使ったアクティブな動きなどで映像効果を狙うが、使い過ぎでウザい。
 映像効果や音楽でアバンギャルドでスタイリッシュな映画を演出しているが、外面だけで中身が空疎。『恋する惑星』の二番煎じというよりも出涸らし。
 殺し屋は引退を決めた最後の仕事で失敗。失恋娘が去ったモウは夜の仕事に戻る。新しい恋人ができた失恋娘はモウのことを覚えてなく、出会ったエージェントの女に頼まれてバイクで送っていくシーンで終わる。
 消費期限があるのは恋だけではなく、映画にもあることを教えてくれる作品。