初めて観たのは高2の時、今はなき新宿プラザでのロードショー公開だった。あの頃はS・マックイーンのファンで彼の最新作ということだけで十分だったのだが、久しぶりに観直してみてよく出来たアクション映画だなと感心。
尺は2時間あるので特に短いわけではないが、無駄なシーンとかセリフが全くない。元々マックイーンがどちらかと言えば寡黙な俳優であることもあるが、丁寧な言葉の説明などではなく役者の仕草と表情だけですべて表現する演出は切れ味鋭く観る者をだらけさせない。アクションもやたらバンバン撃ち合うというのではなく、メリハリの効かせリアルな迫力を出している。
最近のアクション映画を製作している人達にはぜひ本作を観直してよく勉強して欲しいぐらい(笑)。
バイオレンス映画なのに少し捩れた夫婦の愛憎を交ぜることでスパイスを効かせているのも見事。特にゴミ集積場のシーンが印象的でマックイーンのセリフがいい「過去は引きずって生きるか、さもなくば捨てていくかだ」。ラストは2種類あり、一つは「俺たちに明日はない」のような主人公達の壮絶な死に方らしいが、日本公開版はハッピーエンド。犯罪はペイしない、のルールを破り逃亡成功でめでたし、めでたし。