ずいぶん前にテレビの地上波で観たことがある。ディテールはほとんど覚えていないが、「アーミッシュ」なる存在を初めて知り、その特異性に驚いた。
冒頭、馬車に乗る一団を見て、開拓時代の話だったかと目を疑った。しかし、すぐ「1984年ペンシルベニア州」と字幕が出たので、現代劇であることを確信した。
馬車に乗っていた一団はアーミッシュの信徒で、レイチェル(ケリー・マクギリス)の夫の葬儀に向かうところだった。葬儀をすませたレイチェルは6歳の息子サミュエルと妹の家を訪ねるために、二人で汽車に乗る。サミュエルにとっては初めての旅であり、目にするものすべてが珍しい。
乗換駅のフィラデルフィアでトイレに入ったサミュエルは、そこで殺人事件を目撃してしまう。サミュエルはフィラデルフィア警察のジョン・ブック警部(ハリソン・フォード)から、唯一の目撃者として、捜査の協力を迫られる。レイチェルは事件に巻き込まれるのを恐れ拒否するが、ジョンは無視する。サミュエルの証言から犯人は同じ警察署の麻薬担当刑事ということがわかり、ジョンは上司に報告するが、命をねらわれたことで上司もグルだと気づく。負傷したジョンは親子と一緒に彼らの村に行き、傷の手当てのために村に居つくことになる。
ここでアーミッシュの生活が描写され、ジョンともども、我々も好奇心丸出しでそれらを見ることになる。厳しい戒律のもと、文明に背を向け、集団生活をする彼らは徹底した平和主義者でもあり、観光客の挑発にも無抵抗を貫く。
ジョンとレイチェルがお互いを意識し出し、恋に落ちるのに時間はかからない。ただしそれは禁断の恋でもあり、欲望に任せて一線を超えたら村からの追放を覚悟しなければならない。
一方でジョンには警察内部の不正をあばくという重大な責務がある。かつての上司がジョンを殺そうと村に乗り込んで来るが、アーミッシュの非暴力が彼を圧する。非暴力が暴力に勝るを知る。