「AKIRA」と共に日本のアニメの金字塔となった作品。現代のようなCGアニメと比べるとビジュアルの面で見劣りをする。でもCGのような無味乾燥なものより、手描きによるカトゥーンアニメは画に魂をもたらすので、見えないものが見えてくる。それを読むのが芸術であれば、日本はアメリカのようなCGではなく、これからもカトゥーンアニメでやってほしいと思うのだ。CGは部分的に使用するのは可。
SFは架空の世界なので、説明がいる。これをセリフによるものが多々あるので難解な映画になっている。映画で一番まずいのは説明セリフなんだけど、SFでは仕方がない。今の時代では「宇宙戦争」とか「ゴジラ」のような50年代SFみたいな単純なものでは物足りないだろうし、難解ゆえにそれを読み解く楽しみもあるので、何回でも観る映画となろう。私自身もこれは何回か観てこの作品の世界観を飲み込んでいきたいという気持ちが湧いてくる。
その点がSF好き、海外の映画人をとりこにするのであることは良く理解できる。それが日本のアニメの魅力であることも分かる。
だけど、わたし自身はアニメよりも特撮好きのSFファンとしては、これは実写で観たかった。でも1970年代の邦画の落ち込みは、こういうものを作る力を失ってしまった。才能が実写よりもアニメに集中してしまったことあり、人材不足と大作を作る力がメジャーな映画会社から失われてしまった。東宝特撮もしぼんでしまった。
ともあれ、複雑な世界観なので難解なのに惹かれてしまう不思議な映画。しかし登場人物が日本人なのに、街が香港みたいな無国籍なのは何故?