ガープの世界

がーぷのせかい|The World according to Garp|The World according to Garp

ガープの世界

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レビューの数

36

平均評点

74.7(278人)

観たひと

483

観たいひと

54

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1982
公開年月日 1983/10/29
上映時間 136分
製作会社 バン・アーツ・プロ作品
配給 ワーナー映画
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

小説家ガープの一生を描くドラマ。製作はジョージ・ロイ・ヒルとロバート・L・クロウフオード。エグゼクティヴ・プロデューサーはパトリック・ケリー。監督は「リトル・ロマンス」(79)のジョージ・ロイ・ヒル。ジョン・アーヴィングが788年に発表した大ベストセラー(サンリオ出版)を、スティーヴ・テシックが脚色。撮影はミロスラフ・オンドリチェクが担当。音楽編曲をデイヴィッド・シャイアが手掛け、クレジット・シークエンスではビートルズの「ウェン・アイム・64」が巧みに使用されている。出演はロビン・ウィリアムズ、メアリー・ベス・ハート、グレン・クロース、ジョン・リスゴー、ジェームズ・マッコールなど。原作者のアーヴィングがレスリング試合のレフェリー、ヒル監督が飛行士の役でゲスト出演している。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

看護婦のジェニー・フィールズ(グレン・クロース)は赤ん坊を連れて実家にもどって来た。両親(ヒューム・クローニン)(ジェシカ・タンディ)は、娘の話を聞いて驚いた。ジェニーはかねて子供がほしいと思っていたが、男に縛られたくはなかった。病院へ瀕死のガープ三等曹長<テクニカル・サージャント>が運び込まれた。患者のペニスが勃起しつづけているのをみたジェニーは、彼の上にまたがって受精。生まれたのが、この子だというのだ。名前は父親がテクニカル・サージャントだったことから頭文字をとってT・S・ガープと名付けられた。ジェニーは男子校ステアリング・アカデミーに学内看護婦として住み込む。ガープ少年(ジェームズ・マッコール)は、ステアリングに進学し、レスリング部に入る。青年となったガーブ(ロビン・ウィリアムズ)は、レスリング・コーチの娘へレン・ホルム(メアリー・ベス・ハート)にひかれる。幼馴染のクッシー(ジェニー・ライト)とファックしようとしているのを、クッシーの妹で意地悪のプーがヘレンに覗かせたので彼女は怒り、ガープは相手にしてもらえない。そんなこともあってジェニーとガープはニューヨークに行く。小説家を志すガープ。ジェニーは娼婦をコーヒー・ショップに誘い、金を払って娼婦について取材する。やがて彼女は「性の容疑者」という本を出版する。出版社社長ウルフの巧妙な宣伝で本はベストセラーとなり、ジェニーは女性解放運動の闘士と見られるようになる。ガープの小説もベストセラーにこそならなかったが、批評家から絶賛された。ガープはヘレンと結婚し、ダンカンとウォルトの2人の息子が生まれた。ガープは家にいて家事をみながら小説を書き、ヘレンは大学の教師をする。母は実家を女性のための施設にしていた。ガープはそこで、フットボール選手から女性に性転換したロバータ(ジョン・リスゴー)と知り合う。同時に、エレン・ジェームシャンなる奇妙な存在を知る。12歳の時に強姦され、犯人について話せないようにと舌を切りとられたエレン・ジェームズの事件に怒り、彼女たちはみな自主的に舌を切り取っているのだ。こんな非人間的な運動はないと思ったガープは、ウルフの反対を押し切り「エレン」という小説を出版。ヘレンの教え子マイケルが彼女が近づき、2人は浮気をつづける。だが、マイケルのガールフレンドがガープに密告したことで、2人の関係は終止符をうつ。しかし、マイケルは最後にといって、車の中でへレンにフェラチオをさせる。そこヘガープの車が追突した。へレンはムチウチ症になり、マイケルはペニスをヘレンに噛み切られ、ウォルトは死亡し、ダンカンは片目を失い、ガープは一時的な失語症にかかった。ジェニーのところにガープ一家は移り、やがて、女の子が生まれた。ジェニーは女性州知事候補の応援演説をしている時、ウーマン・リブ反対者に狙撃されて死亡する。ガーブはステアリング・アカデミーのレスリング部のコーチに就任。彼がコーチをしていると、エレン・ジェームシャンになっていたプーが、近づいて彼を射つ。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1983年12月下旬号

外国映画批評:ガープの世界

1983年11月上旬号

外国映画紹介:ガープの世界

1983年10月上旬号

グラビア:ガープの世界

特集 ガープの世界 ジョージ・ロイ・ヒル監督作品:作品評

特集 ガープの世界 ジョージ・ロイ・ヒル監督作品:作品評

特集 ガープの世界 ジョージ・ロイ・ヒル監督作品:監督論

特集 ガープの世界 ジョージ・ロイ・ヒル監督作品:プロダクション・ノート

1983年1月下旬号

試写室:ガープの世界

2024/08/16

2024/08/16

73点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


ジョン・アーヴィングの世界

ジョン・アーヴィングは小説「ホテル・ニューハンプシャー」が面白かった。これも波乱万丈の展開でラストまで一気見。しかしロビン・ウイリアムズが若い。

2023/12/27

78点

選択しない 


人生の不条理を感じる

ガープが人生で体験する様々な不条理な出来事によるショック、そして喜怒哀楽を観ながら追体験していく感覚の作品。まさに人生は冒険、それをこちらは映画として体験する。そして、その最大の不条理が予期せぬ死という事になる。ジョン・アーヴィング原作。グレン・クロース、ジョン・リスゴー好演。

2023/10/29

2023/10/29

-点

映画館/東京都/Bunkamura ル・シネマ 
字幕


「欲望」を巡る物語

当時、「これは、いい!」と思ったまま記憶に刻まれていた作品。あらためて今見てみると確かに面白いのだが、当時何が心に触れたのか上手く説明出来ない作品。今も映画をただ見ただけではその核心を掴むことは難しい。

確実に言えることは初めて見る時と再見するのとでは全く意味の異なる作品だ。初めて見ればわれわれはガープの一生に付き合い喜怒哀楽、驚きを共にする。一方で再見すれば当然ガープの辿る運命はわかっているわけだからその生き方のどこに因果や応報が潜んでいたのかを探索的に見ることができる。これだけで作品の印象ががらりと変わる。その意味では、初見時にあれだけ印象に残った点はガープの数奇な短い生涯のショッキングさに相違ない。

原作となったアメリカの小説家ジョン・アーヴィングの作風も知らず、未読なままなので確証のあることは言えない。ただ、当時のアメリカ社会に渦巻く「欲望」を一つテーマに据えていることは確実だろう。そもそもガープの母親、グレン・クローズ演じるジェニー・フィールズからして、子どもは欲しいがセックスによる快楽は悪と捉えるのも一つの欲望の形。またガープの妻ヘレンは、不貞(因果)の末に思わぬ形で我が子を失う。これも一つの欲望の行き着く先(応報)。子どもの頃からガープを自分に振り向かせたい、それが叶わなければフェミニズムに走り、仕舞いにはガープの殺害に及ぶ幼馴染プーも歪んだ欲望を抱く一市民。これら「欲望」に翻弄される主人公、T.S.ガープをロビン・ウィリアムスが演じている。

唯一ジョン・リスゴーが演じた性転換をした元フットボール選手だけは欲望に忠実でありながら最後まで誠実さを失わない。あらゆる場面で社会的抑圧を一身に受けながらもガープ母子につくそうとする。誰にも迷惑をかけることなく欲望を貫く人生を名演して見せる姿が胸を打つ。付け加えるならばカリスマになりきれない息子第一のお母さん、グレン・クローズの好演も捨てがたい。

2023/04/30

2023/04/30

65点

VOD/U-NEXT 
字幕

男に対する肉体的、精神的欲望を理解出来ない母親から生まれた私生児のガープ3等軍曹。
個性的な母に育てられ、やがて母と共に作家となったガープの奇天烈な一生を描いた小説の映画館。

テーマが盛りだくさんで、原作小説を読む、または好んでいなければ理解するのがちょっと難しい独特な世界観。
過激なフェミニスト的自伝がバズって時の人になった母親や母親の周りに集まるトランスジェンダーや男性嫌いの過激な運動家達など、個性的な登場人物が多いが、ガープの辿る人生は周りによって翻弄されるものの、その出生以外は割とノーマルな感覚の持ち主で、普通に恋愛し、結婚し、子供を設ける。
浮気や子供の死など、突拍子もないストーリー展開も出てくる。

色んな人々の、切ない人生賛歌のような物語にも思えるが、個人的には古き良き懐かし映画、といった雰囲気で、とりわけ感動できるストーリーでも考えさせられる深みも感じたわけではなく、小説の映画化だなあ、という感想に留まった。
若かりしロビン・ウィリアムズを久しぶりに見たので新鮮。
今でこそ母親周りの個性的な人物達が物珍しく見えないが、これが70年代の小説で、80年代に実写化された作品だと思うと、当時はそこそこ先進的に見える話だったのかなーとも思う。

それにしても、自分の浮気は棚にあげて妻の浮気を責め立てるガープも随分だなと思うし、自分の不貞行為の真っ最中にそれが原因で子供を死なせてしまったヘレンも、ガープと仲直りして立ち直れるのが不思議だ笑
普通一生立ち直れないでしょあんなの。

2020/09/19

60点

選択しない 


フェミニズムに翻弄される平凡な男ガープ

 原題"The World According to Garp"で、ガープによる世界の意。ジョン・アーヴィングの同名小説が原作。
 私生児として生まれ、幼少期はパイロットとセックスに、青年時代はレスリングに興味を持ち、長じて小説家となったガープ(ロビン・ウィリアムズ)が、結婚して二子を持ち、妻ヘレン(メアリー・ベス・ハート)の浮気によって家族を失い、フェミニストのリーダーとなった母の支持者に殺されるまでをコミカルに描く一代記。
 もっとも物語の真の主人公は母のジェニー(グレン・クローズ)で、夫は不要だが子供は欲しいという目的から死にかけの攻撃機の砲手と性交してガープを生み、セックスを単なる欲望として排除。ガープだけを生き甲斐とするが、一方のガープは結婚前、ヘレンの希望が小説家との結婚なので、小説家を目指すという信念のなさ。
 ガープが自分をモデルに小説を書いているのを知ったジェニーはネタを取り上げ、自らの手で自伝"A Sexual Suspect"(性の容疑者)を書いてベストセラーとなり、フェミニストのリーダーに祀り上げられる。結果、政治運動に利用されたジェニーは反フェミニストに暗殺されることになる。
 ガープは行き過ぎたフェミニズムを批判して同じく殺されてしまうが、テーマはフェミニズムにあって、それを社会の諸相として皮肉るでもなくコミカルに取り上げ、ジェニーの堂々とした生き方を清々しく描く。
 フェミニズムに対立する概念を勃起したペニスに象徴させていて、ジェニーによる砲手の勃起したペニスのレイプ、ヘレンによる浮気相手の勃起したペニスのフェラチオによる切断という形で、男の性的欲望への隷属を断ち切る。ガープ母子の友人ロバータ(ジョン・リスゴー)もペニスを切って男から女に性転換していて、フェミニズムに翻弄される平凡な男としてガープが描かれている。(キネ旬2位)

2020/01/17

2020/01/17

70点

VOD/U-NEXT 
字幕


グレン・クローズを観る映画。

鴻上尚史エッセイでの大推薦で観たのだが、どうもロビン・ウィリアムスにハマらないということが分かった。
グレン・クローズは確かにすごい。老若も人間の善悪の細かい機微もも、しかも過剰にならずに十分に表現されていて、それだけで心が動かされる。
しかし同じように芸達者であるはずのロビンウィリアムスが出てきたとたんすべてが作為に思えてしまい、古い言い方で言うとシラケてしまうのだ。あくまで個人的だけど。
思えば名作とされる「フィッシャーキング」も「いまを生きる」も感動の数歩手前でロビン・ウイリアムス本人によってブレーキを掛けられていたように思う。
顔か?体型か?芝居自体か?よくわからないが、こういうのを生理的に受け付けないというのだろうな。