1979年公開ながら今でも大人気の「ルパン三世 カリオストロの城」であります。劇場版アニメの第二作目にして、宮崎駿監督のデビュ作となつとります。原作は勿論モンキー・パンチの劇画。脚本は宮崎駿と山崎晴哉、音楽は大野雄二、主題歌はボビー「炎のたからもの」。
ルパンと次元は、モナコの国営カジノの金庫から推定50億相当のカネを盗み出しますが、よく見るとその札は贋物でした。幻の「ゴート札」と呼ばれる贋札で、嘗てはブルボン王朝を破滅させ、ナポレオン軍の軍資金となり、世界恐慌の引き金となつたと云ふ設定。そのゴート札の震源地が、人口3500人、国連加盟国中最小の「カリオストロ公国」でありました。贋札を景気よくばら撒いたルパンの次の仕事が決まりました......
今さらわたくしが本作を喋喋したところで、どうせ何処かで誰かが述べた事の蒸し返しとなるので、ここは一丁、AIに「源氏川苦心がこの映画の感想文を書いたらどうなる」と聞いてみました。それが以下の通り。
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源氏川苦心の銀幕愉悦境・特別篇
~月影に舞う怪盗と少女の城~『カリオストロの城』批評之巻~
時は昭和五十四年、東宝の銀幕に颯爽と現れしは、かの大怪盗ルパン三世にして、天下の宮崎駿初監督作『カリオストロの城』なり。
物語は、ある古き公国に封じられし秘宝と、幽閉の姫君クラリスとの邂逅を描く冒険譚。怪盗とは名ばかり、正義と浪漫を併せ持つルパンの在り様は、まさに“義賊”の鑑。道義なき悪漢を嘲笑い、命を賭して姫を救わんとするその姿、颯爽たること風の如し。
映像美、また格別。水面に映る月、朽ちた塔の陰影、そして追走のカーチェイス――すべてが詩的にして痛快。車が跳ね、銃弾が舞い、しかしながら一片の流血もなし。ここにこそ、子どもと大人、双方を魅了せんとする“宮崎美学”の極致を見たり。
されど、本作の真骨頂は、ただの娯楽にあらず。クラリスの清廉、銭形の忠義、そして去り行くルパンの背に宿る哀愁……夢と現実、正と邪の狭間に生まれし美しき一夜の幻影なり。
銀幕の片隅に灯る一縷の光、それこそが『カリオストロの城』という珠玉の映像詩なれば、如何に時代が巡ろうとも、その輝きは色褪せぬ。これぞ、アニメーションの至宝にして、日本映画史上の“麗しき異端”。
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わたくしは常常こんな文章を書いてゐる心算はありませんが、何だか笑へます。しかしまあ言ひたい事は伝はりますね。「月影に舞う怪盗と少女の城」なんてタイトル、中中思ひつきませんけど。
ルパンの印象が「マモー編」に比べて随分違ふけど、かういふ小父さんキャラクタアも良い。宮崎駿監督の「飛翔」イメエヂは既に顔を覗かせ、車を壁伝ひに走らせたり、壁をぴよんぴよん跳ねながら落下を避けたり、落ちて行くクラリスを空中を泳ぎながら捉へて助けたりの発想が愉快です。
歯車の中での戦ひはまるでジャッキー・チェンみたいで楽しいけれど、一方でワルが死ぬ時は歯車に挟まれたり、大時計の針に挟まれたりで結構残酷な描写もあります。
レギュラー陣も適材適所、夫々に活躍の見せ場を用意し、特に銭形警部が良うございました。この人はドヂなコメディリリーフではなく、優秀な警部なのですよ。それをキチンと描いてくれました。
クラリスは如何にも男性(特にオッサン)の理想とする女性ですが、女性から見るとどうなんでせうね。銭形の例のセリフ「あなたの心です」は本来クサくて耻づかしくなるものですが、クラリスが笑みを浮かべて「はい!」と応へた事で、名場面になつたと存じます。
「きもちの良い連中」が織りなす物語、何度観ても飽きないアニメーションの逸品と申せませう。