サード

さーど|A Boy Called Third Base|A Boy Called Third Base

サード

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レビューの数

32

平均評点

74.1(188人)

観たひと

285

観たいひと

20

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1978
公開年月日 1978/3/25
上映時間 103分
製作会社 幻燈社=ATG
配給 ATG
レイティング 一般映画
カラー カラー/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督東陽一 
脚本寺山修司 
原作軒上泊 
企画葛井欣士郎 
製作前田勝弘 
撮影川上皓市 
撮影助手小林達比古 
美術綾部郁郎 
美術助手渡辺正弘 
音楽田中未知 
録音久保田幸雄 
録音助手川嶋一義 
照明上村栄喜 
照明助手磯崎英範 
編集市原啓子 
衣裳東京衣裳企画室 
製作進行石川泰正 
助監督青池憲司 
スチル江西浩一 
協力坂本明郷 
大谷浩之 
星埜恵子 
高城哲 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演永島敏行 サード
吉田次昭 ?B
森下愛子 新聞部
志方亜紀子 テニス部
島倉千代子 おふくろ
内藤武敏 裁判官
峰岸徹 ヤクザ
片桐夕子 赤いセーター
西塚肇 短歌
根本豊 とべちん
池田史比古 アキラ
佐藤俊介 小指
鋤柄泰樹 漢字
水岡彰宏 異論
若松武 緘黙
飯塚真人 宮島
宇土幸一 イレズミ
渋谷茂 田中
尾上一久 吉田
藤本新吾 小山
岡本弘樹 ヨシミ
穂高稔 院長
市原清彦 主任
今村昭信 教官山辺
杉浦賢次 教官広田
清川正廣 教官鈴木
津川泉 教官小野
小林悦子 黄色いスカート
大室温子 サファリルック
秋川ゆか ムーヴィ
関口文子 チビ
角間進 
北原美智子 祭りの少女
品川博 宗教家

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

一人の少年院生が、少年と大人の狭間を彷徨しながらも、成熟に向って全力で走り抜ける姿を描く、軒上泊原作『九月の町』の映画化。脚本は「ボクサー」の寺山修司、監督は「日本妖怪伝 サトリ」の東陽一、撮影は川上皓市がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

関東朝日少年院は三方を沼で囲まれている。鉄格子の中で、少年達は朝早くから点呼、掃除、食事、探索等の日課を黙々とこなす。元高校野球の三塁手として活躍した通称サードもその少年達の一人であった。しかし、数日前、上級生のアキラがサードの優等生ぶりが気に入らずケンカをしかけたため、二人は単独室に入れられていた。ある日、サードの母が面会にやってくる。退院後の暮しをあれこれ心配する母に、サードは相変らず冷淡な態度を示すのだった。少年達が待ちこがれる社会福祉団体SBCがやってくる。三ヵ月に一度やって来るこの日だけが、若い女性に接する事ができるのである。SBCとのソフトボールの試合中、一人の少年が院に送られてくる。サードの仕事仲間で数学IIBだけが取得の、IIBと呼ばれている少年である。ある日、農場で一人の少年が逃走した。誰とも口をきかなかった、緘黙と呼ばれる少年である。その騒ぎにまぎれて院の生活に馴じめないIIBも逃走を図るが、やがて連れ戻される。サードはそんなIIBを殴り倒す。走っていくなら何処までも走れと、無言で語るサードの表情には、確固とした決意が読みとれた。サードの頭の中に在るのは、ここへ護送される途中に垣間見た、祭りの町を走り抜ける夢であった。彼が「九月の町」と名付けたその町は、彼が少年から大人へと成長する時に、彷徨しながら通りすぎる青春であった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1979年2月下旬決算特別号

特別カラー・グラビア:日本映画作品賞 「サード」

1978年4月上旬春の特別号

今号の問題作:サード

1978年3月下旬号

グラビア:サード

1978年3月上旬号

キネ旬試写室:サード

日本映画紹介:サード

1977年12月下旬号

グラビア:「サード」

1972年11月下旬号

DISK 「マクベス」にみるサード・イアー・バンドの思考:

2025/03/24

2025/03/24

50点

テレビ/無料放送/J:COM BS 


う~ん・・

タイトルだけで判断して鑑賞してみたが、予想とは全く違うお話だった。犯罪を犯した少年達の話だが、結局誰も改心していない状態で終わってしまった。それはダメでしょ!

2025/03/08

2025/03/19

75点

選択しない 


確かなのは今

ネタバレ

 永島敏行演ずるサードが金を稼ぐためにクラスメイトの女子に売春をさせようと街頭でポン引きまがいなことをするシーンがあるのだけど、セリフ回しなども含めて妙にリアルだったのが印象的。
 少年院を舞台にしての鬱屈した青春ドラマだと思うけどドラマというよりもドキュメント風に演出されているせいか少年たちそれぞれにリアリティがある。いかにもATGらしい尖った切り口であってそこが評価され多くの賞をものにしたのだろう。当時話題になった映画だと記憶する。
 今で言うところの若者たちの居場所のなさへの鬱屈が描かれているのだけど、居場所を見つけようとしても見つからない。それを野球のダイヤモンドを駆け回るサードに象徴させるという演出。街から出たいという願望はあるものの、では出てどうするのか・・・それがない。ただ今いる場所から逃げたいだけ。そんな刹那的な青春が瑞々しい演出で切り取られていたと思う。森下愛子がここまで大胆に肌を晒していたのもちょっと驚きだった。
 若い肉体同士が絡み合う瞬間だけは確かなもの。それ以外はすべてどんよりして形も定かではない・・・そんな彼らの青春をその肉体を通してきっちり浮かび上がらせていた。

2025/03/02

2025/03/02

75点

テレビ/無料放送/J:COM BS 


少年院の描写がリアルっぽい

主人公の通称サード(永島敏行)をはじめ、
犯罪を犯して少年院に入った人達を描き、
時々サードの逮捕の前や後の回想シーンが挿入される。

少年院での日頃の作業や運動や更生のための講義などが描かれるが、
どれも誰かの心を動かして更生に繋がる事とは感じられず、
特にサードは、現在と未来に対して何も希望や目標を持っていないように思われるので、
出口の見えない日常が続く。

サードの犯行に至る動機は、
「(親から離れるために)町を出るためのお金が欲しい」なのだが、
何のために出るかの目的がそもそもなく、
出ること自体が目的になっていると思われ、
以前から今に至るまで生きる目的を持てずにいるように見える。

生きる目的を持てない人は、10代や他の年代でも多いと思うが、
グラウンドを走り続ける主人公を見て、
人間って結局、「目的がないと何もできない」ではなく、
「目的がなくても、とにかく何でもいいから何かをやり続けて生きていくしかない」
だと思わせるような作品だった。

--

外部から少年院に来て講義をする講師がカミカミだったりするのだが、
実際にそんな活動をしている人が、
芝居でなく、いつも通りのことをやっている感じが出ていて良かった。

そういえば、ちょうど1978年頃、
ラジオで、少年院だか鑑別所だかに行って、
少年たちにインタビューをした録音を流す番組があって、
彼らは静かにボソボソと話していたので、
そんな印象が表現されていたのも良かった。

少年院をリアルに描いていると思ったが、
気になるのは、刑務所だと私語が禁止される場面が多かったり、
監視も厳しかったり、
監視の目が届かない「学校のトイレ」みたいな物がなかったりしたはずだが、
そうではなかったことで、
実際、「少年院は刑務所ほど厳しくない」という事なのだろうか?

--

【スタッフの追加】

撮影助手は、小林達比古に加えて、篠田昇がクレジットされていた。

2025/03/01

2025/03/02

65点

テレビ/無料放送/J:COM BS 


ホームベース

一貫して暗い。
若くして犯罪を犯してしまった主人公が少年院で生活する話だが、結局主人公の永島敏行は反省して心を入れ替えたのか?
ホームベースは見つかったのか?
あまりスッキリしない終わりかた。

2025/03/01

2025/03/02

-点

テレビ/無料放送/J:COM BS 


森下愛子さん!

ネタバレ

母 島倉千代子さん 音楽 田中未知さん
「自由になると また倦怠を感じた」
ホームベースのないランナー 曼珠沙華

2023/01/25

2023/01/30

75点

レンタル 


ホームベースがなければ、ダイヤモンドの輝きもない。

ネタバレ

まずは関東朝日少年院に入所している少年たちが描かれる。窃盗、婦女暴行などの罪を犯した少年たち
は厳しい規律の中で生活する。それぞれの特徴を伝え、あだ名を紹介する。高校野球の経験のある妹尾
新次(永島敏行)は、ポジションのサードと呼ばれた。他に短歌の好きな少年はそのままタンカ。少年院
での生活が丁寧に描かれるが、特に同情的でもなく、批判的でもない。
原作は50ページほどの短編小説。短歌の部分は脚色の寺山修司の趣味だろう。
サードは殺人罪での服役だが、いかにも体育会系の立派な体格で寡黙に過ごす。しかしそんな彼にケンカ
を売る少年もいる。二人はトラブルになり、少年院の対処マニュアル通り、集団ディスカッションに至る。

社会奉仕団体が少年院にやって来ることもある。慰問が主体なので、ともにソフトボールをするのだが、
女性たちのボディラインが少年たちの妄想をたくましくする。
そしてサードの同級生で一緒に美人局をしていたⅡBこと色川明夫が入所となった。
それをきっかけに、サードとⅡBの過去の回想シーンとなる。田舎の高校生は、金を得て都会に出るしか
ない。クラスメートの新聞部(森下愛子)とテンス部は、手っ取り早く金を得るために売春を考える。
しかし二人とも性体験はない。サードとⅡBが、まず相手となって、準備を済ませることになった。
校内で、人目を盗んだ性体験のおかしさと貧しさが70年代の青春として見事に描いた。

準備万端整い、サードは街中で「女子高生と遊びませんか」と客引きを務める。ぎこちない4人組だったが、
美人局は軌道に乗る。しかしやくざ風の男を客として取って、深刻なトラブルになってしまった。ヤクザ者と
サードの殴り合いが始まり、サードは手近の壺でヤクザ者の頭を砕き、死なせてしまった。
原作では刃物で殺してしまう。サードの一人称の小説で、17歳の殺人者という尖った部分があるが、
映画は青春の一時期の迷いが強調されている。やはり無骨なサードの永島敏行、あやうい美少女の
森下愛子と絶妙のキャスティングのせいだろう。二人の健康的な肉体で、70年代の青春の軌跡をフィルム
に落とし込んだ。今から観ると、古くさく感じるのだが、その距離感が映像そのものの特性で、時代に密着
した性風俗は、すぐに古びる。しかしカメラは人物の肉体をそのまま記録する。それが素朴な強さだ。