CMディレクターだった大林宣彦の初の商業用映画監督作品で、従来の劇映画の文法を破ったオモチャ箱をひっくり返したような映像が画期的だった。アニメーションや合成、映像加工、現像処理、切り貼りのような編集ととにかく忙しく、半世紀近く経って観ると結構疲れる。
当時はCM的なポップで前衛的な映像と思ったが、見返すと意外とジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』(1902)を髣髴させて、映画がまだ映像の魔術であった時代への原点回帰であることに気付かされる。
本作にはそうした映像の非日常性、不可思議といったものが横溢していて、それはホラー映画という非日常性、不可思議と重なり合うことによって表現される。
物語は夏休みに女子高生オシャレ(池上季実子)がクラスメート6人を誘って山奥に住む叔母(南田洋子)の家に遊びに行くというもので、実は叔母は亡くなっていて家と一体化していたというもの。叔母が若さを取り戻すために7人の女の子たちを食べてしまう過程がコミカルに描かれる。
いわば食人化け物屋敷だが、叔母が化け物になったのには理由があって、戦争に奪われた恋人を待ち続けていたことで精霊化したというもの。いわば猫又なのだが、恋人への一途な思い、すなわち愛は不滅なものとして時を超えて生き続けるという、晩年の大林作品にも共通するテーマが顔を出している。
クラスメートに大場久美子、松原愛、神保美喜といった当時のアイドルたちが起用され、笹沢左保、尾崎紀世彦、小林亜星、三浦友和、檀ふみ、鰐淵晴子、石上三登志、ゴダイゴといった賑やかな顔ぶれで、如何にもなCM的キャスティングがポップだが、反面の軽さは否めない。