「アルフォンスはいつだって最高だよ」
1999年の東京。ロボット技術を応用した人型土木用機械「レイバー」の普及によって建設技術は飛躍的に向上し、都心では来るべき21世紀に向けて東京・神奈川・千葉を環状に結ぶと共に東京湾の埋立地を拡大する「バビロン・プロジェクト」が進行していた。同時に、レイバーを悪用した犯罪が都心では頻発。泉野明(声:冨永みーな)の所属する警視庁特車二課・通称「レイバー隊」はレイバー犯罪防止に奔走する。
ゆうきまさみ原作漫画を押井守監督がアニメ化。4Kリマスター公開を心待ちにしていたが、残念ながら時間が合わずパンフレットだけ購入して無念の自宅鑑賞。チクショウ、これはスクリーンで観たかった。
連載初期の泉野明のタッチが好きだっただけに、本作のキャラクターデザインは少し物足りない。もっとゆうきまさみタッチに寄せて欲しかった。それとコミックス派だったのですっかり熊耳さんが登場する前提で観始めたため、香貫花・クランシーの存在にイマイチピンとこないまま観続けてしまった感はある。
一方でメカデザインに出渕裕が参加しているため(これはコミックスも同様だが)メカ周りは素晴らしい。細かい起動と、戦闘によって飛び散る破片の数々はこの時代のアニメーションならではの描き込みぶりを堪能できる。これはメカ全般に総じて言えることだが、物事というのは合理化されすぎると却って面白くなくなってしまう側面がある。本作の描写も今日のCGを用いればもっと現実的に、かつもっと手軽に映像化できるのだろうが、たぶん出来上がりはかなり味気ないものとなるだろう(もちろん、これは今日の制作陣を否定するものではない)。本作はじめ、「マクロス」や「オネアミスの翼」にも言えることだが、この時代特有の人海戦術というか、著しく非合理的な製作過程から生み出された再現不能な描写からしか得られない何かがあるのだろう。
それにしてもスクリーンで観たかった。リバイバルは上映回数が少ないのが欠点。回数を増やしてさ、もっと幸せになろうよぉ〜。