家族ゲーム

かぞくげーむ|----|THE FAMILY GAME

家族ゲーム

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レビューの数

109

平均評点

75.1(662人)

観たひと

1076

観たいひと

63

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1983
公開年月日 1983/6/4
上映時間 106分
製作会社 にっかつ撮影所=NCP=ATG
配給 ATG
レイティング 一般映画
カラー カラー/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督森田芳光 
脚本森田芳光 
原作本間洋平 
企画多賀祥介 
山田耕大 
製作佐々木志郎 
岡田裕 
佐々木史朗 
制作補桜井潤一 
撮影前田米造 
美術中澤克巳 
録音小野寺修 
編集川島章正 
助監督金子修介 
スチール竹内健二 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演松田優作 吉本勝
伊丹十三 沼田孝助
由紀さおり 沼田千賀子
宮川一朗太 沼田茂之
辻田順一 沼田慎一
松金よね子 茂之の担任・英語
岡本かおり 美栄子の姉
鶴田忍 慎一の担任・英語
戸川純 近所の奥さん
白川和子 美栄子の母
佐々木志郎 美栄子の父
伊藤克信 茂之の担任・国語
加藤善博 茂之の担任・体育
土井浩一郎 土屋裕
植村拓也 三井順
前川麻子 田上由利子
渡辺知美 樹村雅美
松野真由子 浜本道子
中森いづみ 菊地保子
佐藤真弓 山下美栄子
小川隆宏 芝田友幸
清水健太郎 若い先生
阿木燿子 吉本の恋人

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

高校受験を控えた中学生の子供のいる家族と、その家にやって来た家庭教師の姿を描く。本間洋平の同名の小説の映画化で、脚本、監督は「ピンクカット 太く愛して深く愛して」の森田芳光、撮影は「俺っちのウエディング」の前田米造がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

中学三年の沼田茂之は高校受験を控えており、父の孝助、母の千賀子、兄の慎一たちまで、家中がピリピリしている。出来のいい慎一と違って、茂之は成績も悪く、今まで何人も家庭教師が来たが、誰もがすぐに辞めてしまうほどの先生泣かせの問題児でもある。そこへ、三流大学の七年生、吉本という男が新しく家庭教師として来ることになった。吉本はいつも植物図鑑を持ち歩き、海に近い沼田家に船でやって来る。最初の晩父の孝助は吉本を車の中に連れていくと、「茂之の成績を上げれば特別金を払おう」と話す。吉本は勉強ばかりか、喧嘩も教え、茂之の成績は少しずつ上がり始める。一方、慎一は、家庭教師を付けてもらい、両親の心配を集める茂之と違って、手がかからず、それだけに寂しそうだ。茂之は幼馴染みで同級生の土屋にいつもいじめられていたが、勉強のあと、屋上で殴り方を習っていた甲斐があってか、ある日の放課後、いつものように絡んでくる土屋をやっつけることが出来た。そして、茂之の成績はどんどん上がり、ついに兄と同じAクラスの西武高校の合格ラインを越えてしまう。しかし、茂之はBクラスの神宮高校を志望校として担任に届け出る。これに両親は怒り、志望校の変更を吉本に依頼する。吉本は学校に駆けつけると、茂之を呼び出し、担任の前に連れていくと、強引に変更させる。しかし、何故、西武高校に行きたくないのか、その疑問を慎一にぶつけた。慎一は秘密ということで、茂之は土屋と同じ高校に行きたくないのだと話す。それは、小学生の頃、授業中に茂之が大便をもらしてしまったことを土屋が知っているからだと言う。バカバカしい理由に吉本と慎一は大笑いする。土屋は私立高校に行くことになり、茂之は西武高校にみごと合格し、吉本の役目は終り、お祝いをすることになった。その席で、孝肋は、最近ヤル気を失くしている慎一の大学受験のための家庭教師になって欲しいと話す。しかし、一流大学の受験生に三流大学の学生が教えられるわけはないと吉本は断った。そして、吉本は大暴れをして食事は大混乱となるのだった……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2024年12月号

COMING Old Pictures 旧作紹介:「家族ゲーム」

2019年5月上・下旬合併号

2018年の森田芳光:第5回 「家族ゲーム」

2019年1月上旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第4弾 1980年代日本映画ベスト・テン:ベスト15グラビア解説

2016年8月上旬号

DVDコレクション:『新・死ぬまでにこれは観ろ!-キング邦画80連発』

2014年11月上旬号

MOVIE at HOME お家でDVD & Blu-Layを:[ATG企画 前篇]「家族ゲーム」を生んだ1983年という時代

臨時増刊2012年5月11日「映画作家 森田芳光の世界」

森田芳光監督全映画 森田が語る27本 森田芳光監督 自作を語る/スタッフ&キャスト データ/作品解説:「家族ゲーム」

再録:対談:森田芳光×松田優作 大好評で迎えられた「家族ゲーム」

再録:受賞のことば「家族ゲーム」「それから」受賞インタビュー/「ウホッホ探険隊」表彰式スピーチ

1984年12月上旬号

「家族ゲーム」のアメリカ公演を実現して:

1984年2月下旬決算特別号

特別カラー・グラビア:日本映画作品賞 「家族ゲーム」

1983年8月上旬号

日本映画紹介:家族ゲーム

1983年7月上旬号

日本映画批評:家族ゲーム

1983年6月下旬号

グラビア:家族ゲーム

特集 家族ゲーム 森田芳光監督作品:対談 森田芳光×川本三郎

特集 家族ゲーム 森田芳光監督作品:作品評

特集 家族ゲーム 森田芳光監督作品:作品評

1983年5月下旬号

試写室:家族ゲーム

1983年5月上旬号

〈グラビア〉撮影現場訪問:「家族ゲーム」

2025/08/25

2025/08/25

80点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


無関心と競争の家庭劇

ネタバレ

国立映画アーカイブで開催中の森田芳光監督展を訪れ、何度も観たこの映画を改めて確認した。表面的にはコミカルに描かれているが、細部を見返すと、1980年代の教育社会を先取りした鋭い視点が随所に散りばめられていることに気づく。

映画では、兄・慎一の態度の変化がラストの食卓シーンで抽象化され、象徴的に描かれる。弟の合格祝いの席で、慎一は父親に反発するが、弟・茂之はほとんど無言だ。この食卓の対立は、父と長男慎一の直接対決であり、家庭という閉じた舞台の不条理さを浮かび上がらせる。

弟が土屋の妨害を乗り越え、家庭教師・吉本の協力を得て受験に成功する過程が中心に描かれるが、実は慎一の存在こそドラマの重要な軸である。彼が同級生の家に遊びに行っても他の男がいてプレゼントを渡せない場面などは、家庭内で自分が顧みられない疎外感を象徴する。父も母も、茂之の勉強に熱中するあまり慎一には関心を向けず、家族内の断絶を示す。

吉本は時代そのものを象徴するキャラクターだ。利益のためだけに家庭に現れ、目的を達成すると家族を破壊して去ってゆく。ゴミを片付ける家族の様子は、まるで戦後処理のようでもある。森田監督自身が「吉本はゴジラ」と語ったように、管理社会や受験戦争、没個性・画一化された社会の象徴として吉本は存在し、家庭に成功という果実をもたらすと同時に破壊も残す。

家族は互いのことを見ていない。父親の目玉焼き、茂之の「土屋が私立に行くことになった」という報告に対する母親の無関心など、誰も他人に興味を持たない。家族とは、単に「ゲーム」を進行しているだけなのだ。

ラストでヘリコプターの騒音にも関わらず昼寝してしまう家族の姿は、無関心で麻痺した現実を象徴する。この映画は、コミカルでありながら森田監督の問題意識の高さを今も力強く示している。

2025/08/24

2025/08/24

77点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/購入/テレビ 


家族ゲーム

タイトルが秀逸です。
まさに、それでした。
お見事!

2025/06/07

2025/06/09

90点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


「僕の受験で家中がピリピリ鳴っててすごくウルサイんだ」

アマプラでオススメにでてきたんで久々に観賞。
いつ観ても好きな作品。

2025/05/20

2025/05/20

65点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/テレビ 


家族を演じる家族たち。そこに現れたのは破壊者としての家庭教師。この家族は虚構。

2024/06/07

2024/06/07

75点

購入/ブルーレイ 


森田監督の才能爆発

不気味で可笑しな人間たち。都市、工場街の不思議な魅力。不気味な映画。松田優作、伊丹十三、由紀さおり、宮川一朗太の怪演。森田芳光の才能爆発の映画。

2023/11/19

2023/11/19

80点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル 


最後の晩餐

ATGが1992年に終わる約10年前に作られた傑作。東宝で配給されている。松田優作さんがその後、森田芳光作品や鈴木清順作品などを経て、それまでのアクション俳優としてのイメージを払拭しつつ、ハリウッドでの活躍を模索すようとする直前の作品でもあり、伊丹十三さんが翌年「お葬式」で監督をされる前の年に公開された記念碑的作品とも言える。森田芳光監督の最高傑作であって、残念ながらこの作品のイマジネーションを超越できる作品はその後作られることはなかったと思う。(あくまで個人的な意見です。)

タイトルの「家族」とはなにか?という問いがこの原作の言わんとするところだが、森田芳光はそれを極めて抽象化して大胆に咀嚼する。それはラストシーンに示される。家族は破壊されるものだという強いメッセージ。母親が最後、台所で眠りに落ちるシーンにヘリコプターの爆音が重なる。ヘリコプターを戦争のイメージに飛躍させれば、この映画が意味のない受験戦争を描く映画であることに気づかされる。

松田優作演じる家庭教師は、結果をもたらす一流のサラリーマンのような存在で、伊丹十三演じる父親から報酬を受け取り、食卓を破壊して去ってゆく。しかしそれはまるで亡霊のようであって、残された家族が残飯整理をするシーンで、やっと家族らしさを取り戻したあと、映画はヘリコプターの爆音とともに眠るように終わってしまう。

あの食卓は「最後の晩餐」だったのだ。なぜなら息子が父親に反発するオイディプス思想や、カインとアベルの対立になぞらえる展開は、どの世界に於いても起こりうる現実でありドラマだからだ。