1992年のフランス映画。「生誕80周年記念 クロード・ミレール映画祭」で上映。ニーナ・ベルベローワの小説の映画化作品。ドイツ占領下のパリで、オペラ歌手イレーヌの伴奏者となった20歳のソフィ。イレーヌは夫シャルルが政府高官やドイツ軍将校と交流があるため戦時下でもコンサートを開けていたがシャルルは商売のためと割り切っていたしイレーヌも親ナチではなかった。シャルルはアルジェリアへの逃亡を企てていたがイレーヌのたっての頼みでスペインからポルトガルを経てロンドンへ。活動を再開したイレーヌは評判を得るが伴奏者として喝采を得ることのないソフィは複雑な心境だった。そしてイレーヌの浮気に苦悩するシャルルは自殺、イレーヌは浮気相手と渡米し、ソフィは一人フランスへ帰っていくのだった。
決して日の当たることのない伴奏者というポジション。それに甘んずるもよし、独立するもよしなのだが、歌手の魅力が勝ることで伴奏者に徹するソフィの揺らぐ気持ちがよくわかる映画でした。あのままフランスにいれば新ナチとして糾弾される可能性もあったし、歌一筋のイレーヌにとってみれば歌を評価してくれる場所ならどこでもよかったのでしょう。そんなソフィーやシャルルに翻弄される形になるソフィだけど、彼女は何を求めていたんだろう。イギリス入国の際の状況は少々はらはらしましたが全体的にはソフィの心象風景のような映画でした。