ホラーでミステリアスでファンタスティックな不思議体験を楽しめる
原題"Celine et Julie vont en bateau"で、邦題の意。
パリの公園のベンチで図書館司書ジュリー(ドミニク・ラブリエ)が魔術の本を読んでいると、通り掛かったウサギならぬ魔術師セリーヌ(ジュリエット・ベルト)が落とし物をしてウサギ穴ならぬ町中に去っていき、それを追いかけたジュリーが迷宮に入り込む…という『不思議の国のアリス』に着想を得たコミカルなファンタジーで、二人を待ち受けるのはハートの女王ならぬ幽霊屋敷の亡霊たち。
亡霊屋敷で得たキャンディを舐めると屋敷で起きた殺人事件を追体験でき、当初は断片的だったシーンが次第に物語として形を成していくが、不条理なストーリー構成を理解するまでがわかりにくいのを除けば、3時間余りの長尺ながらホラーでミステリアスな不思議体験を2人とともに楽しめる。
屋敷内で殺されることになる少女(ナタリー・アズナル)を二人が助け出し、物語を変えてしまうが、『不思議の国のアリス』同様に最後は夢オチとなり、物語はプロローグに戻る。
もっとも、夢物語で二人が何度も同化したり入れ替わったりした如く、ベンチに座っているのがセリーヌで、ファンタジーに誘うのがジュリーと入れ替わり、ネバーエンドとなるが、最後まで心地よいトリップ感が味わえる。