第三の男

だいさんのおとこ|The Third Man|The Third Man

第三の男

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レビューの数

122

平均評点

78.7(635人)

観たひと

957

観たいひと

65

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー
製作国 イギリス
製作年 1949
公開年月日 1952/9/16
上映時間 104分
製作会社 ロンドン・フィルム
配給 東和=東宝
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「ホフマン物語」のアレクサンダー・コルダと、「白昼の決闘」のデイヴィッド・O・セルズニックが協同で提供する一九四九年作品で、カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した。戦後イギリス文壇で代表的な位置に立つカソリック作家グラハム・グリーンが映画のために原作を書卸し、自ら脚色、これを「邪魔者は殺せ」のキャロル・リードが監督、同時に製作も担当している。撮影は「邪魔者は殺せ」のロバート・クラスカー、装置は「バグダッドの盗賊(1940)」のヴィンセント・コルダ他の担当である。なお音楽はこの映画のためにウィーンのツィター演奏家アントン・カラスが作曲、自ら演奏したものが唯一の伴奏となっている。主演は「旅愁」のジョゼフ・コットン、「白銀の嶺」のアリダ・ヴァリ、「黒ばら」のオーソン・ウェルズ、「黄金の龍」のトレヴァー・ハワードで、以下「会議は踊る」のパウル・ヘルビガー、バーナード・リー、エルンスト・ドイッチ、エリッヒ・ポントらが助演する。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

米国の西部作家ホリー・マーティンス(ジョゼフ・コットン)は、旧友ハリー・ライムに呼ばれて、四国管理下にある戦後のウィーンにやって来たが、ハリーは自動車事故で死亡し、まさにその葬式が行われていた。マーティンスは墓場で英国のMPキャロウェイ少佐(トレヴァー・ハワード)と連れになり、ハリーが闇屋であったときかされたが、信ずる気になれなかった。ハリーは生前女優のアンナ(アリダ・ヴァリ)と恋仲であったが、彼女と知り合ったマーティンスは、彼女に対する関心も手伝ってハリーの死の真相を探ろうと決意、ハリーの宿の門衛(パウル・ヘルビガー)などに訊ねた結果、彼の死を目撃した男が三人いることをつきとめた。そのうち二人はようやく判ったが、“第三の男”だけはどうしても判明しないまま、マーティンスは何者かに脅かされはじめ、門衛も殺されてしまった。一方アンナは偽の旅券を所持する廉でソ連MPに粒致されることになり、それとも知らずに彼女の家から出て来たマーティンスは、街の物陰に死んだはずのハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)をみつけた。ハリーがペニシリンの密売で多数の人々を害した悪漢であることを聞かされていたマーティンスはこれをMPに急報し、アンナの釈放と引きかえに彼の逮捕の助力をするようキャロウェイから要請された。マーティンスはハリーと観覧車で逢い、改めて彼の兇悪振りを悟って、親友を売るもやむを得ずと決意したが、釈放されたアンナはマーティンスを烈しく罵った。しかし病院を視察してハリーの流した害毒を目のあたり見たマーティンスは結局ハリー逮捕に協力することになり、囮として彼をカフェで待った。現れたハリーは警戒を知るや下水道に飛込み、ここに地下の拳銃戦が開始され、追いつめられた彼はついにマーティンスの一弾に倒れた。かくて改めてこの“第三男”の埋葬が行われた日、マーティンスは墓地でアンナを待ったが、彼女は表情をかたくしたまま彼の前を歩み去って行った。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2010年7月下旬号

午前十時の映画祭:「カサブランカ」「第三の男」

1952年11月上旬号

外国映画批評:第三の男

1952年増刊 名作シナリオ選集

コンティニュイティ 第三の男:THE THIRD MAN

1952年8月下旬号

“第三の男”合評 新しい分野の發見:田坂具隆×五所平之助×成瀬巳喜男×木下惠介

1952年7月上旬夏季特別号

研究 キャロル・リード:「第三の男」におけるキャロル・リードの技法

外国映画紹介:第三の男

1952年5月上旬特別号

グラヴィア:第三の男

2024/12/31

2024/12/31

-点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
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ハリー・ライムは死んだのか

「ボルジア家30年の圧政はダ・ヴィンチやミケランジェロを産み出した。ではスイス500年の民主主義は何を産んだ?鳩時計さ」

第二次大戦後間もないウィーンは米・英・仏・ソの4カ国に分割統治されている。三流作家ホリー(演:ジョセフ・コットン)は、親友ハリー・ライム(演:オーソン・ウェルズ)から仕事を斡旋されてウィーンに招かれるが、着いた途端にハリーが車に轢かれて死んだことを伝えられる。不慮の事故死であり、事故後ハリーは友人二人に運ばれたという。だが即死なのか息があったのかが目撃者ごとに違っており、納得がいかないホリーは独自に事故を調べ始める。するとハリーの遺体は三人の男に運ばれたことが判明する。「第三の男」は何者なのか?
グレアム・グリーンが映画製作のために小説を書き下ろし、キャロル・リード監督が映像化したのが本作である。オーストリアの民族楽器ツィターを用いたアントン・カラスによるテーマ曲はあまりにも有名で、日本では言わずもがな、某ビール会社のCM曲として名高い(またはJR山手線・恵比寿駅の発着音か)。映像としても、部屋の窓から漏れた灯りで暗闇の中に突然浮かび上がるオーソン・ウェルズの顔など、映画史上の名シーンが多い。
グレアム・グリーンの原作小説を読んだのは15歳の秋、ざっと20年近く前のことである。だからストーリーは知っていたが、食わず嫌いやら後回しやらタイミングの悪さやらが重なった結果今日まで観てこなかった。にも関わらずその間に"聖地巡礼"は済ませてきた。物語としては戦後間もないウィーンという状況でしか成立し得ないが、テーマそのものは鮮度を失わない。これ、よくよく考えたら"闇バイト"の話だわ。となると、またいつものように開き直るが、むしろこのタイミングまで温存したのは大正解だったのではないか。
原作の後書きにあった裏話をひとつ。ジョセフ・コットン演じるホリーの役名は原作ではロロである。名前の変更の理由は"同性愛っぽいから"というものだが、そうなると実はホリーは表では「親友」と言いながらも本当のところは...となる気がする。ハリーにはウィーンの舞台女優アンナ(演:アリダ・ヴァリ)という恋人がいるが、実際はトライアングラーと見るべきだろう。で、商業的には折れたもののグリーンの意図を汲みとったリード監督は最後に大博打を打った。結末を変えたのである。原作では全く違う結末で物語が終わるが、グリーン曰く「キャロル・リードの勝利」だったらしいし、観る側も「まあ、そうだろうな」と思わせる。しかもその結末を全く非の打ち所がない画角と演出で撮り切るのだから、キャロル・リードという男は本当に憎らしい。
斜に構えたカットイン、モノクロを最大限に活かすために影を使用した表現...古典は今もなお色褪せない。

2024/04/30

2024/05/01

75点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/購入/テレビ 
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パイオニア

きっと公開当時に観ていたら すこい作品だったのでしょう。
皮肉なことに、これにインスパイアされた人たちの作品をいくつも観てきたから、順番が逆になってしまいますが、そこまで素晴らしいものだとは思えませんでした。
光と影の演出や独特な構図、巧みなストーリー、映画的なテンポのラストシーンなど、いくつも素晴らしいところはありますが、今見てもすごい映像というよりはパイオニア的な凄さがあるのかなと感じました。

2024/01/12

2024/01/12

76点

VOD 


オーソンウェルズの登場シーン、顔に光が当たるところと、影が逃げていくところが好き。
大きく分けて第三の男探しと、ハリー登場後捕まえようとする2つの展開で楽しめる。
最後の並木道を女性が歩いていくところも好き。

2023/12/16

2023/12/16

80点

その他/TSUTAYA DISCAS 
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ハリー・ライムは2度死ぬ

3回目の視聴。
今回は和田誠さんの「お楽しみはこれからだ」からの名セリフの確認のため。
生きていたハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)とホリー・マーティンス(ジョゼフ・コットン)が観覧車で会った時のセリフ・
ハリー:「イタリアでの30年間の暴虐政治で、ルネッサンスが開花した。一方同胞愛のスイスで500年の民主主義と平和が生んだものは鳩時計だ・・・あばよ」
悪業が進歩を生むとのハリーの言い訳だ。

2023/08/07

2023/08/07

97点

選択しない 


名作中の名作

中学の頃にTVで観て以来、何度も観てきた名作中の名作。第三の男の謎を追う前半からハリー・ライム登場の名場面、地下水道でのサスペンス、印象的なラストシーンなど魅力は様々あるが、なんといっても光と影、構図など全てのショットに工夫がありどの場面にも映画的な視覚の魅力が溢れている。アントン・カラスのチターによる演奏も生理的に気持ちいい。オーソン・ウェルズの単なる悪役に留まらない人間的魅力を感じさせる演技も溜息物で、全てが神がかっている。

2023/05/02

2023/05/02

80点

購入/DVD 
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友人に招かれて訪れたウィーン。大戦直後の音楽に都は連合軍の国家の統治下にあった。舞台設定の妙。ドイツ語に英語にロシア語が飛び交う不安定な街にアメリカから来た男があてにしていた友人は自動車事故で死んでいた?その死に疑問を抱いた男は捜査に挑むが・・・。光と影を巧みに演出した緊張感ある絵作りが見事。