あらゆる監督が自分の8 1/2を撮りたがるとまでいわれる作品。それだけ好き勝手にやっている感はあります。
愛人と妻が立ち会わせして修羅場になったり、映画関係者から詰め寄られたり、ときどき夢想したり、少年時代を思い出したり。それだけでストーリーらしきストーリーも無し。
それでも、最後に主人公が妻の手を取り、ほかの人たちと手をつないで輪になって回るところは力技でぐっときてしまいます。
当時どう受け止められていたのかわかりませんが、少なくとも今みると気を衒った作品というよりは古典。モノクロなせいもあるかもしれません。当時は世の中的には総天然色への移行期で、次回作の『魂のジュリエッタ』以降はカラーです。
舞台はほとんどが温泉地(湯治場)。この場自体が魅力的でしたが、さすがに今は現存しないようです(ネットで調べた限りではCasinò Paradiso del Mareなのか、Chianciano termeが出てきます)。