斬新である。意欲的な挑戦である。実験さくでもある。
ガン宣告された女性が、ショックをかかえつつも、街を彷徨する。その行き当たりばったり的な行動をカメラが追っていくという話。
この街をさすらう感 じが、女の孤独感を際立たせるが、見つめていると次第に、人生とは断片的な出会いのコラージュもしくは脈絡のない筋書きでできているのでは、という哲学的な思考にとらわれはじめる。フランスの夏は(夏至の日に設定)一日が長く、日が暮れない。6時あたりでも、公園で子供たちが遊んでいる。
ヒロインは様々な感情に揺れながら時間が過ぎていく。そして、終盤、ある男との出会いがあり、ここでようやくストーリーらしきたたずまいが訪れる。二人で、医師からの検査結果を聞くところで、エンド。なぜか、映画を見ている自分の人生の時間というものは、一瞬でも無駄はないし、かつ貴重であるということに揺さぶられるという結末だった。