カビリアの夜

かびりあのよる|Le Notti di Cabiria|NIGHTS OF CABIRIA

カビリアの夜

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レビューの数

29

平均評点

78.0(149人)

観たひと

227

観たいひと

42

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 イタリア
製作年 1957
公開年月日 1957/11/9
上映時間 111分
製作会社 ポンティ・デ・ラウレンティス
配給 イタリフィルム=NCC
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「道」のコンビ、フェデリコ・フェリーニとトゥリオ・ピネリがエンニオ・フライアーノの協力を得て書いたオリジナル・ストーリーを同じく三人が脚色、フェリーニが監督した、女の哀歓を描いた一篇。撮影は「戦争と平和」のアルド・トンティ、音楽は「道」のニーノ・ロータが担当した。主演は「道」につづきジュリエッタ・マシーナと「居酒屋(1956)」のフランソワ・ペリエ。それに「懐かしの日々」のアメディオ・ナザーリ、肉体女優のフランカ・マルツィ及びドリアン・グレイ、「道」のアルド・シルヴァーニなど。なおマシーナは、この作品で一九五七年カンヌ映画祭で最優秀女優演技賞を得た。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

カビリア(ジュリエッタ・マシーナ)は不幸な生活を送りながらも、いつかは真面目な道に返ろうと望んでいた。恋人に河に突き落とされても彼女の性格は変らなかった。ワンダ(フランカ・マルツィ)を除いた仲間の女達は、夢想を語るカビリアを可哀そうな気違い女として扱っていた。しかし、或る晩、カビリアの夢物語が実現した。有名な映画俳優(アメディオ・ナザーリ)が豪華な自動車に彼女を乗せて、ナイトクラブから自分の豪邸へと連れていったのである。これは自分の魅力のためと喜んだのも束の間、この著名なスターの昔の愛人ジュシイ(ドリアン・グレイ)が突然そこへ現れたとき、この冒険は悲喜劇的な終りを告げた。浴室に入れられ俳優とその愛人の和解ばなしを聞かされても、幸福な想いにひたっているカビリアだったが、朝になると勝手口から追い出される始末だった。とうとう自分が分らなくなったカビリアは、仲間と一緒に教会へ行き生活に奇蹟が起るように熱心に祈った。それから幾晩か後郊外の小さな映画館の舞台で、彼女は妙な踊りを披露したがそこでオスカー・ドノフォリ(フランソワ・ペリエ)に会った。このおとなしく、若い会計係の青年は彼女に大変親切な態度を示した。オスカーの愛の言葉を聞き、カビリアは運命に感謝しながらも、自分の汚れた生活が分ってしまえば彼が去ってしまうと恐れるのだった。だが、オスカーはカビリアの過去など全くかえりみなかった。二人は旅行に出発した。奇蹟が実現したと思われたが、湖の畔まで来た時突然オスカーはカビリアに躍りかかった。オスカーが自分を殺すためにこの淋しい場所へ誘ったのだとカビリアは気づいた。カビリアの夢は無残にも崩れ去った。不幸にひしがれた彼女は、オスカーの前に膝まずき、自分を殺してくれるように懇願した。しかし、これはオスカーから殺意を失わせ、カビリアは救われた。セレナーデを奏でる子供達の一団を後に従え、カビリアは子供っぽい様子で立ち去って行くのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1958年3月下旬号

外国映画批評:カビリアの夜

1957年10月上旬秋の特別号

新作グラビア:カビリアの夜

外国映画紹介:カビリアの夜

2023/10/24

2023/10/24

39点

選択しない 
字幕


盲目

下手くそな演技とチープな人間描写、いつものフェリーニ様。

2023/10/22

2023/10/22

80点

VOD/U-NEXT/レンタル 
字幕


うまくいかないことがリアル

必死に生きているのにうまくいかない。
疑いつつもわずかな希望に賭けるカビリアが悲しくもあり美しくもあった。
時々カメラ目線になるたびにドキッとした。
最後、涙を浮かべながら微笑むカビリアの顔が印象的だ。

2022/10/08

2022/10/08

75点

テレビ/有料放送/スターチャンネル 


かわいそうな女

実に不幸な女の話であるが、主人公の娼婦カビリア(ジュリエッタ・マシーナ)はそれでも希望を失わない。
恋人に殺されそうになっても立ち直り、いつか自分にも幸せなときがやってくると信じているカビリアに、突然結婚してくれと言う男オスカー(フランソワ・ペリエ)が現れる。しかし彼はカビリアの金が目当てで、彼女の金を奪って逃げる。またもや男に裏切られたカビリアは一旦は絶望するが、それでも立ち直ろうと笑顔を見せる。
ジュリエッタ・マシーナは「道」のジェルソミーナを演じた女優である。この映画でもコケティッシュなところを見せる。素晴らしい俳優である。泣き笑いの表情がとても良い。フェリーニの妻であることもよく知られている。
(余談)バス停の標識に"Fermata"の表示があるのを見つけたが、イタリア語では停止という意味らしい。音楽用語になっている言葉が出てくるので嬉しい。フェルマータというのは音符や休符を伸ばすときに使われるが、早い話が演奏を一時停止するのだろう。

2022/09/05

2022/09/06

78点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
字幕


戦後直後の日本を彷彿とさせる

エピソードを4~5つ組み合わせた映画。
貧富と宗教について現実の世の中の虚しさと照らし合わせて表現している。やはりフェリーニらしく寓話的。

2022/06/02

2022/06/03

82点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
字幕


初見。ジェルソミーナよりカビリアが好きだ!

川で溺れて助けられたカビリアは、子供から『娼婦だ』と呼ばれる。客をとっている=男に買われる描写は一切ない。アルモドバル《オールアバウト・マイ・マザー》のように街中からちょっと外れた野原みたいなとこで、娼婦たちがたむろしている。中盤に描写される繁華街で客をとっている娼婦は衣装も金がかかってるし、あきらかに美しい。カビリアは底辺の娼婦稼業のようだ。毛皮?の半纏みたいなのも貧乏くさいしダサい。江戸時代の夜鷹と蹴ころの中間みたいな感じかな?その辺の知識、経験は不足している、街娼も見たこともないのでよく分からない。
このテの売買春の一番馴染み深いのは、我らがシャーリー・マクレーン嬢が演じた《あなただけ今晩は》のイルマである。街で客をとりいつものホテル(連れ込み宿?)に入る。常に事後の描写でイルマの身の上話に客がチップをはずむ。
彼女はまさにこの映画のリメイク《スイート・チャリティ》で主人公を演じた。中学生時代、日比谷有楽座の70mmスクリーンに映し出されたシャーリー・マクレーンの肌はソバカスだらけで汚かった。ジュリエッタ・マシーナはしょぼくれた風情だが肌はきれいだし可愛い顔立ちだ。なんといっても直線の眉毛が素晴らしい。オードリー・ヘップバーンのサブリナと、このジュリエッタ・マシーナのカビリアの眉毛メイクは映画史上の画期的メイクではないか?
《スイート・チャリティ》では閉所恐怖症の会計士はチャリティの過去に恐れをなして結局逃げてしまった。
カビリアの会計士はカビリアの全財産75万リラを掻っ攫って逃げてしまう。
チャリティに希望を与えるのはヒッピー=フラワー・チルドレンだが、ここではニーノ・ロータの”Lla Ri Lli Ra”を歌う若者たちである。
ラストのカビリアのアップが絶品で涙なしに見れない。
フェリーニって宗教=カトリックには距離をとって、むしろ冷ややかに描く(《甘い生活》にも似た描写がある)が、結局人生を肯定的に捉えている。貴族的なヴィスコンティの厭世主義からは遠い。一般大衆、イタリア人のエネルギーを信頼しているようだ。

見逃していたフェリーニ作品、やっと見れたことに感謝!

2022/02/26

2022/02/27

98点

その他 
字幕


素直すぎて胸が痛い

ネタバレ

初めて観たのは20歳くらいの時にフェリーニの存在を知らずに観ました。
当時もはっきりとした瞳のジュリエッタ・マッシーニに惹かれたし、話も面白くて、でも裏切られたラストが悲しくて悲しくてすごく泣いてしまいました。
だけどそれまで裏切られる映画なんて沢山観てたし、娼婦達に群がる最低な男達そして騙される女達というパターンも何本か観てたと思う。
なぜだろう、どうしてカビリアの笑顔だけはこんなに悲しいの??と自分でも理解出来ない感情で止まらない涙に動揺した事を覚えています。

そしてDVDで持っていたけれどずっと観ていなくて、今日、20年ぶりに観ましたが、あの時の答えがすぐにわかりました。
どうしてカビリアがこんなに魅力的で悲しいのか。
それは彼女が誰よりも「素直」だったからだと強く感じました。
バカにされたら怒れる素直さ、俳優と出会ったら嬉しくてサインをお願いできる素直さ、そして音楽が流れたら楽しくて踊ってしまう素直さ。クラブでのマンボもキュートなダンスでもっと見たかった!
だからこそ催眠術にかけられるシーンはすぐ暗示にかかっちゃうんだから!!と不安で怖くてドキドキしました。
催眠術師に促され少女に戻ってワルツを踊るカビリアはとても可愛らしかったけれど、やっぱりそこでオスカーに目をつけられてしまったんだから、催眠術師の罪も重いぞ、と恨みましたが。
だって、素直なカビリア、ワンダに一目でも会わせる暇もなく一途に飛びこんだのに本当にひどい男、クソヤロー。
カビリアの「生きていたくない、もう生きていたくない!!」に胸がちぎれるかと思いました。
しかし、立ち上がって道を歩いていくカビリアを包むように流れる音楽と優しげなお嬢さんの「こんにちは」に答える彼女の笑顔の美しさ、その眼差しにまた泣かずにはいられませんでした。道を観たときも感じましたがフェリーニは人の気持ちをまっすぐにそして分かりやすく画面に映してくれるんだなと思いました。
あんまり有名じゃないのが不思議だけど本当に名作だと思います。