キューブリックは元カメラマンだけにいつもドラマよりも映像に重点を置いている感じがある。本作のシンメトリーな絵作りやステディカムを駆使した移動撮影は実に巧みで感心するが、ドラマは二の次なのか上手くない。男の子も助けに来るスキャットマン・クローザースも肝心のシャイニング能力をほとんど発揮する場面がない。クローザースなど何の為に来たのかわからない。ホテルの邪霊もよくわからず、ただ単に閉ざされた閉塞感からジャック・ニコルスンの精神が異常をきたしただけの様に見える。はじめの内はそれでイイのだが、はっきり邪霊に取り憑かれている事を示すタイミングが欲しい。ラストの写真などでニコルスンが、かつてこのホテルで凄惨な殺人を冒したと思しい支配人の生まれ変わりで、邪霊の意思でココに導かれてきたらしいと推察できるが、あまりに説明不足でわかりづらい。
ニコルスンとシャーリー・デュボールの顔芸は見所。