日の名残り

ひのなごり|The Remains of the Day|The Remains of the Day

日の名残り

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レビューの数

82

平均評点

76.5(442人)

観たひと

654

観たいひと

69

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 文芸 / ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1993
公開年月日 1994/3/19
上映時間 134分
製作会社 マーチャント=アイヴォリー・プロ(コロンビア映画提供)
配給 コロンビア トライスター映画
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD/SDDS

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

英国の名門家に一生を捧げてきた老執事が自身の半生を回想し、職務に忠実なあまり断ち切ってしまった愛を確かめるさまを描いた人間ドラマ。原作は、英国在住の日本人作家カズオ・イシグロ(石黒一雄)がTVドラマ用の脚本を改稿した同名小説(中央公論社)。主演のアンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソン、監督のジェームズ・アイヴォリー、脚本のルース・プローワー・ジャブヴァーラ、製作のイスマイル・マーチャント、撮影のトニー・ピアース・ロバーツ、音楽のリチャード・ロビンス、美術のルチアーナ・アリジ、編集のアンドリュー・マーカス、衣装のジェニー・ビーヴァンと、92年カンヌ国際映画祭受賞作「ハワーズ・エンド」のキャスト、スタッフが再結集。そのほかのスタッフは、共同製作に「ハリウッドにくちづけ」のコンビ、マイク・ニコルズとジョン・コーリー、エクゼクティヴ・プロデューサーにポール・ブラッドリーら。共演は「パトリオット・ゲーム」のジェームズ・フォックス、「ある日どこかで」のクリストファー・リーヴ、「赤い航路」のヒュー・グラントほか。2017年10月28日より特別再上映(配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1958年。オックスフォードのダーリントン・ホールは、前の持ち主のダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)が亡くなり、アメリカ人の富豪ルイス(クリストファー・リーヴ)の手に渡っていた。かつては政府要人や外交使節で賑わった屋敷は使用人もほとんど去り、老執事スティーヴンス(アンソニー・ホプキンス)の手に余った。そんな折、以前屋敷で働いていたベン夫人(エマ・トンプソン)から手紙をもらったスティーヴンスは彼女の元を訪ねることにする。離婚をほのめかす手紙に、有能なスタッフを迎えることができるかもと期待し、それ以上にある思いを募らせる彼は、過去を回想する。1920年代、スティーヴンスは勝気で率直なミス・ケントン(後のベン夫人)をホールの女中頭として、彼の父親でベテランのウィリアム(ピーター・ヴォーン)を執事として雇う。スティーヴンスはケントンに、父には学ぶべき点が多いと言うが老齢のウィリアムはミスを重ねる。ダーリントン卿は、第一次大戦後のドイツ復興の援助に力を注ぎ、非公式の国際会議をホールで行う準備をしていた。会議で卿がドイツ支持のスピーチを続けている中、病に倒れたウィリアムは死ぬ。36年、卿は急速に反ユダヤ主義に傾き、ユダヤ人の女中たちを解雇する。当惑しながらも主人への忠誠心から従うスティーヴンスに対して、ケントンは卿に激しく抗議した。2年後、ユダヤ人を解雇したことを後悔した卿は、彼女たちを捜すようスティーヴンスに頼み、彼は喜び勇んでこのことをケントンに告げる。彼女は彼が心を傷めていたことを初めて知り、彼に親しみを感じる。ケントンはスティーヴンスへの思いを密かに募らせるが、彼は気づく素振りさえ見せず、あくまで執事として接していた。そんな折、屋敷で働くベン(ティム・ピゴット・スミス)からプロポーズされた彼女は心を乱す。最後の期待をかけ、スティーヴンスに結婚を決めたことを明かすが、彼は儀礼的に祝福を述べるだけだった。それから20年ぶりに再会した2人。孫が生まれるため仕事は手伝えないと言うベン夫人の手を固く握りしめたスティーヴンスは、彼女を見送ると、再びホールの仕事に戻った。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1994年5月上旬号

外国映画紹介:日の名残り

1994年3月下旬号

グラビア 《New Release》(新作映画紹介):日の名残り

特集 日の名残り:作品評

特集 日の名残り:アンソニー・ホプキンス論

2025/09/02

2025/09/02

60点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


老い先を見つめ,こちらを振り返る

ダーリントンの屋敷が主な舞台となる.執事やメイドたちが屋敷で職に就き,また離れていく.若い女と男とが行き交うこの屋敷には,さすらう恋愛の放浪者たちがいて,特に恋愛を求めているのはメイド頭だと,ジム・スティーブンス(アンソニー・ホプキンス)はボヤいてもいる.そんな彼は75歳になる父「年長のスティーブンス」(ピーター・ボーガン)を職場のダーリントンに呼び寄せ,耄碌して失態が続く父を大目にみながら,老い先を見ている.父は父で母の浮気のために不幸に死にかけてもいる.
メイド頭となるのはケントンさん(エマ・トンプソン)で,彼女は案の定,スティーブンスと恋に落ちかけるが,淡い失恋があり,涙を流し,20年後にはベン夫人になって,孫が生まれようとしている.父は鼻先に汗をかいている.それも涙に見えなくもない.子スティーブンスは父にハンカチを渡している.スティーブンスには妙に管理をしたがっている.仕事柄,あらゆる雑事を把握しなけばならないからなのだろうか.鍵穴から覗き見る.政治の際どい話を聞かないふりをしながらしっかり聴いている.あるいは廊下から聞き耳をたてて室内をうかがっている. 
父はつまずいて転び,銀器をひっくり返す.サーブをすることの限界がきているが,父はそれを敷石が浮いているせいにしようとしている.中国人形も見える.英国の秩序と伝統を父が体現しているというのだろうか.生命の神秘を教えることは堅物のスティーブンスには困難でもある.彼は照明の下を動き回り,時々,突然,振り返る.  
自動車が庭先に集まってくると,要人たちが顔を並べ,ドイツの復興も問題にしている.父は座り込みうずくまっている.ダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)は人がいいようであり,アメリカ人(クリストファー・リーヴ)とやや対立する場面もある.父が死んでいるが,スティーブンスはそれでも仕事を続ける.歌を歌う外国人女性がいる.レコードをかかり,葉巻を吸いスティーブンスは満足気である.一方で主人は,ユダヤ人で亡命者のメイドたちを解雇しようとしている.戦後,こうした卿の言動は,反逆罪ともなりかねない,ナチス贔屓として非難され,卿は狂ってしまったらしい.卿は新聞を読み,本を読む.
過ちを正す旅として,20年後のスティーブンスはケントンさんに逢おうとしている.海辺にやってくる.雨が降るバス停にバスがやってくる.鳩が卓球ホールに入り込んでしまうが,アメリカ人は掴んでその鳩を外へ飛ばしている.

2025/08/30

2025/08/30

71点

選択しない 
字幕


幸せな人生とは何か、考えさせられました(^^;;

人はどういう時に幸せを感じるのか。誰かに必要とされているということを実感できる時なのか。仕事上のことであれば、その仕事への矜持を貫くことこそが幸せだろう。それが家族のことであれば、一緒にいることこそ幸せだろう。

スティーブンスとケントンの関係はあくまでも同僚、しかし信頼、尊敬し合える間柄でもある。互いに好意を抱きながらも仕事に忠実な自分を選択してしまうスティーブンスと、想いを伝える勇気を持てずにその場を去る選択をするケントン。どうして切なく感じるのだろう。僕自身が仕事よりも恋愛よりな考え方を持っているというのか(^^;;

読んでいる本を見せて、と迫ったあの日、2人が結ばれたら良かったのに、と思います。その場合はどちらかが職を変えないとダメなんだろうけど。

2025/08/21

2025/08/22

100点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
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70歳を過ぎると

◎ 5年ぶり3回目の鑑賞。70歳を過ぎて観ると、物語がますます身に染みる。
◎ 一途に自らの道を歩んだ男が、失ったものの大きさに気付きながらも、その道を歩み続ける。かつて密かに思った女性に会いに行くが一発大逆転もならず、やがて自らの父親と同じく、歩んでいるその道の途上に倒れるのだろう。

2025/08/19

2025/08/20

94点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
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高潔さとは

 英国在住の日本人作家カズオ・イシグロのブッカー賞受賞作品の映画化。イギリス貴族社会の高潔さとその屋敷に執事として務める中年男性の不器用ながらも実直な生き方が描かれる。
 第一次世界大戦後のヨーロッパ列強は敗戦国ドイツに寛容だったようだ。とりわけダーリントン卿はその筆頭で、ドイツ復興を支援するために屋敷に各国の要人を招き、会議を開くほどの熱の入れようだ。ただ一人、アメリカの富豪で国会議員のルイス(”スーパーマン”クリストファー・リーヴ)だけが異を唱え、皆さんは高貴だけど、外交はアマチュアなので、プロの政治家に任せるべきだと主張する。ダーリントン卿はアマチュアだからこその熱意を語るが、歴史が証明する通り、再軍備したドイツはヒトラー独裁下、第二次世界大戦を起こす。ルイスに先見の明があったようだ。
 ダーリントン卿の大邸宅には数多くの使用人がおり、スティーブンス(アンソニー・ホプキンス)が執事を、ケントン(エマ・トンプソン)がメイド頭を務めている。二人は仕事に厳しくプライドが高い点では共通しているが、性格的に合わない。特にスティーブンスは仕事一点張りのかたぶつで、ケントンとの仕事以外の会話は拒否する。しかし実際はケントンのことが気になって仕方がない。ケントンもスティーブンスにほのかな想いがあるが、お互いに口に出せない。
 ケントンに以前の同僚からプロポーズされたことを打ち明けられても、スティーブンスは表情を変えずにおめでとうと言うだけだ。スティーブンスの反応の冷たさにケントンが泣いていても、慰めるでもなく、仕事の話を事務的に伝える。
 20年の月日が経ち、戦争も終わり、平和な日々が訪れたが、ケントンは愛のない結婚生活を送っている。それを知ったスティーブンスが彼女に会いに行く。そこでようやく二人の愛が実を結ぶのか。ありきたりのメロドラマにしないところに高潔さを感じた。

2025/08/19

2025/08/19

70点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
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第一次大戦後疲弊したドイツを擁護する発言をしていた英国貴族。その家に親子二代で仕える執事。過去と現在を織り交ぜて描かれる人間ドラマに戦争の影をあしらった映画。適材適所なかなかン御顔ぶれで彩った落ち着いた雰囲気の映画。

2025/08/02

2025/08/02

78点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
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感情を抑えると

逆に思いが伝わってくる
カズオイシグロ
純日本人なのにイギリスでブッカー賞
よほどイギリス人にささったと見える
ノーベル賞まで?
ダウントンアビー制作より20年くらい前、執事の話で設定が似ている