私の殺した男

わたしのころしたおとこ|The Man I Killed|----

私の殺した男

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レビューの数

16

平均評点

77.1(59人)

観たひと

86

観たいひと

6

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ / ラブロマンス
製作国 アメリカ
製作年 1932
公開年月日 未公開
上映時間 76分
製作会社 パラマウント映画
配給 パラマウント支社
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダ-ド
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「陽気な中尉さん」「モンテカルロ」のエルンスト・ルビッチがトーキーになってから始めて手がけたシリアス・ドラマで原作は「シラノ・ド・ベルジュラック」で有名なエドモン・ロスタンの息モウリス・ロスタンの筆になる舞台劇。それをレジナルト・バークレイが手を加えて改作し更に「陽気な中尉さん」と同様サムソン・ラファエルソンとエルネスト・ヴァイダが協力してシナリオにまとめ上げたもので撮影は「龍の娘」「失われた抱擁」のヴィクター・ミルナーが担任。主なる出演者を挙げれば「侠盗ヴァレンタイン」のライオネル・バリモア、「盗まれた天国」「夜の天使」のナンシー・キャロル、「アメリカの悲劇」「光に叛く者」のフィリップス・ホームズ、「モンテカルロ」のザス・ピッツ、ルイス・カーター、ルシアン・リトルフィールド等である。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

西部戦線。ポールは若いドイツの兵士を銃剣で刺殺した。同時に彼は己のした事に激しい恐怖を感じた。その死体から彼はその兵士の名と村を書いた手紙を見いだしてその兵士が愛人に宛てて書いた手紙の最後のページを読んだ。非常にセンシティヴな若者であったポールは恰も己が普通の場合に人を殺したように懊惱した。それは常に彼の心を苦しめ、ついに戦いが終わった後ポールは彼が殺した男の故郷をドイツに訪れそしてその家族の許しを乞うこととした。彼に殺された若者の父はホルダアリンという医学博士だった。妻と亡き息子の許嫁エルザと共に住んでいた。この人は激しくフランス人を憎んでいた。彼にとってすべてのフランス人は息子の殺害者であり、村全体もまたフランス人を憎むこと甚だしかった。ポールはその村に着くとすぐ己の殺した男の墓に詣で、花を捧げた。エルザは亡き愛人の墓前にひざまづいて泣いている旅人をいぶかしげに見ていた。墓守りはその旅人がフランス人であることを村中にふれ歩いた。やがてポールは博士の家を訪れた。ホルダアリンは旅人の名を聞いた時それがフランス人であることを知り、険しい眼で彼を見、やがて出て行ってくれといった。ポールは一言でいいから聞いてくれと乞うた。そして絶望のうちに恐ろしい告白をしようとしたが、不幸にもその父親は彼が死んだ息子の友人であったというように信じただけで終わった。それはエルザが戻ってきて一人のフランス人が彼女の愛人の墓に花を捧げていたことを告げたのでホルダアリンはこのたび人が息子と親しかったのだと信じたのであった。憎しみは愛情に変わった。ポールは老夫婦のパセティック喜びを見てついに告白の機を逸してしまった。それからポールはたびたびこの家を訪れ家族は彼を快くもてなした。村はこのフランス嫌いの老人が一人のフランス人を迎えている姿を見ていろいろと噂した。そして彼の友人達は極めて冷ややかになりことにエルザを貰おうと思っていたシュルツという男はホルダアリンを非難さえした。けれどその頃ホルダアリンは敵だった国民を憎むことの愚かしさをしり、村人の狭い心を斥けた。そして息子を殺されたことに対してフランス人を責めていた彼は戦争とその飽くなき残虐を呪うようになった。またポールは彼に新しいフランス人への理解を与え、これがためホルダアリンは己と同じように息子を失ったフランス人の父親のことを考えはじめた。更に彼の熱心はこれをそのまま村の同じような父親にひろげた。けれどポールは己の恐ろしい心の要求に更に怖え、エルザに国へ帰ることを告げた。エルザは彼が己を愛していることを知っていた。そして彼がいま国へ帰るというのは自分が死んだ男と婚約していたからだと思った。そこで彼女は亡き許嫁から来た最後の手紙を持って来た。それには彼が例え死んでもそれによって彼女の幸福を妨げることを欲しない旨がが書かれてあった。そして彼女は最後のページをめくった。ポールはついに耐えきれず一切を彼女に告白した。そして今己が自殺しようとしていることを告げた。ポールはすぐにホルダアリンの許に走って同じ告白を始めるがエルザはそれをさえぎってポールはこの村に永住することを告げに来たのだと言った。老夫婦は非常に喜んだ。やがて二人切りになった時エルザは今になって真を語って逃げ出すのは卑法だと言った。ポールのついに思い直して己が殺した男の両親と愛人の幸福へ己の一身を捧げる決心をしたのであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2024/09/07

2024/09/07

90点

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反戦映画の傑作・エルザの覚悟が素晴らしい

2024年9月7日に鑑賞。DVDにて。1時間15分40秒。スタンダード・黒白。PARAMOUNT PUBLIX=ERNST LUBITSCH PRODUCTION。フランス、ドイツが舞台だが英語発声。

正しい原題は「Broken Lullaby」である。「The Man I Killed」は原作戯曲のタイトルである。

エルンスト・ルビッチだがシリアスな反戦映画の傑作である。

未見ですが、フランソワ・オゾン「婚約者の友人」(2016)のオリジナル版ということです。

開巻のウォルターが死ぬ場面が素晴らしい。死ぬ間際のウォルターの目の動き表情が迫真の演技である。

ラストのエルザの覚悟、婚約者の両親に対する愛に泣けました。

父医師役の Lionel Barrymore、母役のLouise Carter 何と巧いのでしょう。

1919年11月11日パリ『第1回 第一次世界大戦休戦記念日 The First Anniversary of Armistice Day 』→片脚のない男の股下からローアングル仰角で撮った勇壮な兵たちの行進。

教会での式典「本日は全員にとって喜びの日です。平和が訪れたことを感謝しましょう。平和を未来を考えて生きましょう。過去は忘れるのです」キリスト像にカメラが近づきアップ。兵士たち皆が退出するが、膝まずいた1人の手だけが長椅子の上に残っている。天井からの大俯瞰から「手」へカメラが寄る。

ポール「人を殺しました。彼の目を忘れられない。昔は幸せでした。人生を音楽に捧げて、美しいものを届けようと。しかし、人を殺したんです。音楽は消えました。聞こえるのは死にゆく男のうめき声だけです」神父「人を殺した。どうしてだね?」ポール「分かりません。理由なんて何もないんです。彼は抵抗することもせず、ただ僕を見ていました。ずっと」ポールの顔のアップ。

★[回想・1917年]瀕死のドイツ兵の目のアップ。ベートーヴェンの本に挟まれた手紙に「Walter」とサインしようとするが「Walte」でこと切れる。

ドイツ兵の見開かれた目。手紙『(英文)誰を殺すのか。何のために。2年間パリに住んでフランス人が好きになった。なのに彼らを殺すなんて・・・。もう書けない。地面が震えている。さようなら。 Aufwiedersehn! 』ポールが「r」を書き加えた。

神父「それは必要のない苦しみだ。良心の咎めは感じなくていい。君に罪はない。責務を果たしただけだ」ポール「責務を?果たした?Duty? 殺しが?Duty to kill? 神の家で得られる答えがそれですか?」神父「許しを与える。君の罪だけじゃなく、神への不敬に対しても」ポール「平和を求めて来ました。なのに与えて貰えない」ポール、キリストを抱くマリアの絵画を見る。ポール「彼女は息子を亡くしたが・・・」神父「殺人者を許した。神が君を助けてくれる。My son.」ポール「son son! 彼も誰かの息子だ!母もいる。母親に謝りに行けば・・・赦しが?」神父「得られるとしても、今は忘れなさい」ポール「彼の名も家も知っている。行けます。彼の国へ行きます。家族に会う」

ポール「僕はおかしいと思います?900万人が死んだのに。★もう次の戦争の話だ。次の死者は9000万人になるかも。★それは正常ですか?だったら僕は異常者でいい。1人の男を殺した。ウォルター・ホルダーリン。★僕は逃げません。神はお分かりです。僕はおかしくない」神父「行きなさい。彼の国へ。家族に会いなさい。神が共にある」

『ホルダーリン医師 Dr. med. H. Holderlin pract. Arzt Sprechstunden: 9-11 4-5』

ウォルターの墓石『Walter Holderlin Geboren AM 2. MAI. 1896 Gefallen AM 22. OCT. 1917』2人の母親。ウォルターの母「2人ともきっとどこかにいるわ。私たちを見ている。泣いてばかりでは嫌われるわ。★残ったものを愛しましょう。これからの人生は長いわ」

ホルダーリン医師に会いに来たポール。机の上の写真立てを裏側から見るポール。次のカットは写真の表側のウォルターの顔越しのポールの顔を映す秀逸なカットである。

父親、ウォルターの写真を机に伏せた「まさかフランス人が私の家に来るとわ。出て行け。君と私の間には理解などない。数百万人の死。死の世界がある。兵士だったか?」P「3年間」父「でも生きている。ドイツ人を殺したか?」ウォルターの写真をポールに見せる。父「私にとって、すべてのフランス人は息子を殺した奴だ」ポール机に伏す。

母「フランス人ね。お墓に花を供えてくれてありがとう」ポールは真実を話すことができず、パリの友人だとウォルターのことを話し3人を喜ばせる。

エルザ「ありがとう。2人共とても喜んだ。私も。おかげで心が蘇ったわ」

父「誰に殺された?私の息子も君の息子も?私は憎しみも死もよく知っている。戦場へ送り出したのは誰だ?銃弾と毒ガスと銃剣を与えたのは誰だ?ここでもフランスでも、我々父親がやった。我々には責任がある」

最後のウォルターの手紙を読むエルザ。ポールが暗記した文を読む。★この伏線の回収が白眉です。→エ「まさかあなたが?」

Pが母に告白しようとした時にエルザ「私から言うわ。3年間苦しんだ。あるのは深い悲しみと空虚だけ。でももう終わったの。Pはそう言いたかったの。Pの人生も戦争で破壊されて希望を失っていた。あなたはPを受け入れた。Pはここに帰って来たの。母に笑顔が戻った。地獄から抜け出したの。Pにも★元へは戻させない。Pは母を愛している。ここに住んでくれる」母外へ。エ「真実は言わないで」P「行かせてくれ」エ「逃げなさいよ。簡単よ。2人目の息子もいなくなる。行かせない。ウォルターを2度も殺させない。2人の為に生きて。私たちはどうでもいい」父母が入って来てポールを抱きしめた。

画面では、監督:Ernst Lubitsch、原作戯曲「The Man I Killed」:Maurice Rostand、脚色:Reginald Berkeley、脚本:Samson Raphaelson、Ernest Vajda、撮影:Victor Milner である。

出演は、Lionel Barrymore(父医師ホルダーリン/ドイツのフォールズバーゲンバーン在住/ドイツ人)、Louise Carter(母ホルダーリン夫人)、Nancy Carroll(エルザ/ウォルターの婚約者/ドイツ人)、Phillips Holms(ポール・ルナール/フランス人/ヴァイオリン奏者)、Tom Douglas(ウォルター・ホルダーリン/22歳/第一次世界大戦西部戦線にて戦死/ドイツ人)、Frank Sheridan(神父/フランス人)、Lucien Littlefield(ウォルター・シュルツ/エルザに言い寄る男/ドイツ人)、Zasu Pitts(アナ/ホルダーリン家の女中/ドイツ人)、George Bickel(ブレスラウアー氏/洋服店主/ドイツ人)、Emma Dunn(ミュラー夫人)ほか。

2024/03/31

2024/04/25

80点

レンタル 
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EECが出来たのが1958年、ルビッチは鬼籍に入っていた。

ネタバレ

エルンスト・ルビッチは1892年ベルリン生まれ(Wiki)。ドイツ帝国を熟知していたはず。アメリカに招かれ
ソフィスティケートされたコメディで一時代を築いた。当然、第一次世界大戦の悲惨さは心の奥底に沈殿して
いたのだろう。仏独の兵士の悲劇に心を痛める家族の物語を映画化した。原作は戯曲で、互いに敵国語を
学び、音楽の道に進んだ二人の兵士の設定なっていたが、ハリウッド映画として英語劇となり、音楽家という
設定のみ引き継いだ形になった。

1919年のフランスの大戦勝利記念パレードが写されるが、片足を失った兵士の股抜きショット、という
シニカルなオープニング。戦前はオーケストラでバイオリンを弾いていたポールは、神父のところへ罪を犯
した、と告解に行く。塹壕戦でポールはドイツ軍兵士を殺す。兵士は息を引き取るまで手帳に日記を書き
続けていた。兵士はパリに留学経験があり、フランスを愛していた。なぜ殺し合うのか、という疑問が綴られ、
署名で終った。ウォルター・ヘルダーリン、そして住所だった。
神父はポールの戦争の話を聞いても、ありきたりのことしか言わない。ただお茶を濁すだけ。
ついにポールはドイツのヘルダーリンの住んでいた町に向う。ウォルターの両親に許しを請うのだ。跪くのだ。

ウォルターの残した住所には、父親が医院を構えていた。妻と娘がいたが、戦後となり、その美貌の娘エルサ
をねらう輩もやって来る。ヘルダーリン医師は断固とそういう輩を排除した。
ポールはウォルターの墓参りを続けた。その姿をエルサが見ていると、近くの墓守が彼は何度も墓参りに
来ていると告げる。ポールはとうとうヘルダーリン医師と面会することができた。しかし医師はフランス人と
聞くと態度を急変させ、ポールを追い出す。エルサとポールが一足早く恋仲になるが、ポールがウォルター
を殺したという話には激しく動揺する。エルサはすべてを飲み込み、ポールの戦争で心を痛めた人だ、
と両親に語り、ヘルダーリン家に新しい息子を迎え入れることになった。

ともかくポールとヘルダーリンとの対話は息詰まるもの。掛け時計のチクタクだけが背後で響く。ウォルター
が亡くなって音楽は封印されていたのだ。しかしついにポールの気持ちがヘルダーリン家を解かした。
ポールのバイオリンの演奏とエルザのピアノの共演が感動を盛り上げる。悲痛な話だが、ユーモアも
交えたルビッチの語り口は絶妙。感動篇でした。

2024/04/09

2024/04/24

80点

選択しない 


聖女エルザ

ネタバレ

 ルビッチ監督によるトーキー初期の反戦ドラマ。戦場(西部戦線)で敵を殺したフランス兵の苦しみとその殺されたドイツ兵の家族の悲しみを対比させることで戦争の不条理を浮かび上がらせた名作であろう。尺も1時間ちょっとと短めながら簡潔、かつ感動的に後悔や悲しみ、そして憎しみを乗り越える姿を描ききっていたと思う。
 もっとも敵を殺すことが目的でもある戦争においてそれを罪と捉え、思い悩んでしまうような男はそもそも戦場に行くべきではなかろう・・・と当時の人々は感じたかもしれない。何と弱々しい男なのかと。
 でも最初はポールだって愛国精神から勇んで戦地に赴いたのかもしれない。でもそこでの阿鼻叫喚と現実の死と対峙した時、人は果たしてそんな強気な言葉を吐けるものかどうか。
 その罪に耐え切れないポールは神の許しを請おうと告解まで試みている。神父は戦争なのだからと罪を許すも、「殺すことが義務なのか」と逆ギレするポール。どこまでも真面目に捉えるポールという男に戦争の不条理さが集約されている感じ。
 場面変わって殺されたドイツ兵ウォルターの墓前のシーンも印象的。墓の前で悲しみに暮れる母親たち。息子の好きだったシナモンケーキの話をする友人の母。そのレシピを詳細に呟くウォルターの母。それを聞いた友人の母は砂糖を2カップにしてなかった・・・とそこで言葉を詰まらせ涙ぐむ。息子の好きだったケーキの話題でもって奪われた息子との距離とその悲しみを浮かび上がらせる。
 家族に許しを請うためわざわざドイツ兵の実家まで訪れるポール。そこでフランス人と聞いただけでけんもほろろな態度をみせる父親。到底乗り越え難い恩讐の壁。そこを映画はどう落着させるのか。
 殺されたウォルターの許嫁エルザがその重要な役割をひとりで引き受けていた。戦争という愚かな行為を引き起こした男どものふるまいに何とか収集をつけようとするエルザは聖女のように神々しかった。

2022/01/14

2022/01/15

80点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
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この視点からのものは珍しい

緊迫感が延々と続く
ドイツの田舎者でまじめなところが
面白い
予想以上に良かった

2019/08/15

2019/08/16

70点

レンタル/東京都/TSUTAYA 
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こっちのがシンプルだけど後を引く苦さ

1932年のアメリカ映画。フランソワ・オゾン「婚約者の友人」のオリジナル版。これを見ると、オゾン監督がどれほどイジワルに原案をいじり倒したか、よくわかります。タイトルがネタバレだと思ったけど、この映画では “刑事コロンボ方式”で最初に殺害場面、そこから時系列に従って映画は進んでいきます。

筋は割とストレートで、彼女が彼を追ってきてひどい思いをするような場面など、もちろんありません。でも題材としてはなかなか挑戦的だし、先進的な感じさえします。

一見したところハッピーエンドに見えるけど、繊細すぎる男の苦悩は一生続くだろうな。このストーリーのままいったとしたら、彼は夏目漱石「こころ」の主人公のような最期を遂げるんじゃないか。これはオゾン版よりよほどむごい。

こういうときに女はわりあい現実重視で見たくないところに目をつぶれたりする、など、人間模様が興味深いです。

2019/06/27

40点

選択しない 


反戦がヒューマンドラマになってしまうのが拍子抜け

 原題"Broken Lullaby"で、打ち砕かれた子守唄の意。モーリス・ロスタンの戯曲"L'homme que j'ai tué"(私が殺した男)が原作。
 第一次大戦後、ドイツ兵を殺したフランス兵ポール(フィリップス・ホームス)が贖罪に遺族ホルダアリン家を訪問するという物語。しかしホルダアリン夫妻(ライオネル・バリモア、ルイズ・カーター)は、戦死した息子(トム・ダグラス)が戦前フランスで暮らしていた時の友達だと勘違い。ポールは真実を話せないままに訪問を続け、やがてホルダアリン夫妻は息子の代わりのように可愛がる。
 婚約者だったエルザ(ナンシー・キャロル)もポールに恋し、町のフランス人に対する反感をよそに一家はエルザとポールとの結婚を望むようになるが、いたたまれなくなったポールは真実をエルザに告げる。次いで両親に告げようとするとエルザは真実を告げるのはホルダアリン夫妻に酷だとポールとの結婚を告げるという結末。
 冒頭、ポールの懺悔を聞いた司祭が兵士としての義務を果たしただけだと答えてポールが失望するシーンがあり、反戦映画風に始まるが、ラストではハッピーエンド風なヒューマン・ドラマになってしまうのがハリウッドぽくて拍子抜けする。
 ホルダアリン夫妻との初対面で真実を言いそびれてしまったり、そのまま滞在し続けたり、エルザが勝手にポールが町に居続けるものと決めつけたりという強引なストーリー展開が多く、これで万事丸く収まるの? と疑問符が付いたままの中途半端なThe Endが残念な作品。(キネ旬9位)