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ハンナ・アーレント
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映画の冒頭、画面の色調が一段落とした様な、そして少し変色した様な色調で始まる。これは映画全体を通してその色調だ。映画の出だしである男の乗っているバスがずいぶん古いなあ、と思った。この男がバスから降りたところを複数人の男たちに拉致され車に乗せられていくところから始まる。後々判るのだが、拉致された人物がナチスのアイヒマンだ。 そこからガラッとシーンが変わるのだが、景色や家具類がずいぶんと古いなあ、と思っていたら、イスラエルによるアイヒマン裁判が始まる。だから時代背景は1960年前後だ。それで絵の色調も一段落とした様な色調にしているのだ。 この映画はハンナ・アーレントがイスラエルによるアイヒマン裁判を傍聴し、その傍聴を元に雑誌に掲載した論文と、その論文に対するユダヤ人やその他の人々からの批判と、それに対するハンナ・アーレントの対応が描かれている。途中途中で、学生時代のアーレントと恩師のハイデガーとの交流がフラッシュバックで差し込まれる。映画の中でハイデガーが出てくるとは! またアイヒマンといえば、先日観た「ウォーキング・ウィズ・エネミー ナチスになりすました男」でハンガリーでのユダヤ人虐殺を思い出す。 この映画をハンナ・アーレントのあの時代の伝記映画と受け取っても良いが、私は彼女の思想を述べている映画だと思った。 すなわち、アイヒマンはただの平凡な人間であったと。平凡な人間が狂った指導者の下に就くと、無批判に何百万もの人達をいとも簡単に殺していく、と言うこと。では、それを防ぐためにはどうすれば良いか、は現代人にも問いかけられている。現在のイスラエルはどうだ。プーチンはどうだ、習近平はどうだ、キム・ジョンウンはどうだ、ドナルド・トランプはどうだ、安倍晋三はどうだ。そして日本国内では扇情的なクルド人排斥言論はどうだ。斉藤元彦はどうだ、石丸伸二はどうだ。我々、一般市民がきちんと考えないとヒットラーは永遠に生み出される。 彼女はなお現代人に問題を投げかけている。それを見事に描いている映画だ。それを教えてくれただけでもこの映画は重要な映画だ。 本来は彼女の本をきちんと読まないといけないのだが。
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