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鑑賞日 2025/03/31  登録日 2025/04/02  評点 82点 

鑑賞方法 VOD/dTV(dビデオ) 
3D/字幕 -/字幕
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生き残る

 張芸謀と鞏俐コンビの映画。
 それにしてもよくこんな映画が中国国内で撮れたなあ。張芸謀は北京オリンピックの総監督を務めるくらい体制側になった監督だ。こんな映画を作れるとは思ってもいなかった。
 なかなか重い映画だった。
 時代は1940年代。国民党と共産党の内戦と三反五反運動(これは知らなかった)が行われた時代。主人公福貴はブルジョアでギャンブル好きで、ギャンブルで負けて立派な家屋敷を奪われて一気に貧乏人になってしまう。影絵の旅芸人となり、旅の途中で国共内戦に巻き込まれ共産党軍として働いたことで、後に反革命分子とならず命が助かる。一方、ギャンブルで家屋敷を取り上げた男はブルジョアとして銃殺されてしまう。
 1950年代。大躍進の時代。毛沢東は大躍進するんだと、各家庭から金属を供出させる。だけど、農村部では鉄を溶かすために山の木を切り出したため、農地があれ作物がとれず、経済は疲弊して何千万人もの人が死んだ。
 1960年代。文化大革命の時代。造反有理(反対するには訳がある)で知識層を弾圧していったが、実は毛沢東の権力闘争だった。これをさらに先鋭化したのがカンボジアのクメール・ルージュ、ポル・ポト一派だ。この文化大革命でも多数の人間が虐殺された。ちなみに、私が1984年にT大学にお世話になっていた時、中国からの留学生がいました。彼女は文化大革命を批判していたが、私は中国の本当の事情を知らず、文化大革命を擁護する側で話していました。
 中国は日中戦争での日本の中国人の大虐殺をよく言うが、毛沢東はそれよりももっと桁違いに人達を殺しまくっている。現在の中国の”クマのプーさん”は毛沢東をあがめている人だ。プーチンがやはり虐殺者スターリンを礼賛しているのと同じように。
 と、各時代において中国共産党がいかに人民を殺していったかを描いているのだが、直接的では無く、一つの家族を描きながら各時代時代の社会を描いている。微妙に現政権を批判しない様にしているが、体制側の張芸謀がよくこの映画を作ったな。おそらくは面従腹背しているんだろうな。文化大革命を批判している映画として田壮壮の「青い凧」があるので機会があったら観てください。
 この映画に不満があるとすれば、子ども2人を殺すことは無いんじゃない。