サドマゾ変態芸術映画

日本のみならずフランスでもカルト的人気があったらしいサドマゾ変態芸術映画。
　触った感覚で彫像を創る盲目の芸術家と、彼を溺愛する老いた母親、そして題材として拉致された女性モデルの三人だけで織りなす異常な世界。面白いのは芸術家の船越英二が拉致しときながら意外と小心者で被害者のモデル緑魔子の方が強気な点。ところが誤って母親を殺された芸術家が怒りに任せてモデルを犯してしまうと主従関係が逆転、急に口調も態度も男らしくなり、モデルの方がか弱い女になり、すがる様になる。ここら辺がドラマとして面白い。
　さて、ここから暗闇の中、二人は巨大な裸婦のオブジェの上でサドマゾ的変態セックスに拘泥し、両手足切断して最高の悦楽の中、モデルは下等動物のようになっていき芸術家も割腹して果てる。　　
　とにかく圧倒されっぱなしで後味も悪いのだが芸術的な映像感覚もあり、アトリエ内の耳や鼻ばかりの部屋や巨大裸婦のオブジェなどの美術セットが凄い。増村保造監督の捨ておけない作品。船越英二が名演、緑魔子も体当たりの熱演。