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オール・アバウト・マイ・マザー
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改めてペドロ・アルモドバル監督作品のクセの強さを思い知らされた。 初めて学生時代にこの作品を観た時は、何が言いたいのかさっぱり分からなかった。 今観ても主題が何なのかを見極めるのが難しい。 当時はテネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』の内容も知らなかった。 世界観は独特だが、とにかく画面から溢れるメラメラとした熱量に惹かれる作品だ。 人は思った以上に自分勝手に生きて良い存在なのだと思った。 人生を悔いのないものにするには、自分の心に正直に生きること。 その結果、大きな代償を払うことになるかもしれない。 しかし、それが人生をしっかりと生きることなのだと思った。 とにかく死の香りの漂う作品だ。 看護師のマヌエラは常に患者の生死に携わっている。 そんな彼女は最愛の息子エステバンを交通事故で失ってしまう。 彼は誕生日にマヌエラと『欲望という名の電車』の舞台を観た帰りに、大女優のウマ・ロッホにサインをもらおうと飛び出していく。 雨が降る中、マヌエラの制止も間に合わず、タクシーを追いかけたエステバンは、車に撥ねられ脳死と診断される。 失意のうちに、マヌエラは行方不明になっている夫のロラに息子の死を報せるためにバルセロナを訪れる。 そこで彼女は敬虔なシスターのロサと出会う。 何と彼女はロラの子供を妊娠していた。 どうやらロラはAIDSに罹っているらしく、後にロサも感染していたことが分かる。 彼女にもまた死の影が忍び寄ろうとしていた。 これはもちろん母親の物語だが、同時に様々な女の生き方を描いた物語でもある。 実はロラは身体は男性だが、女性の心を持っていた。 彼女は父親でもあり、母親でもあるのだ。 ロラもまたこの物語の中で死期を迎えている。 また思わぬ形でマヌエラが付き人を務めることになるウマも複雑な生き方を選んだ女性だ。 彼女は自分の娘ほどの年齢のニーナとレズビアンの関係にある。 が、ニーナは薬物に溺れており、ウマを振り回し続ける。 舞台上でウマはブランチを、ニーナはステラを演じているが、実生活で奔放に振る舞うのは完全にニーナの方だ。 全体的に暗いトーンの作品だが、逆境にもめげずに明るく生きるトランスジェンダーのアグラードの存在が救いだった。 ちなみに彼女は心は女性で、身体も色々と処理済みのようだ。 全体的にインパクトは強いものの、叙情的で掴みどころのない作品である。 何となく散漫な印象を受けるのは、ペドロ・アルモドバル監督の若さ故か。 万人受けする作品ではないし、感情移入するのが難しい作品でもあるが、深い悲しみの中でも気丈で明るさを失わないマヌエラの生き方には感動した。 そして彼女が亡きロサの赤ん坊を連れて、ロラに会うシーンに温かさを感じた。
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