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鑑賞日 2025/04/06  登録日 2025/04/06  評点 70点 

鑑賞方法 テレビ/無料放送/テレビ東京 
3D/字幕 -/字幕
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散会された同期

京王線が走っている.その終電がいつも気にされる.終電を逃したからといって都市で遭難するわけでもないが,それでも同じように逃した者たちは,別の手段で家に帰るか,まだ残された夜をその地に過ごす方法を考えなければならない.朝,始発が仕事の象徴であるとするなら,その仕事に就職するまでの,曖昧で,モラトリアムで,夜明け前のように悲しいような欲望に満たされる時間がそこに過ごされる.
ともあれ,山音(菅田将暉)と八谷(有村架純)は,京王線沿線で出会い,共に過ごし,そして数年で別れて,それぞれの道へと進みつつある.二人の引力は,趣味の範囲で働く.映画,小説,音楽,漫画,ゲーム,お笑い,美術などなど,主にはサブカルチャーの分野での嗜好の共通と共有が二人の間の恋の核にもある.また,二人はそこそこには整った顔や姿をしているのも,特に第一印象で互いに嫌悪しなかった理由にもなるだろう.二人は同調している.スニーカー,恋愛経験,好きなことへ賭けたい将来への思い,そして互いの肉体的な距離感と思いやる精神などである.二人はツーショットで映る.直接に肌を接することは,少なく,それゆえにさっぱりとした濡場や信号待ちでのキスシーンなどもどこか爽やかである.湿っぽくはなるものの,大きく感情を乱して,歪み合うような関係ではない.微温的に,社会や家庭の成員となるように求められるプレッシャーがあり,また,実際に経済的にも,普通に働かなければならない季節がやってくる.
ツーショットはやや遠く.一人だけが画面に収まる時,それはお互いへのリアクションのようにそれぞれが表情や行動をしているようにも見えている.多摩川沿い,京王線沿線にささやかに築かれた二人だけの世界はやがて解消されていく.その解散あるいは散会のあり方においても,二人は妙に同調している.右と左の音声,イヤホンで二つながらに別れた音と言葉,そして二人の重ならないナレーションが,どこか覚めた感覚で,恋愛にのみ燃え上がってもいられない人生を突きつけてくる.