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風と共に散る
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ついに本作を初めてスクリーンで観る機会を得た。ダグラス・サーク監督作に傑作は数多くあるが、わたしは1番、この荒削りながらも情念に溢れた本作が好きなのである。 思うにわたしが本作に惹きつけられるのは、その情念の描写にあると思うのだ。象徴的なのはドロシー・マローン演じる末娘が思い出の川辺で幼き日を思い出す時の表情。愛する男は自身を妹としか見てくれず、叶わないと知っている恋心の苦しみ。たまらない。また、石油王の御曹司が自身にない男性性すべてを備える幼なじみに嫉妬を覚える姿。これもたまらない。 正直なところ、この映画で描かれる情念はとても日本的なものだと思う。例えば兄妹間の愛だったり、親友の妻に恋したり、どれも叶わぬ愛だと知って、それで苦しむ人間模様はアメリカの気風ではないだろう。アメリカは叶わぬ愛を叶えてこそ、だと思っている。 そもそも、この映画のドロシー・マローンの妖艶さはアメリカ的なセクシーという形容詞が似合わない。それこそ若尾文子のように身体の中に秘める激情のアメリカナイズされた姿に思える。だからこそ、この映画を「情念の映画」といいたくなるのだ。そして、それは後のドイツ映画界(特にファスビンダー)への影響としてダグラス・サークの存在感を残しているようにも思えたり。 とにかく、初のスクリーンで思い知ったのは演者たちの芝居の素晴らしさ。ドロシー・マローンを筆頭に、ローレン・バコールのクールかつ感情を抑えつつも夫の苦悩に付き合おうとする母性と、だからこそ目立つドロシー・マローンの情念(特に石油王の死とクロス・カッティングで描かれる激しいダンスの強烈さ)。当然、ロバート・スタックの自信を取り戻し、それを再び失う姿も見事。またロック・ハドソンが不動かつ秘めたる恋心もいい。何度も観た作品で物語をすべて知った上で観ても、これらの芝居は飽きることなく何度も楽しめる。やはり人間の情念は普遍的なものであり、それを箱庭のように見せるシナリオの妙味。やはり、わたし好みの映画である。 ところで、今回の特集上映でダグラス・サーク監督作をスクリーンで見直せてとても嬉しいが、やはりサークの傑作は本作ではなく他にある。それでも、わたしが本作を好きなのは、改めて考えても、この映画にある情念と、そこに感じる日本的なドラマなのかな、という感想。
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