恋愛至上主義への異議。

恋愛への憧れが「呪い」となって主人公・仕草を縛る。そんな呪縛をお伽話に憧れる幼年期、女子校なのに塾で無理矢理に彼氏を作る中学生時代、プライド高すぎの彼氏とぶつかってばかりの美大生時代、パワハラ上司の言いなりになっていることを気づかせてくれた金子と付き合い始めてデートのために作ったおにぎりが原因で決裂する社会人時代など、仕草の恋愛に「呪われた」半生を描く。

梅干しにぎりだけしか用意しない仕草も仕草だが、ご飯すら食べられない金子もなんだかなあという感じ。恋が終わったことをバネにして作品を作る仕草にアーティストの性（さが）を感じるも、かなりの戯画化とも思われた。

とはいえ、世の中、誰が誰に告白して、誰と誰がくっついた話ばかりしている人も多いよう。そういうタイプの人と付き合いがないので、忘れそうになるものの、本作の作り手もそういうどうでもいい流れに反骨する人なのだと理解した。