叶わぬ恋から30年。

十五歳の心也と夕花の淡い恋心と、30年後の心也に訪れた思わぬ出来事を描く。30年後の心也の語りから夕花に何かが起こることは予想がつくが、難病の彼女との昔を回想するパターンの悲恋モノかと思ったら、貧困の家でのDV被害によるものだった。

子ども食堂を映画で描くことの意義は感じるものの、それを偽善と言って家族を攻撃する側への処置を誰もしようとしないのが、どうにも歯痒い。

だが、記憶を失くしても、心也と語った夢を実現した30年後の夕花の姿に、貧困という社会の病や義父による暴力を乗り越えた人間の力強さと希望を感じた。