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鑑賞日 2025/02/11  登録日 2025/04/10  評点 60点 

鑑賞方法 映画館/沖縄県 
3D/字幕 -/字幕
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映画の雰囲気にもやもやした気分


この映画の発想の元が監督・脚本を担当したエリーズ・ジラールが2013年に初めて日本を訪れたときに体験した感情をもとにしたと語っている。それで主人公にはイザベル・ユペールの顔が思い浮かんだとも。ジラール監督はこの映画で哀悼について語りたいとしている。それと同時に再生について、思いがけず愛が戻ってくることについての作品なので、ヒロインの交通事故死した夫の幽霊が現れるという設定にしているだろう。ヒロインの名前は作家のシドニー・コレットから取った。職業も同じヒロインが、日本の編集者の招きに応じて来日する。そうして夫の幽霊に出会う。
原題では「日本のシドニ」としているが、邦題では「不思議の国のシドニ」としていて邦題の方が適格だと思う。だが編集者のセリフにもあるように「日本では幽霊がそこら中にいる」というのも不思議ではなく、新しいものと古いものが混ざり合っている日本は不思議でもなんでもないと監督は捉えているんだろうと思う。
これを鑑賞している私には相変わらず西洋人は日本は不思議な国ととらえているんだなと思うのだが、監督はそうではなく、そういうスピリチュアルなこと精神的な極東の国ではごく当たり前で幽霊を見るのは不思議でもなんでもないとしているのだろう。
伝統文化と新しい文化が共存できている国に監督は魅力を見出したと思う。

しかし映画の出来はよくない。ヒロインと夫の亡霊、編集者の三人がお互いに気持ちがまじりあうことがなく、そこから起きる感情がない。フランスと日本を体現するふたりは気持ちをよせることなく平行線なのでドラマの盛り上がりはない。
全体の雰囲気は幽霊が出るファンタジーであるからふわっとしていてなんとなく物語が進行しているというのでは映画の中に入っていけない。