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DISTANCE(2001)
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最初の10分を丁寧に見直すと、最後のシーンがよく見えてくる。ラストの燃やされる写真、そして炎上する桟橋。「幻の光」もそうだが、是枝監督の初期作品に見る一瞬の神々しいシーン。炎のシーンは劇場最新作「怪物」でも使われている。この4人とひとりが囲う焚き火のシーンの沈黙もまた深い。 ひとつは「ユリの花」だろう。この映画のイメージを司るユリは母性。そしてこの映画には女性として真摯に描かれる者はいない。母親不在のドラマ。母性を失った者たちの行き着く先がもし宗教だとしたら、この映画の冒頭で語られるサリン事件を連想させるカルト教団の正当性もわからなくはない。 ここからこの映画が家族を描くドラマであることが薄っすらと伝わってくる。その後の是枝監督作品の多くも家族を描き、その家族が喪失している(あるいは喪失してゆく)過程を丁寧に描いている。 このドラマに出てくる人物は誰一人家族に恵まれていないように見える。そして多くの地方出身者が都会に出て孤独になったとき、新興宗教が彼らの心の拠り所となる。宗教には一定の意味と価値がある。 しかし、その思想が極端な方向へと進むとき、宗教の残酷生、原理主義的な考えに導かれ、人の命を殺めてしまうような事態を引き起こすのではないか。その意味では、残された加害者家族の孤独もまた同じではないか。 ARATAさん演じる人物が果たして存在するかどうかはわからない。しかし燃え盛る桟橋の炎をあとに立ち去る人物は確かに存在する。それは自分でありあなただからだ。
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