福島県岩瀬郡天栄村の生まれ。本名・和田聡宏(としひろ)。高校卒業後、美容師を目指して上京。専門学校を卒業したのち、美容師として働いていた1999年、塚本晋也監督の映画「バレット・バレエ」のオーディションを受け、合格。エキストラ出演した体験で映画の現場に魅せられ、美容師から俳優へと転身する。アルバイトをしながら役者修業を始め、劇団E.G.WORLDに入団。『アポカリプス・ナウ』99、『すばらしい世界』00、『メトセラの終夜』01などの舞台や、スガシカオのPV『夜空ノムコウ』などに出演し、2003年の中江裕司監督「ホテル・ハイビスカス」に、行き倒れとなっていたところを拾われてホテルの住人となる旅人・能登島役で出演し、個性的なホテルの人々に初めはとまどいながらも次第に馴染んでいく青年を好演した。翌04年、フジテレビ『東京湾景』の準主役に抜擢される。出版社に勤務する裕福な在日韓国人三世のヒロイン・仲間由紀恵と恋に落ちる貧乏青年・和田亮介に扮し、飄々とした佇まいと涼しげな風貌で一躍知名度を上げる。映画は以降、葉山陽一郎監督のホラー「死霊波」05の心霊番組のディレクター役で初主演。田中誠監督「雨の町」06の奇妙な町を取材するルポライター、瀬々敬久監督「刺青・堕ちた女郎蜘蛛」07の自己啓発セミナー社員、行定勲監督「ショコラの見た世界」07の主人公の姉の元恋人、廣木隆一監督「雷桜」10のヒロインの生き別れの兄などで好演し、穏やかな役柄や窮地に追い込まれるキャラクターを演じて輝くことが多い。デビュー作「バレット・バレエ」の現場で知り合った吉田恵輔が監督した「純喫茶磯辺」08では、誠実そうな男性ながら実は性格のねじれた作家を演じ、単なる変態とは括りがたい奇妙な印象を残す。デビューから本名で活動していたが、05年より現在の“和田聰宏(そうこう)”に芸名を改めた。